【ブラジル全国選手権2024】第5節(1/2)

投稿者: | 2024年5月5日

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全国選手権第5節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこの記事で。
・2024/05/04 フルミネンセ(FLU) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
・2024/05/04 コリンチャンス(COR) x フォルタレーザ(FOR)
・2024/05/04 RBブラガンチーノ(RBB) x フラメンゴ(FLA)
・2024/05/05 ヴィトーリア(VIT) x サンパウロ(SAO)
・2024/05/05 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
以下の2試合の概要はこちらで。→ 
・2024/05/05 ボタフォゴ(BOT) x バイーア(BAH)
・2024/05/05 クイアバ(CUI) x パウメイラス(PAL)
以下の3試合は順延。
2024/xx/xx グレミオ(GRE) x クリシウーマ(CRI)
2024/xx/xx 
クルゼイロ(CRU) x インテルナシオナウ(INT)
2024/xx/xx 
ジュヴェントゥージ(JUV) x アトレチコ・ゴイアニエンセ(ACG)

全国選手権第5節 試合概要

フルミネンセ(FLU) 2-2 アトレチコ・ミネイロ(CAM)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=2bQ6ScJ7FyE
(FLU) : 4' #14 ヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)[#77 マルキーニョス(Marquinhos, 2003)]
(FLU) : 61' #88 ヘナト・アウグスト(Renato Augusto, 1988)[#5 アレキサンデル(Alexsander, 2003)]
(CAM) : 73' #11 バルガス(Vargas, 1989)[#17 イゴル・ゴメス(Igor Gomes, 1999)]
(CAM) : 79' #11 バルガス(Vargas, 1989)[#13 ギリェルミ・アラーナ(Guilherme Arana, 1997)]

今節前の順位

   フルミネンセは全国選手権1勝1分2敗勝点4の16位。
   アトレチコ・ミネイロは全国選手権2勝2分0敗勝点8の2位。

得点シーン

(FLU) : 4' #14 ヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)[#77 マルキーニョス(Marquinhos, 2003)]
自陣中盤からのFKをMFリマ(Lima, 1996)がクイックスタート。ボールを受けた右SBマルキーニョスがFWドウグラス・コスタ(Douglas Costa, 1990)とのタベーラで右サイドライン際を抜け出し、一気にペナルティエリアに侵入しゴールライン際までボールを運ぶ。間合いを詰めるGKの足元を抜くクロスを送ると、FWヘルマン・カーノがDFのマークを掻い潜り足を合わせてゴールネットを揺らす。
   FWヘルマン・カーノは2022年全国選手権で全38試合に出場し26ゴールを決め得点王に輝いたアルゼンチン国籍のストライカー。フルミネンセには2022年に加入しすでに145試合89得点、年内のクラブ100ゴールはほぼ間違いない。
(FLU) : 61' #88 ヘナト・アウグスト(Renato Augusto, 1988)[#5 アレキサンデル(Alexsander, 2003)]
相手GKのパスをカットしたVOLアレキサンデルがすかさず相手両センターバックの間へボールを流すとMFヘナト・アウグストが現われ、間合いを詰めるGKの脇を通すシュートでフルミネンセが追加点。
   MFヘナト・アウグストは、2018W杯など代表33試合6得点。フラメンゴでプロデビューを飾り、バイエル・レバークーゼン/GER、コリンチャンス、北京国安/CHN、コリンチャンスを経て、2024年にフルミネンセに加入、自身14試合目でクラブ初ゴール。
(CAM) : 73' #11 バルガス(Vargas, 1989)[#17 イゴル・ゴメス(Igor Gomes, 1999)]
自陣からのボールを受けたMFイゴル・ゴメスが顔を上げるや最終ラインの間で抜け出しを図るFWバルガスへスルーパス。FWフッキ(Hulk, 1986)との交代でピッチに立ったばかりFWバルガスがバウンドを合わせ右足を振り抜くとボールはファーサイドのゴールネットを揺らす。
(CAM) : 79' #11 バルガス(Vargas, 1989)[#13 ギリェルミ・アラーナ(Guilherme Arana, 1997)]
左サイドライン際でボールを受けた左SBギリェルミ・アラーナがゴール前にクロス。中央からニアサイドに向かいディフェンダーの手前に現れたFWバルガスが難なくボールを頭に合わせファーサイドのゴールネットにボールを流し込む。
   FWバルガスは、2014W杯などチリ代表として108試合41得点の実績を残す。アトレチコ・ミネイロには2020年7月に加入。2023年までに129試合24得点12アシスト。スタメンに定着はしていないが、苦しい時に先発や途中交代でチームを支えるいぶし銀の働きをみせている。2024年はチリ代表として2試合1得点、アトレチコ・ミネイロで11試合3得点。全国選手権は5試合131分の出場で3得点を記録中。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:52% 48% ⇒ 前後半:48% 52%
シュート(枠内): 前半:7‐5(-) ⇒ 前後半:10-17(4-7)
パス成功率: 前半:82% 77% ⇒ 前後半:78% 80%

   フルミネンセのスタメンは、週中のコパ・ド・ブラジルから5選手を変更。一週間前の第4節コリンチャンス戦からは、右SBにマルキーニョス(Marquinhos, 2003)、FWにドウグラス・コスタ(Douglas Costa, 1990)を入れる攻撃的な布陣。
   アトレチコ・ミネイロのスタメンは、週中のコパ・ド・ブラジルから1選手のみ変更。出場停止のCBブルーノ・フッキス(Bruno Fuchs, 1999)に代わりCBジェメルソン(Jemerson, 1992)。一週間前の第4節クイアバ戦では、MFグスタヴォ・スカルパ(Gustavo Scarpa, 1994)の左SB起用や、FWアリソン(Alisson, 2005)とFWバルガス(Vargas, 1989)、FWパウリーニョ(Paulinho, 2000)のスリートップを試したが、今節はMFグスタヴォ・スカルパを右SH、FWパウリーニョとFWフッキ(Hulk, 1986)のツートップに戻す。

   早くも開始4分に動き出した試合は、相手陣でマークに行くアトレチコ・ミネイロと自陣から細かくボールを繋ぎ一気に相手陣へ攻め込みたいフルミネンセの鎬を削る展開が続く。フルミネンセはCBフェリピ・メロ(Felipe Melo, 1983)が数多くのスライディングタックルで窮地をしのぎ、MFガンソ(PH Ganso, 1989)を中心にマイボールを展開。アトレチコ・ミネイロはツートップに左SBギリェルミ・アラーナ、右SHグスタヴォ・スカルパが絡み、フルミネンセゴールに迫る。
   フルミネンセは、前半16分と23分にFWジョン・アリアス(Jhon Arias, 1997)がシュートに持ち込むと、前半41分にはアトレチコ・ミネイロFWパウリーニョ(Paulinho, 2000)がミドルシュート。しかし、フルミネンセGKファビオ(Fábio, 1980)がCKに逃れる。
   前半はややフルミネンセが優位に試合を進めながらも、終盤にかけてアトレチコ・ミネイロがチャンスを作り出す展開となり、フルミネンセが1-0とリードし終了。
   前半終盤の流れを引き継ぎ、アトレチコ・ミネイロが攻勢に試合を運び、フルミネンセがゴール前を固め、カウンターを狙う展開となる。
   後半15分にフルミネンセは一気に3枚の交代カードを切る。すると、その一分後、VOLアレキサンデルが相手のパスカットからMFヘナト・アウグストのゴールをアシスト、ピッチに立ったばかりの両選手によるゴールでフルミネンセが劣勢の中、追加点を奪う。
   アトレチコ・ミネイロは、後半27分、FWフッキとMFサラーチョ(Zaracho, 1998)に代えFWバルガスとMFイゴル・ゴメスを投入。すると、交代から12秒後にFWバルガスがMFイゴル・ゴメスからのアシストで1点差に迫るゴール。さらにその6分後の後半34分、FWバルガスが再びゴールネットを揺らし、アトレチコ・ミネイロが同点。
   勢いに乗ったアトレチコ・ミネイロはその後も攻勢をかけるが、逆転ゴールを奪うには至らず、試合は2-2の引き分け。ホームのフルミネンセは2点のリードを守れず、アウェイのアトレチコ・ミネイロは2点のビハインドを追いついた、互いに価値の異なる勝点「1」を分け合った。

   フルミネンセは、右サイドバックへのFWマルキーニョスの起用が当たり先制。さらには、後半15分の選手交代後に交代したばかりの2選手が絡む得点でリードを拡げた。この得点にのみ焦点を当てれば好采配と言えるが、前半の終盤以降、右SBマルキーニョスは相手左SBギリェルミ・アラーナに対応できず、このサポートにFWジョン・アリアスが下りてきてフルミネンセの右サイドからの攻撃が機能不全となる。また、右SBグーガ(Guga, 1998)を投入せずFWマルキーニョスを最後まで引っ張り、このサイドを起点に同点に追いつかれた。
   この試合ではVOLアンドレ(André, 2001)が離脱中のためCBフェリピ・メロの交代枠にCBフェリピ・アンドラージ(Felipe Andrade, 2002)が起用されたものの、これまでは多くの試合でVOLアンドレ(André, 2001)を最終ラインに下げる戦術を採用。本職の選手を起用せず、急造で本職と異なる選手を起用することで、選手から監督に対する不信感が生まれないのだろうか。
   フェルナンド・ジニース監督はフルミネンセ就任当初までは、若手に我慢強く出場機会を与えていた印象があるが、2023年以降は、タイトル獲得と自分のサッカーへのこだわりゆえに、狭い特定の選手への揺るぎない信頼と、自分のサッカーに対応しきれない選手の安易な切り捨てが感じられる。この傾向が続くとフルミネンセがクラブとして崩壊を迎える日は近いのではないかと危惧される。

   アトレチコ・ミネイロは、ガブリエル・ミリット(Gabriel Milito,)監督の采配が的中。試合ごと、または試合の中でも様々な戦術を試し、これまでサイドライン際に開いたプレーで好調を保っていたMFグスタヴォ・スカルパを中盤の中央へ攻撃の組み立てのために自由を与え、後半28分には絶対的なFWフッキにかえFWバルガスを投入。そして、FWバルガスが2ゴールを生み出し試合は同点に。
   後半開始時にはCBジェメルソンにアクシデントがあったのか、急遽、プロデビュー戦となるCBホームロ(Rômulo, 2004)を起用。同点後の押せ押せムードの中、後半39分に前節スタメンを務めたFWアリソン(Alisson, 2005)、後半45分にFWカドゥ(Cadu, 2004)を投入。
   FW陣は結果を残せなかったものの、CBホームロは前半のCBジェメルソンを上回るパフォーマンスで最終ラインに安定感をもたらした。
   試合は引き分けに終えたが、日が沈みゆくフルミネンセと、夜明け前のアトレチコ・ミネイロを印象付ける試合となった。

コリンチャンス(COR) 0-0 フォルタレーザ(FOR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=kMqcfkqG6RY

今節前の順位

   コリンチャンスは全国選手権1勝1分2敗勝点4の15位。
   フォルタレーザは全国選手権1勝2分0敗勝点5の11位。

得点シーン

N/A

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:% % ⇒ 前後半:59% 41%
シュート(枠内): 前半:‐(-) ⇒ 前後半:18-11(8-2)
パス成功率: 前半:% % ⇒ 前後半:85% 74%

   コリンチャンスは、3-0の勝利を収めた前節フルミネンセ戦のスタメンから、負傷のFWペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 1990)に代わりFWグスタヴォ・モスキート(Gustavo Mosquito, 1997)を起用した点のみ変更。週中のコパ・ド・ブラジルでプロ初ゴールを記録したいVOLブレーノ・ビドン(Breno Bidon, 2005)が公式戦3試合連続のスタメン。公式戦3連勝を目指す。
   フォルタレーザのスタメンは、1-1に終えた前節RBブラガンチーノ戦から4つのポジション、また、0-0に終えた週中のコパ・ド・ブラジルヴァスコ・ダ・ガマ戦1stレグからは5つのポジションで変更。いずれもホームゲームで勝ち切れておらず、試行錯誤が続いている。

   立ち上がりはアウェイのフォルタレーザがコリンチャンスの厳しいマークをワンタッチのパス回しでいなし試合を優位に展開するが、コリンチャンスは最終ラインがシュートまで持ち込ませない。一方のコリンチャンスは、ボールを保持してもフォルタレーザの守備網にたやすく掛かり効果的にボールを相手陣に運ぶことができない。
   前半15分、フォルタレーザは、MFポチェチーノ(Pochettino, 1996)の自陣からスルーパスにFWブレーノ・ロペス(Breno Lopes, 1996)がオフサイドぎりぎりで抜け出しシュートに持ち込む。しかし、ボールはわずかに枠を捉えない。
   前半20分を過ぎた頃からコリンチャンスがボールを支配。
   前半24分、左サイドからFWウェズレイ(Wesley, 2005)がゴール前にクロス。VOLハニエリ(Raniele, 1996)が頭を合わせるが、この至近距離シュートをGKジョアン・ヒカルド(João Ricardo, 1988)が片手で阻止。前半31分のMFロドリゴ・ガーロ(Rodrigo Garro, 1998)のペナルティエリア入口からシュートはGKジョアン・ヒカルドは両手でCKに逃れ、前半34分のFWホメーロ(Romero, 1992)の直接FKはサイドネットの外側を揺らす。
   前半の流れを受け、後半も勢いはコリンチャンス。後半10分、SBマテウジーニョ(Matheuzinho, 2000)が蹴る右CKにゴール前でCBフェリックス・トーレス(Félix Torres, 1997)が頭でボールを叩きつけるが、GKジョアン・ヒカルドが好セーブでゴールを許さない。
   フォルタレーザは、カウンターから相手ゴールに迫ろうとするが、連係があわないケースがしばしば見られ、攻撃の芽を自らが潰してしまう。
   後半32分には、コリンチャンスが左サイドFWウェズレイのクロスにゴール前ニアサイドでVOLブレーノ・ビドンが踵で合わせるがボールはGKジョアン・ヒカルドの正面。
   後半35分、フォルタレーザはFWモイゼス(Moisés, 1996)が個人技でペナルティエリアに抜け出しシュートを放つが、コリンチャンスGKカルロス・ミゲウ(Carlos Miguel, 1998)の手先をかすめゴールポストの外へ。
   インテンシティの高い白熱した一戦は、両チームGKの好守が続き、両チームゴールをこじ開けることができず、0-0のままタイムアップの笛が吹かれた。

   コリンチャンスは、立ち上がりこそ攻守に空回り気味だったが、前半20分を過ぎて落ち着きを取り戻し、以降は試合の主導権を握った。
   FWユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)に続き、前節にFWペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 1990)が離脱。FWペドロ・ハウーウ(Pedro Raul, 1996)がフィットしきれておらず、前線の高さに欠くものの、FWウェズレイ、FWホメーロがスピードで相手守備陣を翻弄。試合を通して18本のシュートを放ったが、フォルタレーザGKジョアン・ヒカルドの度重なる好セーブにサイドまでゴールをこじ開けることができず、公式戦の連勝は2でストップ。
   次戦は週中にグループ首位から勝点「2」差の3位につけるコパ・スウアメリカーナ。全国選手権は次節フラメンゴ戦。今後に向けていずれの大会も勝点「3」が必須となるだけに、現状の勢いを落とさず最後の精度を少しでも上げて連戦に臨みたい。

   フォルタレーザは、前半20分までのボールを支配した局面と、それ以降のボールを支配された局面で、それぞれに状況に応じた対応をしたものの、特に後半は攻撃面での連係ミスによりカウンターのチャンスをみすみす潰す機会が散見された。
   昨年のこの時期も、コパ・スウアメリカーナでの大量得点試合とは対照的に、全国選手権では得点力不足に陥り、結局は全国選手権では上位(リベルタドーレス出場圏)争いに加わることなくシーズンを終えたが、今年は同じ轍を踏んでもらいたくはない。
   週中に開催されるコパ・スウアメリカーナは現在3連勝中でグループ首位。全国選手権次節の対戦相手は首位ボタフォゴ。週中の試合で戦力を温存し、首位ボタフォゴを叩いて全国選手権でも上位を争ってもらいたいし、それにふさわしい戦力は揃っていると信じたい。

RBブラガンチーノ(RBB) 1-1 フラメンゴ(FLA)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=PfXoEZ6fFvs
(RBB) : 30' #14 ペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 1995)[#22 グスタヴィーニョ(Gustavinho, 2004)]
(FLA) : 79' #27 ブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1990)[#18 デ・ラ・クルス(De La Cruz, 1997)]

今節前の順位

   RBブラガンチーノは全国選手権2勝2分0敗勝点8の3位。
   フラメンゴは全国選手権2勝1分1敗勝点7の8位。

得点シーン

(RBB) : 30' #14 ペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 1995)[#22 グスタヴィーニョ(Gustavinho, 2004)]
右CKを蹴るのはMFグスタヴィーニョ。右足で蹴られたゴールから離れるボールは、フラメンゴ守備陣の中でぽっかりと空いたスペースに向かい、CBペドロ・エンヒキが競り合うことなく頭を合わせる。
   CBペドロ・エンヒキはコリンチャンス育成出身。2020年に加入したアトレチコ・パラナエンセでレギュラーの座を掴み、2021年、2022年はいずれも52試合に出場、2021年はコパ・スウアメリカーナ優勝、2022年はリベルタドーレス準優勝に貢献。しかし、2023年にレギュラーの座を失い、2024年も州選手権5試合366分の出場に止まっていた。RBブラガンチーノには移籍ウィンドウ最終日の4月19日に加入。最終ラインの最年長選手としてラインの統率、最後方からの指示などが期待されている。[1-0]
(FLA) : 79' #27 ブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1990)[#18 デ・ラ・クルス(De La Cruz, 1997)]
フラメンゴ最終ラインがハーフライン付近でボール回し。MFデ・ラ・クルスが最終ラインまで下がりボールを受けると、ハーフライン付近から駆け上がり相手最終ライン裏への抜け出しを図るFWブルーノ・エンヒキへ浮き球のパス。ワントラップでボールをコントロールしたFWブルーノ・エンヒキが間合いを詰めるGKの脇を抜くシュートでゴールネットを揺らす。[1-1]
   FWブルーノ・エンヒキは、クラブチームの下部組織を経ず、アマチュアサッカーの大会での活躍を受け、2012年(21歳)でクルゼイロ入団した珍しい経歴を持つ。2015年にゴイアスで57試合12得点7アシストを記録し、2015年1月にウォルフスブルク/GERへ移籍。2016年4月6日チャンピオンズリーグ準々決勝レアルマドリード/ESP戦1stレグにて前半25分にチームの2点目をアシスト。2019年にフラメンゴに加入すると、9月に代表に招集され親善試合2試合に出場。2022年に膝前十字靭帯断裂の大ケガを負うが、2023年に復帰すると、自慢のスピードと絶妙な抜け出しのタイミングで、シーズン終盤にはレギュラーの座を奪還。フラメンゴでは2023年末までの5年間で224試合86得点47アシスト。2024年は22試合3得点1アシストを記録中。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:48% 52% ⇒ 前後半:46% 54%
シュート(枠内): 前半:8‐7(2-1) ⇒ 前後半:14-19(3-6)
パス成功率: 前半:72% 80% ⇒ 前後半:71% 81%

   RBブラガンチーノは、膝前十字靭帯断裂の大ケガから復帰し前節で後半45分間プレーしたCBエドゥアルド・サントス(Eduardo Santos)が、週中のコパ・ド・ブラジルに続き先発。これまでは、SBルアン・カンジド(Luan Cândido, 2001)がセンターバックに入ることも多かったが、SBルアン・カンジドは本職の左サイドバックでの出場。
   フラメンゴは前節ボタフォゴ戦に0-2の敗戦。週中のコパ・ド・ブラジルでは、全国選手権2部アマゾナスFCを相手に辛うじて1-0の勝利。3日後にはリベルタドーレスで勝点差「1」で迫るグループ3位のパレスチーノ/CHIとの試合が控え、一部主力を温存した先発メンバー。

   試合は、ホームのRBブラガンチーノがパススピードの速い展開とボールを失った際の素早い寄せで、試合の主導権を握る。
   しかし、初めに大きなチャンスを迎えたのはフラメンゴ。前半21分、GKロッシ(Rossi, 1995)のライナー性のフィードを相手陣でFWペドロ(Pedro, 1997)が受け、間合いを詰めるディフェンダーの背後へボールを送る。そこにMFデ・ラ・クルス(De La Cruz, 1997)が走り込みボールを確保するが、背後からSBルアン・カンジドのタックルを受け転倒。このSBルアン・カンジドのプレーにレッドカードが提示される。しかし、VARの検証により、MFデ・ラ・クルスが自陣から駆け上がる際にマークにつく選手の足を引っ掛け倒すプレーが検出され、レッドカードは取消。MFデ・ラ・クルスのファールから試合が再開された。
   その後、再びRBブラガンチーノが試合を優位に運ぶと、前半30分に右CKから新加入CBペドロ・エンヒキのゴールで先制。RBブラガンチーノは、先制後に布陣をやや下げたものの、自陣に入るボールに対する寄せは厳しく、相手にボールを持たせながらも試合をコントロールして前半を終える。
   ハーフタイムにフラメンゴのチチ監督はチームを修正。前半2分、左サイドをFWブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1990)がMFルイス・アラウージョ(Luiz Araújo, 1996)とのタベーラで抜け出し、ペナルティエリア手前からシュート。RBブラガンチーノGKクレイトン(Cleiton, 1997)が両手でセーブ。こぼれ球に2度、3度とフラメンゴがシュートに持ち込むが、RBブラガンチーノディフェンダーは身を挺してシュートブロック。
   フラメンゴは、さらに後半4分、自陣からワンタッチで縦に速くボールを繋ぎ、MFデ・ラ・クルスが抜け出し、GKと一対一に。右足を振り抜いたシュートはクロスバーを直撃。
   一方のRBブラガンチーノも後半7分、ショートコーナーからの流れでMFエリキ・ハミーレス(Eric Ramires, 2000)がペナルティエリア手前から強烈なシュートを放つが、これもクロスバーを直撃しゴールは生まれない。
   後半26分、フラメンゴは相手守備ブロックの外からゴールライン際に柔らかいボール。CBレオ・ペレイラ(Léo Pereira, 1996)が折り返したボールをFWブルーノ・エンヒキが頭で叩きつけるが、この至近距離の難しいシュートをGKクレイトンが片手で掻き出す。
   なおも攻勢をかけるフラメンゴは、ハーフラインまで下がりボールにタッチしたFWブルーノ・エンヒキがゴール前に駆け上がり、MFデ・ラ・クルスのパスを受けゴール。遂にフラメンゴが同点。
   その後試合はややオープンになりながらも互いに決定機を迎えることなく終了。1-1の引き分けで両チーム勝点「1」を分け合った。

   RBブラガンチーノは、公式戦3試合連続の1-1の引き分け。2023年シーズン以来引き分けの試合が多く、勝ち切れないもどかしい試合が続いている。しかし、CBエドゥアルド・サントスの復帰に続き、2023年に中盤の主力を務めたMFルーカス・エヴァンジェリスタ(Lucas Evangelista, 1995)が2月末の戦列離脱から復帰し、短時間ながら2試合連続出場。ケガ人の復帰という明るいニュースも続いている。

   フラメンゴは、中2日で負けられないリベルタドーレスの試合を控え、ベストメンバーで試合に臨めなかったものの、前半37分のMFルイス・アラウージョの投入やハーフタイムでの修正が功を奏し、苦しみながらもアウェイで勝点「1」を持ち帰ることに成功。ひとまずはリベルタドーレスに注力し、そこで勢いをつけて次節コリンチャンスをホームに迎えたい。

ヴィトーリア(VIT) 1-3 サンパウロ(SAO)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=YcSGcXnfH0E
(SAO) : 45' #10 ルシアーノ(Luciano, 1993)[#2 イゴル・ヴィニシウス(Igor Vinícius, 1997)]
(VIT) : 49' #29 ウィリアン・オリヴェイラ(Willian Oliveira, 1993)[#30 マテウジーニョ(Matheuzinho, 1997)]
(SAO) : 53' #10 ルシアーノ(Luciano, 1993)[#15 ミシェル・アラウーホ(Michel Araújo, 1996)]
(SAO) : 84' #32 フェラレシ(Ferraresi, 1998)[]

今節前の順位

   ヴィトーリアは全国選手権0勝1分2敗勝点1の18位。
   サンパウロは全国選手権1勝1分2敗勝点4の14位。

得点シーン

(SAO) : 45' #10 ルシアーノ(Luciano, 1993)[#2 イゴル・ヴィニシウス(Igor Vinícius, 1997)]
ペナルティエリア手前でボールを展開し、左サイドからゴール前にクロス。ディフェンダーがクリアしたこぼれ球を右サイドで右SBイゴル・ヴィニシウスが拾うと、ゴール前のポジショニングを確認しクロス。FWルシアーノがディフェンダーの手前で頭を合わせサンパウロが待望の先制点。[0-1]
   右SBイゴル・ヴィニシウスは、サントス育成出身で2016年4月21日コパ・ド・ブラジル一回戦で19歳のプロデビュー。イトゥアーノを経て2019年にサンパウロ入り。2019年29試合出場から2022年48試合出場と年々出場機会を増やしてきたが、2023年は若手選手の台頭もあり僅か2試合の出場に止まった。2024年は主力の右SBハフィーニャ(Rafinha, 1985)のケガなどがあり、先発での出場機会が増加。スリーバック時ではウィングバックとして積極的な攻撃参加でサンパウロの右サイドからの攻撃を牽引している。
(VIT) : 49' #29 ウィリアン・オリヴェイラ(Willian Oliveira, 1993)[#30 マテウジーニョ(Matheuzinho, 1997)]
左CK。MFマテウジーニョが左足で蹴ったボールは僅かにゴールから離れていく。ニアサイドでゴールライン上にポジションを取ったVOLウィリアン・オリヴェイラがボールの軌道にあわせるように後方に下がり、ディフェンダーの間で頭を合わせゴールネットを揺らす。[1-1]
   VOLウィリアン・オリヴェイラは、フルミネンセ育成出身で2013年5月全国選手権にて20歳のプロデビューを飾るとその年は10試合に出場。しかし、その後は2018年までフルミネンセとの契約は続くが、期限付き移籍により多くのチームでプレー。2020年はシャペコエンセにて、2022年はクルゼイロにて、レギュラーを務め、全国選手権2部優勝に貢献するも契約は更新されない。2023年ゴイアスで55試合に出場すると、2024年1部昇格のヴィトーリアに加入しチーム26試合のうち23試合に出場、2得点1アシストを記録中。ボランチとしてフィルター役、守備ラインと攻撃陣のつなぎ役としての堅実なプレーが印象深い。
   MFマテウジーニョは公称165㎝の小柄にミッドフィルダー。低い重心を利用したボールキープ力や確かな戦術眼を持ち、決定的で正確なパス出しを得意とする。フィゲイレンセ育成出身で2015年3月、当時全国選手権1部の同クラブから、州選手権にて17歳のプロデビュー。翌2016年には全国選手権5試合に出場。将来性を期待されたが、フィゲイレンセではあまり多くの出場機会に恵まれず、2020年に加入したカシアスでも同様の状況が続く。2023年全国選手権2部開幕を前にヴィトーリアに入団すると、ケガ明けの7月16日第17節を機にレギュラーの座を獲得。2024年も攻撃の要としてバイーア州選手権優勝に貢献。この試合を含め23試合2得点6アシストを記録中。2016年以来となる全国選手権1部の舞台では4試合1得点2アシストを記録中。
(SAO) : 53' #10 ルシアーノ(Luciano, 1993)[#15 ミシェル・アラウーホ(Michel Araújo, 1996)]
守備ブロックの前でのボール回しから、左サイドのぽっかりと空いたスペースに左WBミシェル・アラウーホが走り込むとMFホドリゴ・ネストール(Rodrigo Nestor, 2000)からボールが送られる。WBミシェル・アラウーホはゴールライン際までボールを運びマイナスのパス。FWルシアーノが難なくボールをゴールに流しいれサンパウロが勝ち越す。[1-2]
   FWルシアーノは、2020年全国選手権開幕を前にサンパウロに加入。2023年シーズン終了までに201試合67得点21アシストを記録。2023年は15得点でチーム内得点王。2024年はこの試合を含め22試合7得点。
   MFミシェル・アラウーホは、2017年にラシン/URUからプロデビューを果たしたウルグアイ国籍選手。2020年にフルミネンセに加入し40試合に出場するが、翌年以降は出場機会は減少し、2023、2024年は期限付き移籍によりサンパウロにてプレー。2023年はキャリアハイの50試合に出場。最近の試合ではスリーバックの布陣で左ウィングバックとして左サイドからの攻撃の起点として活躍している。
(SAO) : 84' #32 フェラレシ(Ferraresi, 1998)[]
右CK。ニアサイドでのフリックにFWカレリ(Calleri, 1993)が足を伸ばすが、当たりが悪くディフェンダーがゴールライン上でクリア。このボールを拾ったCBフェラレシは、シュートフェイントでディフェンダーのスライディングをかわし、左足でコースを狙ったシュートを放つと、ボールはファーサイドのゴールポストを直撃しゴールイン。[1-3]
   CBフェラレシは、ベネズエラ代表として2022、2026W杯南米予選など25試合1得点の実績。マンチェスターシティ/ENGからの期限付き移籍として2022年7月にサンパウロに加入するが、2023年序盤に右膝前十字靭帯断裂の大ケガを負い、終盤に復帰するも現パリSG/FRA所属CBルーカス・ベラウド(Lucas Beraldo, 2003)の台頭もあり、出場機会に恵まれない。しかし、サンパウロは2023年11月に完全移籍に移行。2024年に入り徐々に出場機会を増やしてきている。このゴールはフォワード顔負けの落ち着きとシュートコントロール。まだクラブでは実力を発揮しきれていれないベネズエラ代表のクラブ初ゴールとなった。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:29% 71% ⇒ 前後半:35% 65%
シュート(枠内): 前半:1‐7(0-4) ⇒ 前後半:6-18(3-8)
パス成功率: 前半:73% 92% ⇒ 前後半:78% 90%

   ヴィトーリアは開幕3試合を消化し未勝利。今節のスタメンは、3日前のコパ・ド・ブラジルでのボタフォゴ戦で機能したスリーバックを採用し、ツートップのみ変更。FWジアン・モッタ(Jean Mota, 1993)、FWアレハンドロ(Alerrandro, 2000)のコンビに代わり、FWオズヴァウド(Osvaldo, 1987)、FWジャンデルソン(Janderson, 1999)のコンビが入る。
   サンパウロは、スベルディア(Zubeldía)監督就任後公式戦2勝1分。週中のコパ・ド・ブラジルは全国選手権4部のアーギアが相手ということもあり全ポジションを前節から変更し主力を温存。今節のスタメンは前節のそれからMFホドリゴ・ネストール(Rodrigo Nestor, 2000)とミシェル・アラウーホ(Michel Araújo, 1996)が変更。

   前半7分、ヴィトーリアは左CKを獲得するが、ゴール前のポジション争いでCBヴァギネル・レオナルド(Wagner Leonardo, 1999)がディフェンダーを振り払った際に腕がディフェンダーの顔に入り、VARの検証の末、退場処分が下される。
   前半17分、サンパウロはMFホドリゴ・ネストールが左ゴールエリア沿いにゴールライン際までボールを運びクロス。ディフェンダーに当たり流れたボールをSBイゴル・ヴィニシウス(Igor Vinícius, 1997)がシュートに持ち込むが、SBペー・カー(PK, 1994)がゴールライン上でクリア。
   前半40分、サンパウロは左サイドからFWルシアーノがゴール前にクロス。SBイゴル・ヴィニシウスが放ったシュートはゴールポストを叩きゴールならず。
   数的不利のヴィトーリアだが、味方につけるクリアや、10~15mの距離のパスを繋ぎ、サンパウロ陣にボールを持ち込むが、サンパウロGKハファエウ(Rafael, 1989)を脅かすまでは至らない。
   このまま前半を終えるかと思われた前半45分、サンパウロがFWルシアーノのゴールで均衡を破る。
   後半に入り、ヴィトーリアは2選手を交替。そして、相手陣でボールを奪いに行き人数をかけ点を奪いに行くと、後半4分、CKからVOLウィリアン・オリヴェイラが豪快なヘディングシュートを決め試合を振り出しに戻す。
   しかし、サンパウロもその4分後の後半8分、FWルシアーノのこの試合2点目のゴールで再び突き放す。
   一人少ないヴィトーリアだが、相手陣でボールを奪いにいく姿勢を見せ、サンパウロはそれを構えて受け、サンパウロがボールを確保し相手陣にボールを運ぶと、ピッチを広く使い時間を使いつつ、じわりと相手をゴール前に押し込みシュートで終える。
   後半39分、サンパウロがCKからの流れでCBフェラレシのゴールでダメ押しの3点目。
   ヴィトーリアに反撃の余力は残されておらず、試合はそのままタイムアップ。サンパウロが3-1の勝利を収めた。

   ヴィトーリアは開始早々の退場がゲームプランを狂わせた。しかし、数的不利の中、全体に下がり過ぎずに比較的高い位置でボールを奪いに行き、ゴール前に迫られた際も大きく蹴りださずに味方にボールを繋ぐ意識を高く持ち、タベーラやワンタッチのパスを使い相手陣にボールを運ぼうとした。
   前半終了間際の先制をゆるしたものの、後半立ち上がりに相手陣でマークに行く積極的なサッカーを展開しチャンスを作り出しセットプレーから同点。しかし、地力に勝る相手に数的不利が重なっては90分間を耐えきることができず、善戦むなしく1-3の敗戦を喫した。
   明るい材料は、州選手権から主力として活躍してきたVOLドゥドゥ(Dudu, 1999)が約3週間ぶりにケガから復帰し90分間プレー。連戦の主力を早めにベンチに下げ、全国選手権開幕前後に加入した複数の選手や若手選手を起用できたことが上げられる。
   レオ・コンデ(Léo Condé)監督のもとチームとして意思統一ができているだけに、一試合でも早く白星を挙げ、自信を掴んで長い全国選手権を戦いたい。

   サンパウロは、監督交代後負けなしの2勝2分。従来のチームをベースにした立て直しが順調に進んでいる。
   開始早々の相手選手の退場により数的有利の状況が続く中、なかなかゴールを奪えず、先制後に失点を喫するなど、内容は褒められたものではないが、結果として3-1の勝利は地力の証明。
   ケガのためにしばらく戦列を離脱していたMFホドリギーニョ(Rodriguinho, 2004)とMFホドリゴ・ネストール(Rodrigo Nestor, 2000)が復帰。
   一方で、前節パウメイラス戦前のトレーニング中にケガを負ったVOLパブロ・マイア(Pablo Maia, 2002)が、検査の結果、膝裏の靭帯に損傷が見つかり手術を受ける予定。4か月の戦列離脱が見込まれている。
   FWルーカス・モウラ(Lucas Moura, 1992)やMFハメス・ロドリゲス(James Rodríguez, 1991)など、チームの中心として期待された選手をケガのために欠いているが、クラブが一丸となり、これ以上ケガ人を出さずにシーズンを送りたい。

アトレチコ・パラナエンセ(CAP) 1-0 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=XpiIP1sjn9s
(CAP) : 26' #26 エリキ(Erick, 1997)[#37 エスキベル(Esquivel, 2001)]

今節前の順位

   アトレチコ・パラナエンセは全国選手権2勝1分1敗勝点7の4位。
   ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権1勝0分3敗勝点3の17位。

得点シーン

(CAP) : 26' #26 エリキ(Erick, 1997)[#37 エスキベル(Esquivel, 2001)]
相手陣左サイドライン際から左SBエスキベルが中央後方へボールを戻すと、SBエスキベルはそのまま斜めにペナルティエリアへポジションを移す。ボールを受けたCBマテオ・ガマラ(Mateo Gamarra, 2000)はそのSBエスキベルへ柔らかい浮き球のパス。最終ライン裏でボールを受けたSBエスキベルはゴール前にボールを送るとMFエリキがディフェンダーに付かれながらもボールを足に合わせアトレチコ・パラナエンセが先制。[1-0]
   MFエリキは、2019年にアトレチコ・パラナエンセに入団し、2023年末までに218試合17得点10アシスト。年々試合数を増やし、主力の一員として、チームの2021年コパ・スウアメリカーナ優勝、2022年リベルタドーレス準優勝に貢献。2024年はこの試合を含め22試合3得点1アシストを記録中。
   CBマテオ・ガマラは、2022年の国際親善試合3試合の出場したパラグアイ代表経歴を持つ。アトレチコ・パラナエンセには2024年シーズン前に加入。1月の州選手権開幕後はレギュラーを務めたが、2月25日の試合中にケガを負い戦列を離脱。4月2日に復帰を果たすも前半のみで交代。4月24日に万全の状態で再復帰を果たすと、以降は4試合連続先発出場。このゴールに繋がるプレーは、視野の広さとパスの正確性が表れたプレーだった。

試合経過、所感その他

ボール保持率: 前半:59% 41% ⇒ 前後半:53% 47%
シュート(枠内): 前半:11‐0(1-0) ⇒ 前後半:23-6(5-1)
パス成功率: 前半:89% 79% ⇒ 前後半:89% 83%

   アトレチコ・パラナエンセは、1-1の引き分けに終えた一週間前の全国選手権第4節ジュヴェントゥージ戦からスタメンを中盤を中心に3つのポジションで変更。1-2の苦杯を舐めたコパ・ド・ブラジルでのイピランガ-RS戦からは2選手を変更。GK、最終ラインは連戦で今節を迎える。
   ヴァスコ・ダ・ガマは、一週間前の0-4で敗れた全国選手権第4節クリシウーマ戦後にラモン・ディアス監督が解任。週中のコパ・ド・ブラジルはフォルタレーザを相手に0-0の引き分け。2試合連続で得点が生まれていない。今節のスタメンは、コパ・ド・ブラジルから2選手を交替。布陣を3バックから4バックに変更し試合に臨む。

   ホームのアトレチコ・パラナエンセが序盤からボールを支配。左サイドを中心に相手ゴールに迫ると、前半11分、MFエリキが左サイドからのクロスに頭を合わせるが、ボールはゴールポストを直撃し弾き返される。
   前半15分、ヴァスコ・ダ・ガマは左CKを獲得。クリアされたボールを一気にGKに戻そうとするが、ボールの勢いが弱くアトレチコ・パラナエンセMFサペリ(ZapelLi, 2002)に奪われる。ヴァスコVOLウーゴ・モウラ(Hugo Moura, 1998)が背後からMFサペリを倒し一発退場。ヴァスコ・ダ・ガマは残りの75分を数的不利の状況で戦うことを余儀なくされる。
   このファールで得たFKをFWパブロ(Pablo, 1992)が直接狙うが、ヴァスコGKレオ・ジャルジン(Léo Jardim, 1995)が手にあてクロスバーを叩く。
   前半23分にも、FKからアトレチコ・パラナエンセMFサペリが上げたボールが誰にも合わずゴールに向かうが、またもやゴールポストがヴァスコゴールを守る。
   前半26分、アトレチコ・パラナエンセはMFエリキが今度こそはゴールネットを揺らす。
   前半は数的有利のアトレチコ・パラナエンセがほぼ完全に試合を支配して終える。
   後半2分、アトレチコ・パラナエンセはMFサペリがゴール正面やや右約25mの位置からミドルシュート。またもやボールはゴールポストを直撃しゴールネットを揺らすことができない。
   後半6分、ヴァスコ・ダ・ガマは相手陣ペナルティエリア手前でボールを奪取。FWベヘッチ(Vegetti, 1988)がゴールエリア手前右にボールをはたき、右SBパウロ・エンヒキ(Paulo Henrique, 1996)がチーム初シュートを見舞うが、間合いを詰めたGKベント(Bento, 1999)がシュートストップ。
   後半21分、ヴァスコ・ダ・ガマはFWベヘッチが最終ライン右を抜け出し、CBジョアン・ヴィトル(João Victor, 1998)のスルーパスを受けゴールネットを揺らすが、僅かにオフサイド。
   アトレチコ・パラナエンセは中盤の選手を中心に選手交代を行い、中盤の運動量を高め、ヴァスコ・ダ・ガマの反撃を封じに掛かる。   
   後半の終盤は、アトレチコ・パラナエンセがキープ力と戦術眼に長けたVOLフェルナンジーニョ(Fernandinho, 1985)に集め、落ち着きを取り戻す。
   試合は、前半終了時と同様の1-0でタイムアップ。アトレチコ・パラナエンセが勝利を収め首位に立った。

   アトレチコ・パラナエンセは、左サイドを起点とした攻撃が嵌り、前半は数多くの好機を演出。相手から退場者が出たこともあり、その後は左右に揺さぶり、シュートの場面を除きほぼ完ぺきな内容で前半を終えた。
   後半は左サイドでの相手のプレスにややバランスを崩すと、ミドルシュートなど、やや強引なプレーが散見され、オフサイドのために取り消されたもののゴールネットを揺らされる場面も。
   最後はVOLフェルナンジーニョがチームを落ち着かせ1-0で逃げ切ったが、少し不安を抱かせる内容で試合を終えた。
   とは言え、公式戦3試合ぶりの勝利で、全国選手権は首位に立った。グループ首位に立つ週中のコパ・スウアメリカーナで主力を温存し、万全な状態で一週間後の全国選手権パウメイラス戦に臨みたい。

   ヴァスコ・ダ・ガマは、全国選手権開幕節での勝利以来、公式戦1分4敗。3試合連続無得点と苦しんでいる。
   週中のコパ・ド・ブラジルでは好調のボタフォゴ、今節はアトレチコ・パラナエンセを相手に1失点に抑え、結果的には守備面の改善が進んでいるように見えるが、この試合の特に前半はサイドのマークが甘く、引いた守備を敷いたためビルドアップで効果的なボールを前線に供給され、試合を完全に支配された。
   しかし、後半は数的不利の中、ボールを奪う位置を絞った高い位置でのマークから試合を均衡状態に持ち込むことができた。まずは守備を再構築し、一週間後のヴィトーリア戦、二週間後のクラシコ、フラメンゴ戦に向けチーム状況を改善していきたい。

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