【ブラジル全国選手権2024】第2節(2/2)

投稿者: | 2024年4月19日

投稿内の選手名のリンクは、当ブログ選手紹介記事にリンクしています。
投稿内の「動画URL」はブラジルスポーツサイト「ge」YouTube公式チャンネルのダイジェスト動画にリンクしています。

全国選手権第2節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2024】第2節(1/2)
・2024/04/16 バイーア(BAH) x フルミネンセ(FLU)
・2024/04/17 グレミオ(GRE) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2024/04/17 RBブラガンチーノ(RBB) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
・2024/04/17 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x クリシウーマ(CRI)
・2024/04/17 パウメイラス(PAL) x インテルナシオナウ(INT)
以下の5試合の概要はこの記事で。
・2024/04/17 フォルタレーザ(FOR) x クルゼイロ(CRU)
・2024/04/17 ジュヴェントゥージ(JUV) x コリンチャンス(COR)
・2024/04/
17 フラメンゴ(FLA) x サンパウロ(SAO)
・2024/04/18 ボタフォゴ(BOT) x アトレチコ・ゴイアニエンセ(ACG)
以下の試合は順延。
・2024/xx/xx クイアバ(CUI) x ヴィトーリア(VIT)

全国選手権第2節 試合概要

フォルタレーザ(FOR) 1-1 クルゼイロ(CRU)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=yf8y6XNN83Q
(FOR) : 19' #35 エルクレス(Hércules, 2000)[#9 ルセロ(Lucero, 1991)]
(CRU) : 89' #7 マテウス・ヴィタウ(Mateus Vital, 1998)[#80 ホベルチ(Robert, 2005)

今節前の順位

   フォルタレーザは全国選手権1勝0分0敗勝点3の3位。
   クルゼイロは全国選手権1勝0分0敗勝点3の2位。

得点シーン

(FOR) : 19' #35 エルクレス(Hércules, 2000)[#9 ルセロ(Lucero, 1991)]
右CKのキッカーはFWルセロ。右足でゴールから離れるボールをニアサイドの選手に向け蹴るが、ボレーシュートは空振りし、ボールは逆サイドに流れる。このボールをペナルティエリア手前でVOLエルクレスが右足を振り抜く。グラウンダーのシュートはGKの脇を抜けゴールネットを揺らす。
   VOLエルクレスは、2022年にフォルタレーザに加入。ボイボダ監督のもと出場機会に恵まれ2022年は48試合7得点1アシストを記録。2023年にはレギュラーの座を掴むが、7月9日全国選手権第14節アトレチコ・パラナエンセ戦にて負傷交代。左膝前十字靭帯断裂の重傷で戦列を離脱する。2024年3月27日コパ・ド・ノルデスチで復帰すると、この試合は22日間で7試合目の出場。4月10日コパ・スウアメリカーナでのゴールに続く今季2ゴール目。ボイボダ監督が期待するセグンドボランチが完全復活を果たした。
(CRU) : 89' #7 マテウス・ヴィタウ(Mateus Vital, 1998)[#80 ホベルチ(Robert, 2005)]
アタッキングサード入口右サイドライン際でボールを受けたFWホベルチが、ドリブルで中央に向かい、縦に針路を変えると一気に加速しペナルティエリア内をゴールライン際にボールを持ちあがる。ペナルティマークに向かいマイナスのボールを送るとMFマテウス・ヴィタウ(Mateus Vital, 1998)が右足を豪快に振り抜きボールをゴールネットに突き刺す。
   MFマテウス・ヴィタウは、ヴァスコ・ダ・ガマ育成出身で2016年1月の州選手権にて17歳のプロデビュー。2018年に移籍したコリンチャンスでは4年間で179試合14得点9アシストを記録。オリンピアコス/GREへの期限付き移籍を経て、2023年、1部再昇格を果たしたクルゼイロに加入。ボランチとしてもプレーし前後のボールのつなぎ役や、バイタルエリアでのシュートやセカンドボールの回収、ゴールライン際への攻め上がりといったプレーを得意とする、中盤のユーティリティ性の高い選手。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:45% 55% ⇒ 前後半:42% 58%
シュート(枠内): 前半:6‐6(1-2) ⇒ 前後半:15-11(4-4)
パス成功率: 前半:79% 86% ⇒ 前後半:76% 87%

   フォルタレーザは、スタメン、フォーメーションを開幕節から若干変更。開幕節はCBブリテス(Brítez, 1992)が右SBに入り実質的にスリーバックとなっていたが、今節は右SBチンガ(Tinga, 1993)が入りブリテスは右CBに移動。前節途中出場から2点目をマークしたFWマチューカ(Machuca, 2000)がFWルセロ(Lucero, 1991)とのツートップを組む。
   クルゼイロは、正GKハファエウ・カブラウ(Rafael Cabral, 1990)の退団が濃厚となり、開幕節に続きGKアンデルソン(Anderson, 1998)がゴールマウスを守る。スタメンの変更はCBゼ・イヴァウド(Zé Ivaldo, 1997)に代わりCBジョアン・マルセロ(João Marcelo, 2000)への変更のみ。

   最初のビッグチャンスはクルゼイロ。前半13分、左CKからFWハファ・シウヴァ(Rafa Silva, 1992)がマークを巧みに外しフリーの態勢でヘディングシュート。しかし、この至近距離の強烈なシュートは、フォルタレーザGKジョアン・ヒカルド(João Ricardo, 1988)がボールに飛びつき両手で弾き返す。すると、フォルタレーザは、前半19分、右CKを獲得するとVOLエルクレス(Hércules, 2000)がゴラッソを決め先制する。
   同点に追いつきたいクルゼイロは、前後に人が動き、ワンタッチのパス交換を多用しフォルタレーザゴールに迫るが、フォルタレーザ守備陣の粘り強い対応の前にゴールは生まれない。
   後半に入り押し気味に試合を進めるクルゼイロは、後半19分、ピッチに立ったばかりのFWガブリエウ・ヴェロン(Gabriel Veron, 2002)が最終ライン裏に抜け出し、MFマテウス・ペレイラ(Matheus Pereira, 1996)のスルーパスを受けシュートに持ち込むが、ボールは僅かに枠を捉えない。
   後半25分を過ぎるとフォルタレーザもカウンターが機能し始め試合はややオープンな展開になる。後半33分、クルゼイロは左SBマルロン(Marlon, 1997)のアーリークロスをFWハファエウ・エリアス(Rafael Elias, 1999)が会心のヘディングシュート。しかし、クルゼイロGKアンデルソンが片手でストップ。後半40分、フォルタレーザはペナルティエリア手前やや左の位置でFKを獲得すると、FWモイゼス(Moisés, 1996)が直接ゴールを狙うが、フォルタレーザGKジョアン・ヒカルドが横に飛びつき両手で弾き出す。
   後半42分、フォルタレーザのカウンターをクルゼイロVOLルーカス・ロメロ(Lucas Romero, 1994)が後方からのタックルで止めようとし、この試合2枚目の警告を受け退場。この時間帯の退場にクルゼイロは万事休すかと思われた。
   ところが、後半44分、FWホベルチが個人技でゴールライン際にボールを持ちあがりMFマテウス・ヴィタウの同点弾のお膳立て。
   MFマテウス・ヴィタウは後半45+8分にもミドルシュートでゴールを襲うが、フォルタレーザGKジョアン・ヒカルドが辛うじてCKに逃れる。この直後にタイムアップの笛が吹かれ、終始白熱した試合は試合終了間際にピークに達し1-1の引き分けで終えた。

   フォルタレーザは、組織的に整備された守備がクルゼイロの攻撃の圧力をしっかりと受け止め、鋭いカウンターと精度の高いセットプレーで得点機をうかがうと、前半40分にCKから先制。後半もセットプレーから複数のチャンスを迎えたものの追加点を奪えずにいると、クルゼイロから退場者が出たこともあり低い位置でゴール前を閉ざす守備を敷いて逃げ切りを図ったが、個人技で守備網が崩され失点。
   開幕2連勝を逃す結果となった。
   クルゼイロは、公式戦2試合連続3得点の攻撃陣が、この試合もテンポのいいパス交換で次々とチャンスを作り出すものの、フォルタレーザ守備陣を崩すことができない。無得点のまま後半40分が過ぎて退場者を出したが、FWホベルチが個人技でフォルタレーザ守備陣を崩しMFマテウス・ヴィタウのゴールで同点に追いついた。
   守備面では、ファールで止める場面が少なからず見られ、セットプレーからピンチを招く場面や、実際にCKから失点を喫したものの、フォルタレーザが得意とするカウンターにはしっかりと対応した。
   フェルナンド・サエブラ(Fernando Seabra)監督が就任し3試合1勝2分7得点6失点。
   攻撃面では、チームプレーとしての連係が深まる中、個人技で相手守備網を崩すプレーも見られ、守備面では、課題は残るものの確実に成長の跡が見られる。
   次節はアトレチコ・ミネイロとのクラシコ。その結果、内容次第では、クルゼイロが全国選手権のダークホースとして上位争いに浮上してくる可能性も十分にある。

ジュヴェントゥージ(JUV) 2-0 コリンチャンス(COR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=wDOgH9FTPFc
(JUV) : 53' #20 ジアン・カルロス(Jean Carlos, 1992)[#16 ジャジソン(Jádson, 1993)]
(JUV) : 59' #21 ルーカス・バルボーザ(Lucas Barbosa, 2001)[#20 ジアン・カルロス(Jean Carlos, 1992)]

今節前の順位

   ジュヴェントゥージは全国選手権0勝1分0敗勝点1の11位。
   コリンチャンスは全国選手権0勝1分0敗勝点1の12位。

得点シーン

(JUV) : 53' #20 ジアン・カルロス(Jean Carlos, 1992)[#16 ジャジソン(Jádson, 1993)]
自陣で相手ボールカットしたCBゼ・マルコス(Zé Marcos, 1998)が縦パス。VOLジャジソンが左サイドにボールをはたき、MFジアン・カルロスがボールを受けドリブルで前進し、ここから攻撃のギアを上げるかと思われたタイミングで思い切りよく左足を振り抜く。ペナルティエリア左角手前5mからのシュートはファーサイドのゴールネットに吸い込まれジュヴェントゥージが先制。
   MFジアン・カルロスは、パウメイラス育成出身ながら期限付き移籍先の当時サンパウロ州選手権にのみ参戦するサン・ベルナルドにてプロデビュー。その後、完全移籍に移行し、今季を迎えるまで全国選手権1部でのプレーは、2016年に期限付き移籍先のサンパウロにて3試合66分に出場したのみ。2020‐22年に在籍した全国選手権2部ナウチコにてプロサッカー人生で初めてレギュラーの座を掴むと3年間計140試合34得点25アシストの成績を残す。2023年は全国選手権2部セアラーで53試合7得点5アシスト。2024年シーズンを前にジュヴェントゥージに加入すると、これまでチームの全試合に出場し、すでに4得点7アシストを記録。この試合でも積極的にシュートを放ち、このゴールの6分後にはアシストも記録。積極的なプレーにより自らの手でキャリアアップを続ける遅咲きのMFジアン・カルロスだが、今後の更なる活躍、成長を期待したい。
(JUV) : 59' #21 ルーカス・バルボーザ(Lucas Barbosa, 2001)[#20 ジアン・カルロス(Jean Carlos, 1992)]
相手陣深くでコリンチャンスGKカシオへのバックパスをFWルーカス・バルボーザが追うと、MFジアン・カルロスがGKカシオのパスの出しどころへ猛然と駆け上がりインターセプト。MFジアン・カルロスはシュートコースがないとみるや、ゴール前へボールを送るとFWルーカス・バルボーザがゴールへ押し込みジュヴェントゥージが追加点。
   FWルーカス・バルボーザは、サントス育成出身で2021年4月に20歳のプロデビューを果たした194㎝の長身ウィンガー。2022年にはサントスで41試合4得点4アシストの成績を残すが、次第に出場機会を失い、2023年後半はサントスの残留争いのライバルとなったコリチバへ期限付き移籍。ジュヴェントゥージには2024年1月2日に期限付き移籍加入が発表され、シーズン当初からレギュラーとして活躍。この試合を含め19試合6得点2アシスト。全国選手権ではサントス在籍時の2022年11月2日第35節アトレチコ・ゴイアニエンセ戦以来のゴールとなった。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:48% 52% ⇒ 前後半:43% 57%
シュート(枠内): 前半:9‐7(4-0) ⇒ 前後半:16-16(8-2)
パス成功率: 前半:81% 83% ⇒ 前後半:81% 82%

   ジュヴェントゥージは、1-1の引き分けに終えた開幕節から最終ラインを変更。CBホドリゴ・サム(Rodrigo Sam, 1995)に代わりCBダニーロ・ボザ(Danilo Boza, 1998)が入る。この試合も大ベテランMFネネー(Nenê, 1981)がインサイドハーフとして先発。
   コリンチャンスは、VOLファウスト・ベラ(Fausto Vera, 2000)に代えMFイゴル・コロナード(Igor Coronado, 1992)が先発。ツーボランチからワンボランチへ変更し、無得点に終えた開幕節の攻撃陣に厚みを加える。

   試合はコリンチャンスが前半10分、右SBファギネル(Fagner, 1989)のクロスに、FWホメーロ(Romero, 1992)が駆け上がる後ろのスペースにFWユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)が入りシュート。ジュヴェントゥージは前半29分、ハーフウェイライン付近右サイドライン際でボールを奪うと、縦に速く、左へボールを送り、MFジアン・カルロス(Jean Carlos, 1992)がシュート。前半40分にもMFジアン・カルロスがペナルティエリア手前からゴールを狙うと、DFに当たったボールが枠内に飛ぶが、コリンチャンスGKカシオ(Cássio, 1987)が辛うじてCKに逃れる。
   前半はジュヴェントゥージがハーフウェイライン前後の厳しいマークが機能し、チャンスの数でコリンチャンスを上回る。
   後半に入り、コリンチャンスは中盤の劣勢を跳ね返すため、FWウェズレイ(Wesley, 2005)に代えVOLマイコン(Maycon, 1997)を投入。後半2分、コリンチャンスは自陣から中盤のワンタッチのパス2本でマークを外し、MFロドリゴ・ガーロ(Rodrigo Garro, 1998)が抜け出しを図るFWユーリ・アウベルトへスルーパス。FWユーリ・アウベルトはGKと一対一となるが、シュートはGKが身を挺して防ぐ。
   すると、後半8分、後半14分とジュヴェントゥージが相次いで得点。
   ジュヴェントゥージはその後も選手交代を通じて疲れの見える選手を入れ替え、前半のクオリティーを最後まで維持し、試合を締めた。

   ジュヴェントゥージは前線の3選手が、コリンチャンスの2ライン間に位置取り、攻撃時にはサイドバックやボランチの選手がここに絡み前線3選手へのマークが前後いずれから来るかに応じて選択肢を複数用意し、相手にボールが渡ると前線の3選手は速やかにプレスバックを行い有機的に機能。州選手権では勝てない時期があり解任寸前まで追い込まれたホージェル・マシャード(Roger Machado)監督が現状の選手層に適したシステムにたどり着いたように思われる。
   昇格後の全国選手権開幕2節を1勝1分。今後、ボタフォゴ、アトレチコ・パラナエンセ、インテルナシオナウと強豪との対戦が続くが、週中に試合がある相手に対し日程的な優位があるだけに、選手たちはしっかりと休養と取り、首脳陣は現状のシステムを研ぎ澄ませ、少なくとも勝点「3」は積み上げたい。
   コリンチャンスは監督交代後の10試合で7得点1アシストのFWユーリ・アウベルトが前後半各一度ずつ絶好機を逸した。しかし、それ以前に、中盤でボールを落ち着かせることができず、また、効果的なボールを前線に送ることもできず、好機を創出することができなかった。
   これで全国選手権は2試合連続無得点。コパ・スウアメリカーナが週中にあり、トレーニングで修正を図る時間は少ないが、試合の中でも様々なプレーを試し、本来は得点力の高い前線にいかにボールを送るかを探り出したい。

フラメンゴ(FLA) 3-1 サンパウロ(SAO)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=J98KY8otxco
(FLA) : 20' #7 ルイス・アラウージョ(Luiz Araújo, 1996)[#12 デ・ラ・クルス(De La Cruz, 1997)]
(FLA) : 54' #12 デ・ラ・クルス(De La Cruz, 1997)[]
(SAO) : 79' #47 フェヘイラ(Ferreira, 1997)[#25 アリソン(Alisson, 1993)]

今節前の順位

   フラメンゴは全国選手権1勝0分0敗勝点3の3位。
   サンパウロは全国選手権0勝0分1敗勝点0の16位。

得点シーン

(FLA) : 20' #7 ルイス・アラウージョ(Luiz Araújo, 1996)[#12 デ・ラ・クルス(De La Cruz, 1997)]
相手陣左サイドから、中央へ向かいながら前後にボールを交換し、フラメンゴが前線に5人が並び攻撃の態勢を作る。すると、その一列後ろからマークが甘くなった隙をつき、FWルイス・アラウージョが左足を振り抜くゴラッソ。
   FWルイス・アラウージョは、サンパウロ育成出身で期限付き移籍先のノヴォリゾンチーノから2016年3月州選手権にて19歳のプロデビュー。同年全国選手権でサンパウロに復帰し22試合に出場すると、2017年にはレギュラーの座を掴み取る。2017年7月にリール/FRAに1050万ユーロで移籍すると約4年間で136試合18得点8アシスト。その後、アトランタ・ユナイテッド/USAに1150万ユーロで移籍すると2年半で63試合13得点9アシスト。2023年7月に当時のホルヘ・サンパオリ監督の強い要請により900万ユーロでフラメンゴに加入した。2024年は層の厚いチームの中で州選手権決勝戦での先発など主力として活躍。今節はベンチスタートだったが、このゴラッソで存在感を見せつけた。
(FLA) : 54' #12 デ・ラ・クルス(De La Cruz, 1997)[]
FWペドロ(Pedro, 1997)のポストプレーからのパスが相手に奪われるが、FWペドロが素早く奪い返し、こぼれ球を拾ったSBアイルトン・ルーカス(Ayrton Lucas, 1997)がペナルティエリアに侵入。DFに掻き出されたボールをFWペドロが拾うとDFをかわしシュート。サンパウロGKハファエウ(Rafael, 1989)が片手で弾き出すが、こぼれ球にMFデ・ラ・クルスが反応しボールをゴールに突き刺す。
   MFデ・ラ・クルスは、2022W杯など26試合5得点を記録するウルグアイ代表。2026W杯南米予選も6試合3得点3アシストを記録中。2024年シーズン前にフラメンゴに加入。代表、クラブいずれでも中盤で違いを作るプレーを見せ、絶妙なポジショニングが印象に深い。開幕節の直接FKに続き2試合連続ゴール。
(SAO) : 79' #47 フェヘイラ(Ferreira, 1997)[#25 アリソン(Alisson, 1993)]
相手陣左サイドから守備網の外を右サイドライン際までボールを繋ぎ、途中出場後ボールタッチの多いFWエリキ(Erick, 1997)にボールが渡りDFが2人寄せる。そこにできたスペースにVOLアリソン(Alisson, 1993)が入りFWエリキからボールを受けると、ゴール前に柔らかいクロス。FWアンドレ・シウヴァ(André Silva, 1997)の頭を越えるが、その後方でFWフェヘイラが頭でボールを叩きつけサンパウロが1点差に迫る。
   FWフェヘイラは、グレミオ育成出身で2021年には52試合14得点13アシストを記録。しかし、その後は2年間で7度にも及ぶケガに悩まされる。2023年後半に入りコンスタントに試合に出るようになると40試合7得点6アシスト。2024年シーズン前に心機一転を図るかのように長年過ごしたグレミオを離れサンパウロに加入。ケガのために2度、計5週間ほどチームを離脱しているものの、最近の出場6試合で4得点をマーク。ケガさえなければ今後も活躍が期待できる。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:48% 52%
シュート(枠内): 前半:‐(-) ⇒ 前後半:11-10(6-2)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:81% 86%

   フラメンゴは、開幕節で勝利を収めたものの、前半終了間際に相手から退場者が出たにもかかわらず、2得点はいずれもセットプレーから。しかも、そのセットプレーは退場とPKの疑惑の判定で得たもので、この試合の笛を吹いた主審は翌日処分を受けている。
   内容の乏しい開幕節から、右サイドバック、中盤、スリートップの一角を変更。
   ケガ人が相次ぐサンパウロは、前年コパ・ド・ブラジルを制した試合の主力の右SBハフィーニャ(Rafinha, 1985)、FWウェリントン・ハット(Wellington Rato, 1992)、FWルーカス・モウラ(Lucas Moura, 1992)が今節も欠場。FWフェヘイラ(Ferreira, 1997)が復帰したものの、MFハメス・ロドリゲス(James Rodríguez, 1991)が新たに離脱する。
   前節のスタメンからの変更は、左SBウェリントン(Welington, 2001)が左ウィングバックに入り、MFミシェル・アラウーホ(Michel Araújo, 1996)が前線に上がりFWカレリ(Calleri, 1993)とツートップを組む。

   立ち上がりからホームのフラメンゴが相手陣で試合を展開。前半13分にFWエヴェルトン・セボリーニャ(Everton Cebolinha, 1996)が負傷退場するアクシデントが起こるが、19分には交代で入ったFWルイス・アラウージョがゴラッソ。フラメンゴが早くも先制点を奪う。
   先制後にフラメンゴが高い位置でのプレスを弱めると、サンパウロも度々相手陣にボールを運ぶが、シュートチャンスまでには至らない。
   後半に入り、再びフラメンゴが中盤でのプレスから速攻を仕掛け試合の流れを掴むと、後半8分のFWブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1990)のシュートはサンパウロGKハファエウの好守に防がれるものの、後半9分にFWペドロのシュートのこぼれ球をMFデ・ラ・クルスが押し込む貴重な追加点。
   2点のリードを許したサンパウロは、後半開始時に投入されたFWエリキ(Erick, 1997)とFWアンドレ・シウヴァ(André Silva, 1997)がボールに絡みフラメンゴゴールに迫る。すると、後半34分、途中交代FWフェヘイラのゴールで1点差に詰め寄る。
   しかし、残り時間はフラメンゴが試合をコントロール。2-1で試合を締め、フラメンゴは2連勝、一方のサンパウロは2連敗で第2節を終えた。

   フラメンゴは、1失点を喫したものの、多くの時間で試合をコントロールし、戦術的にも前節の修正が施され、盤石な内容で試合を終えた。
   一方のサンパウロは、最近の試合では戦術的に大きな変更を施さず、選手の戦術理解を深め、細部を修正しながら徐々に良化してきたものの、この試合も決定的なシーンは僅かな回数に止まり、全国選手権は34年ぶりの開幕2連敗となった。翌4月18日、クラブはチアゴ・カルピーニ監督の解任を発表。ドリヴァウ・ジュニオール現代表監督の後を継ぎ、2023年コパ・ド・ブラジル王者として出場したスーペルコパ・ド・ブラジルは2023年全国選手権王者のパウメイラスをPKの末破り、初タイトルを獲得。しかし、相次ぐ故障者のためにチームに戦術を落とし込むことができず、選手起用に苦しみ、カルピーニ監督は僅か4か月でサンパウロを去ることになった。

ボタフォゴ(BOT) x アトレチコ・ゴイアニエンセ(ACG)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=3lyo5S81Ruk
(BOT) : 32' #4 マテオ・ポンテ(Mateo Ponte, 2003)[#7 ルイス・エンヒキ(Luiz Henrique, 2001)]

今節前の順位

   ボタフォゴは全国選手権0勝0分1敗勝点0の14位。
   アトレチコ・ゴイアニエンセは全国選手権0勝0分1敗勝点0の18位。

得点シーン

(BOT) : 32' #4 マテオ・ポンテ(Mateo Ponte, 2003)[#7 ルイス・エンヒキ(Luiz Henrique, 2001)]
VOLチェチェー(Tchê Tchê, 1992)が相手陣の浅い位置やや左から右サイドへボールを送り、そのまま斜めにペナルティエリア右に向かい上がり再びボールを受けると、自らが作ったスペースに入ったMFルイス・エンヒキの元に、FWジュニオール・サントスを経由したボールが入る。MFルイス・エンヒキがゴール正面ペナルティエリア入口にボールを戻すと、右SBマテオ・ポンテが右足を振り抜きゴールネットを揺らす。
   右SBマテオ・ポンテは、ウルグアイU-20、U-23代表として、2023年U-20南米ユース選手権、U-20W杯、2024年パリ五輪南米予選に出場。2023年7月末に200万USドルの移籍金で3年半の契約を締結。同年は出場機会に恵まれず2試合の出場に終えたが、2024年はパリ五輪南米予選から戻ると州選手権で途中交代が中心ながら多くの試合に出場。4月に入り、リベルタドーレス本戦の2試合、全国選手権開幕2試合に先発メンバーとして出場。今後も活躍が期待される。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:59% 41% ⇒ 前後半:52% 48%
シュート(枠内): 前半:9‐4(3-1) ⇒ 前後半:13-11(5-3)
パス成功率: 前半:87% 81% ⇒ 前後半:84% 83%

   ボタフォゴは、全国選手権を前に就任したアルトゥール・ジョルジ(Artur Jorge)監督のホーム・ニウトンサントス競技場での初采配試合。開幕節後半開始時のメンバーから、2023年のチーム内得点王(29得点)で2024年も5得点6アシストと安定した成績を残すFWチキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)に代え、FWマテウス・ナシメント(Matheus Nascimento, 2004)を抜擢する。
   アトレチコ・ゴイアニエンセの開幕節は、強豪フラメンゴを相手に前半終了間際に退場者を出しながらも、流れの中で失点を許さない固い守備を誇った。しかし、今節は、試合後に処分を受けた主審により退場に追い込まれた2選手の出場停止もあり、守備ラインの3選手を変更して臨む。

   ボタフォゴは、高い位置でのマークから試合の流れを掴み優位に試合を進める。前半25分に先発に抜擢されたFWマテウス・ナシメントが筋肉系のケガのため交代を余儀なくされるアクシデントが発生するが、FWチキーニョ・ソアレスが入り試合への影響は軽微なものとなる。
   両チームともにパスミスが散見される中、ボタフォゴが前半32分、SBマテオ・ポンテのゴールで先制する。
   その後も試合はボタフォゴが支配。アトレチコ・ゴイアニエンセはボタフォゴ陣内で継続的にボールを展開することができず、前半終了間際にサイドからのクロスでCKを獲得するが、ボタフォゴゴールを脅かすことなく前半を終える。
   後半に入ると、アトレチコ・ゴイアニエンセは修正を施し、相手陣に攻め入る回数は増えるが、チャンスを生み出すまでには至らない。後半18分にアトレチコ・ゴイアニエンセは中盤2選手に代えFW2選手を投入。前線に厚みをつけるが、ボタフォゴは自陣に引いた守備隊形を敷きゴール前に蓋をする。アトレチコは後半35分にFWの選手交代を行いさらに攻撃の圧力を増していき、ボタフォゴゴールに次々と迫る。後半45+6分にはCKからの混戦となるが、アトレチコのシュートをボタフォゴCBルーカス・アウテル(Lucas Halter, 2000)が顔面でブロック。一連のプレーでハンドの疑いがありVARによる検証も行われたが、ハンドはなく、直後に試合終了の笛が吹かれた。

   ボタフォゴは、全国選手権のホーム開幕戦、そして、アルトゥール・ジョルジ監督のホーム初采配試合を勝利で飾った。しかし、前半はボールを支配し、相手ゴールに迫る場面も少なからず見られたが、後半は試合のテンポを落とし、最後の10分間はゴール前に押し込まれる右肩下がりの内容。ホームサポーターにとっては勝ちはしたものの不満の残る試合となった。
   アトレチコ・ゴイアニエンセは、最終ラインの2選手の出場停止を受け、恐らく専守防衛でボタフォゴの攻撃をしのぎ、後半30分以降の反撃を目論んだと思われる試合内容。試合はほぼ狙い通りに行ったと思われるが、最後にゴールをこじ開けることはできず、全国選手権は開幕2連敗と厳しいスタートとなった。

クイアバ(CUI) 順延 ヴィトーリア(VIT)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です