【ブラジル全国選手権2024】第4節(1/2)

投稿者: | 2024年4月27日

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全国選手権第4節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこの記事で。
・2024/04/27 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x クリシウーマ(CRI)
・2024/04/27 クイアバ(CUI) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
・2024/04/27 バイーア(BAH) x グレミオ(GRE)
・2024/04/28 フラメンゴ(FLA) x ボタフォゴ(BOT)
・2024/04/28 クルゼイロ(CRU) x ヴィトーリア(VIT)
以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2024】第4節(2/2)
・2024/04/28 コリンチャンス(COR) x フルミネンセ(FLU)
・2024/04/28 フォルタレーザ(FOR) x RBブラガンチーノ(RBB)
・2024/04/
28 ジュヴェントゥージ(JUV) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2024/04/28 インテルナシオナウ(INT) x アトレチコ・ゴイアニエンセ(ACG)

・2024/04/29 サンパウロ(SAO) x パウメイラス(PAL)

全国選手権第4節 試合概要

ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) 0-4 クリシウーマ(CRI)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=mNAXHdLoicw
(CRI) : 32' #7 フィリピ・マテウス(Fellipe Mateus, 1991)[#11 ヤニク・ボラシエ(Yannick Bolasie, 1989)]
(CRI) : 47' #7 フィリピ・マテウス(Fellipe Mateus, 1991)[#11 ヤニク・ボラシエ(Yannick Bolasie, 1989)]
(CRI) : 55' #11 ヤニク・ボラシエ(Yannick Bolasie, 1989)[#88 バヘット(Barreto, 1995)]
(CRI) : 69' #5 イゴル・メリトン(Higor Meritão, 1994)[#33 ヴァリソン(Walisson, 1991)]

今節前の順位

   ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権1勝0分2敗勝点3の15位。
   クリシウーマは全国選手権0勝2分0敗勝点2の16位。

得点シーン

(CRI) : 32' #7 フィリピ・マテウス(Fellipe Mateus, 1991)[#11 ヤニク・ボラシエ(Yannick Bolasie, 1989)]
自陣からのロビングのボールにFWヤニク・ボラシエが空中戦に競り勝つと、MFフィリピ・マテウスが胸でボールを落とし、ペナルティエリア手前からアウトサイドにかけたシュートをゴールに突き刺すゴラッソ。ヴァスコDFはFWアルトゥール・カイキの動きに意識を奪われ、フィリピ・マテウスへの寄せが甘くなる。[0-1]
   MFフィリピ・マテウスは33歳にして初の全国選手権1部でのプレーとなる苦労人。クリシウーマ4年目で過去3年間は120試合12得点16アシスト。2024年はこの試合を含めチーム全23試合のうち22試合(うち先発20試合)に出場し、この試合の2点目も含め4得点3アシスト。
(CRI) : 47' #7 フィリピ・マテウス(Fellipe Mateus, 1991)[#11 ヤニク・ボラシエ(Yannick Bolasie, 1989)]
クリシウーマが相手陣でボールを回し、左サイドから2本パスを経てペナルティエリア内のFWヤニク・ボラシエにボールが渡るとゴール前中央へグラウンダーのクロス。誰にも合わずに左サイドへ流れたボールをフリーのMFフィリピ・マテウスが確保し、角度のない位置からシュート。これがゴールファーサイドに決まりクリシウーマが追加点。[0-2]
   FWヤニク・ボラシエはフランス・リヨン生まれでイギリス・ロンドン育ちのコンゴ民主共和国代表FW。代表では52試合9得点。2012/13シーズンから約4年間在籍したクリスタルパレス/ENGでは143試合13得点15アシストを記録。他にエヴァートン/ENGなどでもプレーし、2024年3月28日にスウォンジー・シティ/WALからクリシウーマへの移籍が発表された。自身3試合目のこの試合で1得点2アシストの活躍。
(CRI) : 55' #11 ヤニク・ボラシエ(Yannick Bolasie, 1989)[#88 バヘット(Barreto, 1995)]
自陣入口で相手ボールを奪ったクリシウーマのカウンター。VOLバヘットが前線にボールを送ると、広大に広がる相手陣を右サイドから抜け出したFWヤニク・ボラシエがドリブルでペナルティエリアに侵入。守備に戻ったディフェンダーを切り返しでかわし左足のシュート。ボールはGKのファーサイドを抜けゴールネットを揺らす。[0-3]
   VOLバヘットは、2014年11月23日全国選手権第36節にてクリシウーマから18歳のプロデビューを果たす。2015‐17年は全国選手権2部クリシウーマにて125試合に出場。しかし、2018年以降は期限付き移籍を繰り返し、2021年に期限付き移籍先の全国選手権2部ボタフォゴで半年間で31試合に出場し翌2022年に完全移籍を果たすが、監督交代を機に構想外となりモレンベーク/BELへ期限付き移籍。2023年7月下旬にクリシウーマの復帰が決まった。2024年はこの試合を含めチーム全23試合のうち21試合(うち先発19試合)に出場、この試合のアシストが今季初のゴール関与となった。
(CRI) : 69' #5 イゴル・メリトン(Higor Meritão, 1994)[#33 ヴァリソン(Walisson, 1991)]
MFフィリピ・マテウスが蹴る左CK。CBヴァリソンがヴァスコSBパウロ・エンヒキの頭上で頭を合わせると、ゴールに向かうボールをVOLイゴル・メリトンが足でカット、頭上に上がったボールをゴールに押し込み、ヴァスコ・ダ・ガマサポーターも自虐的に拍手で称賛するクリシウーマの4点目。[0-4]
   VOLイゴル・メリトンは、全国選手権1部でのプレー歴がなく、27歳でメキシコの強豪プーマスに加入し、一年半の間に69試合2得点3アシストを記録する。2023年7月に残留争いに巻き込まれたゴイアスに入団し、自身初の全国選手権1部でのプレーとなるが、10試合の出場に止まり、チームは2部へ降格。自身もそのまま契約が満了するが、2024年1月25日にクリシウーマと年末までの契約を結ぶ。2024年2月3日州選手権でクラブデビューを果たすとポジションに定着。身長184㎝で左利きの中盤を広くこなす選手。まだまだ活躍の余地は大きい。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:56% 44% ⇒ 前後半:57% 43%
シュート(枠内): 前半:10‐9(1-4) ⇒ 前後半:20-15(4-10)
パス成功率: 前半:87% 87% ⇒ 前後半:87% 86%

   ヴァスコ・ダ・ガマは、CBメデル(Medel, 1987)、MFディミトリ・パイェ(Dimitri Payet, 1987)がスタメンに復帰。FWハイアン(Rayan, 2006)をスタメンに抜擢した4-2-1-3の布陣で試合に入る。
   クリシウーマは、第3節が順延され10日ぶりの試合。ケガ明けのGKグスタヴォ(Gustavo, 1993)が先発に復帰。3バックから4バックに布陣を変更。2021‐23年に鹿島アントラーズ/JPNでプレーし4月11日に加入が発表されたFWアルトゥール・カイキ(Arthur Caíke, 1992)が、コンゴ民主共和国代表FWヤニク・ボラシエ(Yannick Bolasie, 1989)とツートップを構成する。

   ホームのヴァスコ・ダ・ガマが立ち上がりから積極的にボールを支配。
   前半12分、FWベヘッチ(Vegetti, 1988)がVOLウーゴ・モウラ(Hugo Moura, 1998)のアーリークロスに頭を合わせるが、ボールはゴールポストを叩き跳ね返される。
   前半29分、右SBパウロ・エンヒキ(Paulo Henrique, 1996)が、FWデイヴィジ(David, 1995)とのタベーラから抜け出しシュートに持ち込むが、ボールは枠を捉えない。
   一方のクリシウーマは、チームのファーストシュートが前半22分。しかし、前半32分に自陣からのロビングのボールを頭で繋ぎMFフィリピ・マテウスのゴラッソで先制。
   次第に試合はオープンな展開となり両チームとも相手ゴールに迫る。
   前半39分、ヴァスコ・ダ・ガマはFWベヘッチがペナルティエリア内でMFフィリピ・マテウスに倒される。VARの検証の結果、前半43分にPKの判定が下される。しかし、このPKはクリシウーマGKグスタヴォがストップ。
   前半をクリシウーマが1-0で終えると、ヴァスコ・ダ・ガマサポーターによりスタジアムはブーイングに包まれる。
   後半開始時にヴァスコ・ダ・ガマはCBメデルとMFディミトリ・パイェをベンチに下げ、CBマイコン(Maicon, 1988)とVOLガルダメス(Galdames, 1996)を投入。
   しかし、この交代策で守備面で綻びが生まれ、後半2分にペナルティエリア内でクリシウーマMFフィリピ・マテウスをフリーにしヴァスコ・ダ・ガマは痛い追加点を奪われる。
   さらにヴァスコ・ダ・ガマは前がかりになったところを、後半10分にカウンターを決められ、0-3。
   後半24分にはCKからさらに失点。ヴァスコ・ダ・ガマサポーターからも自虐的な拍手がクリシウーマの選手たちに送られる。
   試合は4-0でクリシウーマがアウェイの地で完勝。
   ヴァスコ・ダ・ガマは試合終了の15分後にラモン・ディアス(Ramón Díaz)監督解任を発表した。

   ヴァスコ・ダ・ガマは左サイドからVOLウーゴ・モウラとMFハイアンがチャンスを作り出すものの、ゴールが生まれずにいると、数少ないチャンスをクリシウーマに決められる。リードを許すとPKを失敗するなど焦りが見え始める。
   後半開始時の好対策が裏目に出て後半立ち上がりに失点を喫すると、ずるずると失点を重ね、チームを立て直すことができずタイムアップ。
   上述の通り、ラモン・ディアス監督は試合終了15分後に解任を告げられた。

   クリシウーマは、立ち上がりを組織的で中盤をタイトにした守備と、GKグスタヴォを中心とした粘り強い守備で切り抜けると、前半の内に自陣からの縦に速い攻撃で先制。後半立ち上がりに相手陣での展開から2点目を奪うと、3点目は自陣高い位置でのボール奪取からカウンター、4点目はセットプレーからと多彩な展開で4得点を奪い4-0の完勝。
   GKグスタヴォが1-0の局面で迎えたPKをストップ。
   1部昇格に貢献しこれまで全国選手権1部でのプレー実績のないMFフィリピ・マテウスやCBヴァリソン、GKグスタヴォなどが、FWヤニク・ボラシエやFWアルトゥール・カイキ、VOLイゴル・メリトンなどの新加入選手と調和し、特に後半はほぼ完ぺきな試合展開を見せた。
   全国選手権1部での采配が初めてのクラウジオ・テンカチ(Cláudio Tencati)監督だが、組織的なチームを構築し、サンタカタリーナ州選手権優勝に止まらず、コパ・ド・ブラジルは三回戦に進出、全国選手権は第4節終了時点で1勝2分(第3節順延)。自身の戦術を知る選手をベースに新加入選手に戦術を上手く落とし込み、チームはと安定した成績を残している。今後はクラウジオ・テンカチ監督の手腕に注目したい。

クイアバ(CUI) 0-3 アトレチコ・ミネイロ(CAM)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=IEM_P3bZ-hw
(CAM) : 28' #11 バルガス(Vargas, 1989)[#10 パウリーニョ(Paulinho, 2000)]
(CAM) : 61' #6 グスタヴォ・スカルパ(Gustavo Scarpa, 1994)[FK]
(CAM) : 78' #10 パウリーニョ(Paulinho, 2000)[PK]

今節前の順位

   クイアバは全国選手権0勝0分2敗勝点0の20位。
   アトレチコ・ミネイロは全国選手権1勝2分0敗勝点5の7位。

得点シーン

(CAM) : 28' #11 バルガス(Vargas, 1989)[#10 パウリーニョ(Paulinho, 2000)]
相手陣右サイドのFKを素早く再開すると、ペナルティエリア手前からFWパウリーニョがゴール前ファーサイドへ柔らかいクロス。FWバルガスが頭を合わせたボールはGKの伸ばす手を越えファーサイドのゴールネットに吸い込まれる。
   FWバルガスは、2026W杯南米予選への招集はないものの、直近2024年3月の国際親善試合に出場した現役チリ代表(2014W杯など108試合41得点)。ナポリ/ITA、バレンシア/ESP、QPR/ENGでは一シーズン20試合前後の出場しかなく欧州では成功したとは言えないが、2016/17‐2020/21シーズンを過ごしたチグリス/MEXにて153試合42得点9アシスト、2020年7月以降プレーするアトレチコ・ミネイロでは2023年までに129試合24得点12アシスト。2024年はすべて交代出場による8試合105分の出場に止まっていたが、今節で今季初のスタメン起用の期待に応え先制ゴール。代表41得点の実績と代表復帰を果たしたチリのストライカーは、アトレチコ・ミネイロにとってもまだまだ欠かすことのできないパーツと言える。
(CAM) : 61' #6 グスタヴォ・スカルパ(Gustavo Scarpa, 1994)[FK]
ゴール正面やや左約23mの地点のFK。MFグスタヴォ・スカルパが蹴ったグラウンダーのシュートは壁の下を通過しゴールニアサイドに決まる。
   MFグスタヴォ・スカルパは2024年シーズン前に大きな期待を受け加入。州選手権は予選ラウンドと準決勝の計9試合に出場したものの得点関与がなく、決勝1stレグ、2ndレグはベンチスタート。しかし、ガブリエル・ミリット(Gabriel Milito)新監督の初采配試合の州選手権決勝2ndレグにて右SHとしてサイドライン際に開いた位置でプレーしクラブ初ゴールを決めると、今節を含めた7試合で6得点2アシスト。新監督のもと新たな境地を開いたMFグスタヴォ・スカルパは、全国選手権も今節を含め4試合2得点2アシストと勢いが止まらない。
(CAM) : 78' #10 パウリーニョ(Paulinho, 2000)[PK]
後方からのボールに、ペナルティーエリア手前でFWペドリーニョ(Pedrinho, 1998)が胸でFWバルガスにボールを落とす。クイアバDFがボールをクリアしようとした際にFWバルガスが転倒。微妙なプレーだったが、VARの検証の後、主審はPKの判定を下す。これをFWパウリーニョがゴール左隅にボールを転がしアトレチコ・ミネイロがダメ押しの3点目。[0-3]
   FWパウリーニョはヴァスコ・ダ・ガマ育成出身で、18歳の時、2018/19シーズンを前にバイエル・レヴァークーゼン/GERに移籍したものの、約4年間の在籍で79試合9得点4アシストの成績に終え、2023年シーズン前にアトレチコ・ミネイロに加入。2023年全国選手権得点王(20得点)。2023年11月16日2026W杯南米予選第5節コロンビア戦にて後半24分に代表デビュー。2024年はこの試合を終えた時点で18試合8得点4アシスト。全国選手権は2点目。2年連続の全国選手権得点王に向け悪くないスタートを切っている。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:30% 70% ⇒ 前後半:37% 63%
シュート(枠内): 前半:2‐4(1-3) ⇒ 前後半:4-10(1-5)
パス成功率: 前半:70% 91% ⇒ 前後半:81% 90%

   クイアバは今節も攻撃の核FWデイヴェルソン(Deyverson, 1991)が規律違反によりベンチ外。週中に開催されたコパ・スウアメリカーナから5選手を変更。一週間前に開催された全国選手権第3節からはスピードのあるFWジョナタン・カフー(Jonathan Cafú, 1991)を高さのある身長191FWデリキ・ラセルダ(Derik Lacerda, 1999)に変更。
   アトレチコ・ミネイロは、週中にリベルタドーレスで3-2のスコアで第3節にして初勝利を収めた。今節のスターティングイレブンはCBフッキス(Fuchs, 1999)、CBレーモス(Lemos, 1995)、MFアリソン(Alisson, 2005)、FWバルガス(Vargas, 1989)のリベルタドーレスで出番のなかった4選手が入る。右サイドのサイドハーフとしてのプレーで好調を維持するMFグスタヴォ・スカルパ(Gustavo Scarpa, 1994)を逆サイド左サイドバックとして起用。FWフッキ(Hulk, 1986)は、連戦の疲労を考慮し、遠征に不帯同。

   立ち上がりはホームのクイアバが、ボールをキープし、相手陣で試合を展開しようとするが、アトレチコ・ミネイロは整備された守備でクイアバの攻撃の芽を摘んでいく。アトレチコ・ミネイロはボールを持つと、ピッチ全体を広く使ったパス交換でスペースを作り出し、そのスペースに素早くボールを送り込みチャンスをうかがう。
   前半28分に先制すると、アトレチコ・ミネイロはボールを握りパスを交換。クイアバはボール保持者に寄せに行くが、連動性に欠け、いたずらに自陣にスペースを作っていく。前半アディショナルタイムにアトレチコ・ミネイロはFWバルガスが再びゴールネットを揺らすが、シュート直前のハンドがVARにより検出されゴールは取消。
   後半開始時にクイアバは前線の2選手を交代し、中盤を厚くし無駄なスペースを与えないようにする。一方でアトレチコ・ミネイロは相手にボールを持たせ、カウンターを狙う戦術に変更。クイアバは前線の選手の枚数が足らず効果的に相手ゴールに迫ることができない。すると、後半16分、アトレチコ・ミネイロは相手ゴール前で獲得したFKをMFグスタヴォ・スカルパが直接決め追加点。
   2点目を奪われるとクイアバは全体的に運動量が減り、アトレチコ・ミネイロがピッチを広く使い試合をコントロール。後半33分にアトレチコ・ミネイロがPKでダメ押しの3点目を奪うと、クイアバは最後まで反撃ののろしを上げることができず試合終了。
   アウェイのアトレチコ・ミネイロが3-0の勝利を収めた。

   全国選手権開幕2連敗中のクイアバは、ホームで初勝利を目指し試合立ち上がりはボールを握り攻撃の糸口を探るが、前半の内に失点。選手交代など早めに手を打つが、チームとしての連動性に欠き、さらにはアトレチコ・ミネイロの戦術変更に対応できず、終始試合をコントロールされ完敗に終えた。
   FWデイヴェルソンについては、クイアバとの契約を更改しない限りベンチ入りを認めないとクラブ会長が表明。クラブ内部のごたごたを一掃しようと、監督やピッチ上の選手は奮闘するが空回りに終えた。
   アトレチコ・ミネイロは、この試合もMFグスタヴォ・スカルパが好調を維持。これまでの右サイドハーフから左サイドバックにポジションが変更されるが、固いマークと積極的な攻撃参加でFWバルガスと共に左サイドを支配。右サイドは、MFアリソン(Alisson, 2005)、FWパウリーニョ、SBサラビア(Saravia, 1993)が細かいパスとポジションの交換で守備陣を凌駕。
   ガブリエル・ミリット(Gabriel Milito)監督就任以降9試合6勝3分無敗。全国選手権開幕2節こそ得点を奪えず引き分けに終えたものの、最近は公式戦3試合連続の3得点。MFグスタヴォ・スカルパの起用法など、まだまだ手探り状態で最適解を求めている段階。選手層も厚くチームとして完成された姿が待ち遠しく思われる。

バイーア(BAH) 1-0 グレミオ(GRE)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=kqaLo2JnmJQ
(BAH) : 17' #9 エヴェラウド(Everaldo, 1991)[#10 エヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro, 1989)]

今節前の順位

   バイーアは全国選手権1勝1分1敗勝点4の9位。
   グレミオは全国選手権2勝0分1敗勝点6の5位。

得点シーン

(BAH) : 17' #9 エヴェラウド(Everaldo, 1991)[#10 エヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro, 1989)]
バイーアが相手ペナルティエリア近辺で左サイドを中心に攻撃を仕掛ける。クリアボールを拾った左SBルシアーノ・ジューバ(Luciano Juba, 1999)がペナルティエリア手前右のMFエヴェルトン・ヒベイロに速いパスを通すと、さらに右前方にボールが送られる。FWエヴェラウドがシュートフェイントを挟みシュート。ボールはファーサイドのゴールネットに吸い込まれバイーアが先制。[1-0]
   FWエヴェラウドは、2020‐22年に在籍した鹿島アントラーズ/JPNから2023年シーズン前に加入し、キャリアハイの60試合20得点を記録(アシストは5)。2024年はこの試合を含め19試合5得点3アシスト。全国選手権は開幕節から途中出場が続いたが、前節での同点ゴールの好調をかわれ、今節は先発に抜擢され、その期待に応える先制ゴール。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:57% 43% ⇒ 前後半:54% 46%
シュート(枠内): 前半:7‐1(1-1) ⇒ 前後半:14-3(4-2)
パス成功率: 前半:90% 86% ⇒ 前後半:88% 87%

   バイーアは、前節負傷交代のCBヴィトル・クエスタ(Víctor Cuesta, 1988)に代わりCBカヌー(Kanu, 1997)が開幕節以来のスタメン。前節途中出場から同点ゴールをマークしたFWエヴェラウド(Everaldo, 1991)が全国選手権初スタメン。
   週中にリベルタドーレスを戦ったグレミオは、クルゼイロとトレードの形で獲得したばかりのGKハファエウ・カブラウ(Rafael Cabral, 1990)、4月19日に加入したばかりのVOL, FWエデニウソン(Edenílson, 1989)の両選手が先発を飾るなど、6選手が入れ替わる。

   試合はバイーアが立ち上がりからグレミオ陣で試合を展開。右サイドはMFエヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro, 1989)を中心にSBサンチアゴ・アリアス(Santiago Arias, 1992)、VOLカイオ・アレシャンドレ(Caio Alexandre, 1999)、左サイドはMFカウリー(Cauly, 1995)を中心にSBルシアーノ・ジューバ(Luciano Juba, 1999)、VOLジアン・ルーカス(Jean Lucas, 1998)がそれぞれトリオを組み、左右から万遍なく攻撃を仕掛ける。
   一方のグレミオは、スリーボランチが奮闘するものの、ボール奪取後はボールを預けるべきFWジエゴ・コスタ(Diego Costa, 1988)が厳しいマークに遭いボールを相手陣に運ぶことができない。
   前半17分、バイーアはグレミオ守備陣をゴール前に押し込み分厚い攻撃。SBルシアーノ・ジューバがクリアボールをダイレクトに速いパスをMFエヴェルトン・ヒベイロに送り、FWエヴェラウドのゴールで先制点を奪う。
   先制後もバイーアはボールを支配。前半24分にはMFカウリーがクロスバーを直撃するシュート。守備面では前線から中盤にかけてのマークは厳しさを保ち、帰陣も素早く、グレミオに攻撃の形を作らせない。
   前半30分、グレミオはこの試合初めて相手ペナルティエリア近辺でパスが繋がり初シュート。しかし、FWジエゴ・コスタのヘディングシュートは勢いが弱くバイーアGKマルコス・フェリピ(Marcos Felipe, 1996)がしっかりとキャッチする。
   後半に入り、グレミオは一気に3選手を交代。スピードのあるFWナタン・フェルナンデス(Nathan Fernandes, 2005)、FWグスタヴォ・ヌーネス(Gustavo Nunes, 2005)、ボールを握れるMFクリスタウド(Cristaldo, 1996)を投入する。
   グレミオは前線両サイドにスピードが生まれ、自陣からは素早く相手陣にボールを送り、相手陣での試合を模索する。しかし、バイーアも両サイドバックが攻撃を自重し対応。グレミオの攻撃を遅らせると自陣にブロックを構築し、グレミオに決定的な場面を作らせない。
   バイーアは後半20分過ぎから相次いで中盤と前線の選手を交代し、プレスバックを強める一方でカウンターを狙う。
   後半25分、グレミオFWナタン・フェルナンデスが最終ライン裏にスルーパス。ボールはやや大きくFWジエゴ・コスタはつま先でボールを流し込もうとするがGKマルコス・フェリピが間合いを詰め弾き返す。
   このボールを拾ったバイーアは相手陣にボールを素早く送ると、FWビエウがスピードでディフェンダーを抜き去りペナルティエリア左からゴール前にクロス。FWエヴェラウドが内に絞り込み左足を振り抜くが、グレミオGKハファエウ・カブラウ(Rafael Cabral, 1990)がスーパーセーブ。
   試合は最後までバイーアがコントロールし、得点は1-0ながら、完勝と言える内容の勝利を収めた。

   バイーアは、前半は最終ラインを相手陣入口に敷く時間帯が多く、中盤の寄せでグレミオのカウンターを阻止。後半はグレミオが選手交代でスピードのある選手を入れてきたものの、簡単には下がらず、サイドバックが対応することで全体的な帰陣を進め、常に守備ブロックの前にボールがある形で守り、最終的に被シュート数は3本という堅守をみせた。
   一方で、ボールを支配し揺さぶる展開で多くのチャンスを創出するものの、ストライカー不足でチャンスの数の割には得点が奪えていない。FWエヴェラウドが2試合連続ゴールを決めたものの、7月10日の移籍ウィンドウが開くまでは控え選手や若手選手の思い切った起用で得点力不足を解消したい。
   グレミオは、日程の不利はあったとはいえ、試合内容も戦術的にも完敗。前半は大きく広がる敵陣を脅かすようなスピード系の選手がおらず、後半にスピードのある選手を投入したものの、全体的な押し上げが遅く孤立する場面が目立った。また、終盤に相手陣に押し込んだ場面では、守備ブロックを効果的に崩すプレーはほとんど見られず、いい所なく試合を終えた。

フラメンゴ(FLA) 0-2 ボタフォゴ(BOT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=yknTbsV5ECk
(BOT) : 53' #7 ルイス・エンヒキ(Luiz Henrique, 2001)[#10 サバリーノ(Savarino, 1996)]
(BOT) : 90+3' #10 サバリーノ(Savarino, 1996)[#47 ジェフィーニョ(Jeffinho, 1999)]

今節前の順位

   フラメンゴは全国選手権2勝1分0敗勝点7の2位。
   ボタフォゴは全国選手権2勝0分1敗勝点6の3位。

得点シーン

(BOT) : 53' #7 ルイス・エンヒキ(Luiz Henrique, 2001)[#10 サバリーノ(Savarino, 1996)]
この試合初のボタフォゴのコーナーキック。左コーナーフラッグからFWサバリーノがペナルティエリア入口中央にボールを送ると、MFルイス・エンヒキがダイレクトに左足を振り抜く。グラウンダーのボールはゴール左隅に決まりボタフォゴが先制。
   MFルイス・エンヒキは、フルミネンセ育成出身で2020年8月全国選手権第2節パウメイラス戦にて後半30分の交代出場により19歳のプロデビュー。2022年7月にレアルベティス/ESPへ800万ユーロで移籍し、一年半の在籍期間に64試合4得点10アシストを記録。2024年2月ボタフォゴが1600万ユーロのクラブ史上最高額の移籍金で獲得。直近4月24日リベルタドーレスのゴールに続く今季2点目。この試合を含め9試合2得点1アシスト。[0-1]
(BOT) : 90+3' #10 サバリーノ(Savarino, 1996)[#47 ジェフィーニョ(Jeffinho, 1999)]
相手陣深く右サイドでのボールの争奪戦でフラメンゴCBファブリシオ・ブルーノ(Fabrício Bruno, 1996)が倒される。一瞬プレーが止まるが、主審はファールを取らない。いち早くプレーを続けたボタフォゴがFWジェフィーニョを経てペナルティエリア内やや左へボールを送ると、FWサバリーノが右足でボールをゴールに流し込み。ボタフォゴが貴重な追加点。[0-2]
   FWサバリーノは、2度のコパ・アメリカなど39試合3得点の記録を残す現役のベネズエラ代表。2020年~2022年6月にアトレチコ・ミネイロでプレーし99試合21得点19アシスト。2024年シーズン前にボタフォゴに加入。前節のゴール、リベルタドーレスのアシストに続き、この試合では1得点1アシストと公式戦3試合連続の得点関与。この試合を含め17試合5得点3アシストを記録中。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:54% 46% ⇒ 前後半:57% 43%
シュート(枠内): 前半:8‐6(-) ⇒ 前後半:14-9(0-3)
パス成功率: 前半:87% 83% ⇒ 前後半:86% 82%

   フラメンゴは、週中のリベルタドーレスは海抜約3650mの高地での試合のため主力を温存。今節は一週間前の全国選手権パウメイラス戦から2選手が代わりMFデ・ラ・クルス(De La Cruz, 1997)とFWペドロ(Pedro, 1997)がスタメンに入る。
   ボタフォゴは、週中のリベルタドーレス負傷退場のFWチキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)が欠場。交代出場から2得点を記録したMFエドゥアルド(Eduardo, 1989)がスタメンに起用されシステムは4-4-2。前節3得点に関与しリベルタドーレスでは出番のなかったVOLダニーロ・バルボーザ(Danilo Barbosa, 1996)がスタメンに復帰。

   前半はフラメンゴが、右サイドのMFデ・ラ・クルス(De La Cruz, 1997)と右SBバレラ(Varela, 1993)を中心にテンポよくパスを繋ぎボタフォゴゴールに迫る。
   前半4分に、フラメンゴは相手陣でボールを奪い、ワンタッチやツータッチでテンポよくボールを繋ぎ、ペナルティエリア前後を前後左右に揺さぶりながら、最後はFWルイス・アラウージョ(Luiz Araújo, 1996)がシュート。ボールは僅かに枠を外れるが、フラメンゴは立ち上がりから守備から攻撃への連係の取れた移行でチャンスを作りだす。
   前半11分には右CKからペナルティエリア手前にボールを戻し、5選手がボールを繋いでゴールネットを揺らすがオフサイド。
   フラメンゴは前半19分、前半41分と相次いでペナルティエリア近辺でパスを繋ぎシュートに持ち込むが、守備陣のブロックに遭うか、枠を捉えない。
   試合を優位に進めるフラメンゴは前半だけで10本のクロスと5回のCK獲得。一方のボタフォゴは個人で打開を図りシュートに持ち込むが、そのほとんどは距離が遠く、枠を捉えず、フラメンゴGKロッシ(Rossi, 1995)を脅かすようなシュートは1本もない。
   ハーフタイムにボタフォゴが守備の修正を施し、試合は均衡状態に持ち込む。
   後半8分、ボタフォゴがこの試合最初のCKを獲得すると、デザインされたプレーからMFルイス・エンヒキのゴラッソでボタフォゴが先制。
   フラメンゴは後半20分にCKからの流れで前線に残ったCBファブリシオ・ブルーノ(Fabrício Bruno, 1996)が、MFデ・アラスカエッタ(De Arrascaeta, 1994)のクロスに頭を合わせるが、ボールは僅かにゴールポストの左へ。
   一方のボタフォゴも、後半36分、自陣手前からのカウンターで、最後はFWサバリーノ(Savarino, 1996)の低く鋭いマイナス気味のクロスにFWジェフィーニョ(Jeffinho, 1999)が足を合わせるが、フラメンゴGKロッシが至近距離のシュートを弾き返す。
   後半40分に近づき、フラメンゴは攻勢を強めボタフォゴゴールに襲い掛かる。
   しかし、後半アディショナルタイムにボールを確保し、相手陣に運ぶと、一瞬の隙をついて貴重な追加点。
   ボタフォゴはフラメンゴの最後の反撃をかわし2-0の勝利。アウェイで貴重な勝点「3」を勝ち取った。

   フラメンゴは、前半は試合を支配したものの、幾度もチャンスを迎えながらシュートが枠を捉えずゴールを奪えずに前半を折り返すと、後半の早い時間帯に失点。ボタフォゴの選手交代を待って、選手交代を実施するものの、後半は前半のようなテンポのいいボール展開を再現することができず、後半アディショナルタイムに被弾し、今季の初黒星をホームで喫した。
   ボタフォゴは、前半の劣勢をハーフタイムで修正し、後半は中盤のボールの出どころへのマークを強め、フラメンゴのフォワードを孤立させることに成功。後半はボタフォゴGKジョン・ヴィクトル(John Victor, 1996)は仕事らしい仕事をすることなく試合を終えた。
   ボタフォゴは、アルトゥール・ジョルジ(Artur Jorge)監督就任後2連敗の後4連勝。4連勝中は11得点2失点。その2失点は試合終了間際の試合の行方が決まった後に喫していたが、今節は最後まで集中力を切らせず無失点で試合を終えた。
   数試合前に先発に抜擢したFWマテウス・ナシメント(Matheus Nascimento, 2004)と、週中のリベルタドーレスでFWチキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)の両センターフォワードが試合中のケガで戦列離脱するアクシデントが続く中、アルトゥール・ジョルジ監督は先発メンバーに合わせた戦術を採用し、今節では戦術が空回りするとハーフタイムでしっかりと修正を施す手腕を見せつけた。
   元々は2023年全国選手権前半を独走したチームがベースとなっているチーム。新たな策略家を迎えたチームは、2023年終盤に失速した屈辱を果たす可能性もありそうだ。

クルゼイロ(CRU) 3-1 ヴィトーリア(VIT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=pJyRZvIxqsY
(CRU) : 50' #10 マテウス・ペレイラ(Matheus Pereira, 1996)[]
(VIT) : 52' #xx オウンゴール(Gol Contra)[]
(CRU) : 58' #8 ハファ・シウヴァ(Rafa Silva, 1992)[#21 バレアル(Barreal, 2000)]
(CRU) : 75' #11 アルトゥール・ゴメス(Arthur Gomes, 1998)[#21 バレアル(Barreal, 2000)]

今節前の順位

   クルゼイロは全国選手権1勝1分1敗勝点4の12位。
   ヴィトーリアは全国選手権0勝1分1敗勝点1の17位。

得点シーン

(CRU) : 50' #10 マテウス・ペレイラ(Matheus Pereira, 1996)[]
VOLルーカス・ロメロ(Lucas Romero, 1994)が縦に鋭いボールを入れると、FWハファ・シウヴァ(Rafa Silva, 1992)がスルーする形でペナルティエリア入口にボールが流れる。FWマテウス・ペレイラが味方と交錯しそうになりながらもボールを確保すると、GKが直前のプレーで前に飛び出し無人となったゴールにボールを蹴り込みクルゼイロが先制点を奪う。[1-0]
   FWマテウス・ペレイラは、2010年にポルトガルに渡ると、初めに所属したクラブでのプレーがスポルティング/PORスカウトの目に留まりスポルティング下部組織に加入。2015年10月ヨーロッパリーグにて19歳のプロデビューを果たすが、2017/18シーズン以降はチームで構想外となり期限付き移籍を繰り返す。契約満了後はイングランド、中東の複数のクラブでプレーし、2023年7月27日にアル・ヒラル/KSAからの期限付き移籍でクルゼイロへ加入。間もなくチームの攻撃の要として活躍を遂げている。
(VIT) : 52' #xx オウンゴール(Gol Contra)[]
ヴィトーリアが右サイドからゴール前にクロスを上げると、クリアをしようと飛び上がったCBが死角となり、VOLルーカス・シウヴァがしゃがんだ頭に当たったボールがゴールに吸い込まれヴィトーリアが幸運な形で同点に追いつく。[1-1]
(CRU) : 58' #8 ハファ・シウヴァ(Rafa Silva, 1992)[#21 バレアル(Barreal, 2000)]
クルゼイロが相手陣左サイドでボールを前後に繋ぎ、最後は左サイドライン際からFWバレアルがクロス。厳しいマークに付かれたFWハファ・シウヴァがボールに僅かに触れ、ゴールファーサイドへ流し込む。[2-1]
   FWハファ・シウヴァは、アルビレックス新潟/JPNで3年62試合26得点、浦和レッズ/JPNで1年42試合21得点2アシストを記録する経歴を持つ。2024年シーズン前に2022年にプレーしたクルゼイロに復帰。シーズン序盤はほとんど出場機会に恵まれなかったものの、フェルナンド・サエブラ(Fernando Seabra)監督就任後の全国選手権開幕節ボタフォゴ戦にて先発に抜擢されるとゴールでその期待に応えると、全国選手権は4戦連続のスタメン起用。このゴールは開幕節以来の2ゴール目。
(CRU) : 75' #11 アルトゥール・ゴメス(Arthur Gomes, 1998)[#21 バレアル(Barreal, 2000)]
FWアルトゥール・ゴメスが左サイドライン際でFWバレアルと前後のタベーラで最終ライン裏に抜け出すとそのままドリブルでペナルティエリアに侵入。縦に駆け上がるFWマテウス・ペレイラを囮に切り返しから右足を振り抜くと、グラウンダーのシュートはGKのニアサイドを抜けゴールネットを揺らす。ゴラッソ。[3-1]
   FWアルトゥール・ゴメスは、サントス育成出身で2016年11月6日全国選手権ポンチプレッタ戦の後半38分に18歳のプロデビューを飾る。2015年U-17W杯に出場するなど期待も大きく、サントスでは2018年37試合4得点2アシストを記録するが、レギュラーの座を獲得するには至らず、2度の期限付き移籍を経て、2021/22シーズンを前にエストリウ・プライア/PORへ移籍。2022年9月にスポルティング/PORに引き抜かれると、スーパーサブのような役割を担い、2023年5月までに38試合4得点3アシストを記録。2023年7月15日クルゼイロが3年半の契約、300万ユーロの移籍金で獲得を発表。加入後間もなくサイドのポジションに定着すると攻守に高い貢献度で残留争いに巻き込まれていたチームの残留に貢献。2024年もこの試合を含めチーム全20試合のうち18試合に出場、3得点4アシストを記録中。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:57% 43% ⇒ 前後半:50% 50%
シュート(枠内): 前半:12‐2(3-0) ⇒ 前後半:19-7(6-3)
パス成功率: 前半:86% 78% ⇒ 前後半:86% 82%

   クルゼイロは、0-0に終えた週中のコパ・スウアメリカーナからFW2選手など攻撃陣を中心に4選手を入れ替え。守備面で機能したスリーボランチを継続する。
   ヴィトーリアは、前節2-2に終えたバイーア戦から2つのポジションを変更。3月加入のVOLルアン・シウヴァ(Luan Silva, 1999)が全国選手権初スタメン、FWマテウス・ゴンサウヴェス(Mateus Gonçalves, 1994)がスタメンに返り咲く。

   アウェイの一戦で自陣で堅固な守備ブロックを敷くヴィトーリアに対し、ボールを支配し守備ブロックの外をボールを繋ぎながら攻撃の糸口を探るクルゼイロ。クルゼイロは、たびたびゴール前にボールを運ぼうとするが、そのボールはヴィトーリア守備陣に跳ね返され、シュートに持ち込む場面も精度は低く、好機は訪れない。
   ヴィトーリアは前半35分を過ぎて、全体的に前に上がり、コンパクトな中盤でボールを奪うと素早く縦にボールを運ぶが、こちらも好機を演出するには至らない。
   後半5分にクルゼイロが縦の鋭いパスで活路を開き先制。その2分後にはクルゼイロのオウンゴールで同点。さらに6分後には左サイドライン際から後半開始時にピッチに立ったFWバレアルのクロスにFWハファ・シウヴァが技ありのゴールで勝ち越し。後半30分にはタベーラで左サイドを抜け出したFWアルトゥール・ゴメスのゴラッソでクルゼイロが追加点。
   オウンゴールを含めクルゼイロから4つのゴールが生まれたが、その後はクルゼイロがやや引き気味となり守備を固め、ヴィトーリアがボールを握る構図となる。しかし、ヴィトーリアは前への推進力に欠き、クルゼイロGKアンデルソン(Anderson, 1998)を脅かすことができずタイムアップ。
   ホームのクルゼイロが3-1の勝利。ヴィトーリアは3戦して未だ白星がない。

   クルゼイロは、フェルナンド・サエブラ監督就任後は、得点を奪うことに重点を置きすぎ、多くの失点を喫していたが、週中のコパ・スウアメリカーナでの0-0の引き分けに続き、今節はオウンゴールによる失点はあったものの、流れの中で得点を許さず、チームとして一歩前進した印象を受けた。
   2023年終盤以降は、攻撃面でFWマテウス・ペレイラに依存する場面が多く見られたが、今節も1点目と3点目はFWマテウス・ペレイラが関与。2点目のFWハファ・シウヴァのゴールのようにサイドからのクロスや、3点目のFWマテウス・ペレイラを囮に使ったゴールなど、得点パターンの多様性を今後も広げていきたい。
   前半は恐らくプラン通りの内容だったであろうが、後半は速いパススピードのクルゼイロの攻撃に守備を崩されてしまった印象。引いた相手を崩すほどの攻撃のバリエーションはなく、後半はもうしばらくロースコアで試合を進めたかった。
   次戦は週中に好調ボタフォゴとのアウェイでのコパ・ド・ブラジル三回戦1stレグ。全国選手権に重点を置き控え選手を中心とするのか、ベストメンバーで挑むのか、その判断は難しいが、いずれにしても今節の前半のように組織的な守備を敷き、左右の揺さぶりに振り回されず、ロースコアゲームに持ち込みたい。

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