ヒアン・フランシスコ (Ryan Francisco)

投稿者: | 2023年12月29日
新規投稿 : 2023/12/29
更新履歴 : 2025/07/16, 07/15

ブラジル 若手 逸材 リアン ヒアン・フランシスコ・ホドリゲス・ドス・サントス・シウヴァ FW サンパウロ

ヒアン・フランシスコ・ホドリゲス・ドス・サントス・シウヴァ

Ryan Francisco Rodrigues dos Santos Silva

ポジション:フォワード/アタカンチ

利き足:左

2006年11月21日生まれ

<クラブ経歴>

≪育成時代

 コリンチャンス下部組織フットサルチーム、ナシオナウ(トップチームはサンパウロ州選手権最下層リーグ)の下部組織を経て、2016年頃にパウメイラスU-11チームに入団。パウメイラスの2006年生まれ世代は、FWエンドリッキ(Endrick, 2024年7月にレアルマドリード/ESPへ移籍)やMFルイス・ギリェルミ(Luis Guilherme, 17歳飛び級でU-20南米ユース選手権に出場しタイトル獲得)などを輩出するきらびやかな世代。
 3年間パウメイラスU-11、U-13でプレーするが、2019年に退団を言い渡される。
 その後、活動を開始したばかりの(※)SKA Brasil(スカ・ブラジル)U-15チームに入団。
(※)*SKA Brasil(スカ・ブラジル)は、2002年W杯ブラジル代表エジミウソン・モラエス(Edmílson Moraes)氏が参画し、スカイライトコンサルティング株式会社がブラジルに子会社を設立。2019年6月、このブラジル子会社が休眠クラブを活用、エジミウソン氏が会長に就任して、「FC SKA Brasil」と改名し、プロサッカー選手の育成を目的としたクラブに再生。U-15、U-17カテゴリーを手始めに、2023年12月現在はU-20カテゴリー、女子カテゴリーも立ち上げ、2024年にはトップチームが構成されサンパウロ州選手権セリエA4(サンパウロ州選手権の5階層のうち4番目のリーグ)に参入する。
 2022年、サンパウロFCから勧誘を受け、サンパウロFCのU-17チームに加入。
 2023年4月15日にU-17サンパウロ州選手権が開幕すると、、、
  グループラウンド第一フェーズ(4/18~6/10)は8試合(うち6試合先発)14得点。
  グループラウンド第二フェーズ(6/24~8/12)は4試合(うち2試合先発)2得点。
  グループラウンド第三フェーズ(8/20~9/16)は3試合(うち2試合先発)2得点。
  決勝ラウンド準々決勝フェホヴィアリア戦はホーム&アウェイの1試合(10/7)にのみ出場し2得点。
  準決勝パウメイラス戦はホーム&アウェイ(10/18, 24)の2試合に先発出場し2ndレグで2得点。
  決勝コリンチャンス戦はホーム&アウェイ(10/29, 11/4)の2試合に先発出場し1stレグで2得点。
 通算20試合(うち15試合先発)1221分で28得点。チームはU-17州選手権制覇。
 2023年7月5日にU-17全国選手権が開幕すると、、、
  グループラウンド(7/5~9/13)は9試合(全試合先発)10得点。
  決勝ラウンド準々決勝インテルナシオナウ戦はホーム&アウェイ(9/20, 16)に先発出場し各1得点。
  準決勝フラメンゴ戦はホーム&アウェイ(10/11, 15)の2試合に先発出場し1stレグで2得点。
  一発勝負の決勝パウメイラス戦(10/21)は先発出場したもののノーゴール。
 通算14試合(全試合先発)1108分で14得点。チームはU-17全国選手権準優勝。
 U-17カテゴリーのシーズンが終えるとU-20チームに合流し、2023年11月10日U-20州選手権準決勝フェホヴィアリア戦2ndレグ、決勝パウメイラス戦1stレグ(11/19)、2ndレグ(11/25)の3試合に出場。いずれも試合終了間際の数分間の出場でノーゴールに終えた。
 サンパウロFC下部組織での一年目となる2023年は、U-17チームで34試合42得点、U-20チームで3試合無得点の成績を残した。
 2024年(年初17歳)、1月3日に初戦を迎えたU-20全国大会カップ戦に出場。同大会は2004年生まれが主体となるが、一回戦グループラウンド3試合(うち先発2試合)に出場し3得点。二回戦(1アシスト)、三回戦、ベスト16(チームはここで敗退)の全試合に出場する。
 2024年4月3日にU-20全国選手権、4月13日にU-20サンパウロ州選手権がそれぞれ開幕すると、両大会に出場機会を得るが、なかなか結果を残すことができず、U-20全国選手権での出場時間が減っていく。
 しかし、5月4日U-20州選手権にて1得点1アシストを記録すると、同大会3試合連続で1得点1アシスト。5月22日U-20全国選手権では1試合で4得点。5月は両大会あわせて8試合8得点3アシストの成績を残す。
 この一か月間ですっかりチーム戦術に嵌まると、6月から7月にかけて出場6試合連続の計9得点2アシストの成績を収めるなど、ゴールを量産していく。
 サンパウロU-20チームも8月にグループラウンドを終えたU-20全国選手権こそ20チーム中15位に終えたが、11月に閉幕したU-20州選手権は準優勝。10~12月に開催されたU-20コパ・ド・ブラジルでは見事に戴冠。ヒアン自身は12月2日決勝パウメイラスU-20戦にて0-2の状況から2得点の活躍をみせるなど、同大会は8試合8得点1アシストの成績を残し、得点王に輝いた。
 2024年のU-20チームでの成績は以下の通り
  U-20全国大会カップ戦 : 6試合3得点1アシスト
  U-20全国選手権 : 18試合13得点2アシスト
  U-20コパ・ド・ブラジル : 8試合8得点1アシスト
  U-20州選手権 : 20試合14得点7アシスト
  合計 : 52試合38得点11アシスト

サンパウロ≫

– 2024 –

 2024年12月8日全国選手権最終節ボタフォゴ戦(A)にてアルゼンチン国籍スーベルディア(Zubeldía)監督率いるトップチームで初のベンチ入り。試合終了間際の後半45分にピッチに送り出されプロデビューを果たす。

– 2025 –

 2025年(年初18歳)は1月開催のU-20全国大会カップ戦に出場。1月18日準々決勝までの7試合で8得点1アシストを記録すると、急遽トップチームに招集を受け、1月20日サンパウロ州選手権第2節のボタフォゴ-SP戦(A)にスタメンとして抜擢。翌日の1月21日U-20全国大会カップ戦準決勝に先発出場しチームを決勝に導く2得点。(決勝戦は警告累積のため出場停止となったが、チームはコリンチャンスを3‐2で下し優勝を飾った。なお、ヒアンは同大会にて8試合10得点1アシスト、得点王となった)。
 2025年1月26日、18歳にして公式にトップチームに昇格。
 1月29日州選手権第5節ポルトゲーザ戦(A)、1-1で迎えた後半37分にピッチに立つと、後半45+2分、パラグアイ代表ボバディージャ(Bobadilla, 2001)からのロビングのパスにタイミングよく最終ラインを抜け出し、GKとの一対一を柔らかな左足のタッチで肩元を抜くシュート。貴重な勝ち越し点で自身のプロ初ゴールを飾った。
 与えられた機会を逃さずにゴールという結果を残したものの、サンパウロのセンターフォワードには、チーム3年半で60得点をマークしているFWカレリ(Calleri, 1993)と、2024年にFWカレリの欠場試合で着実に実績を積み上げたFWアンドレ・シウヴァ(André Silva, 1997)が在籍。ヒアンには出場機会がほとんど訪れない。
 4月26日全国選手権第6節セアラー戦(A)、トップチームでシーズン7試合目となるこの試合で先発に抜擢されると、0‐1で迎えた前半44分、CKの流れから再びゴールライン際から上げられたクロスボールにゴール前でスタンディングのまま頭を合わせる同点ゴール。天性のポジショニングの良さを発揮したゴールを奪った。
 その後は少しずつではあるものの出場機会は増え、6月12日第12節ヴァスコ・ダ・ガマ戦(H)では1得点を記録。与えられたチャンスを一つずつ掴み取っている。
 2025年7月15日のトレーニング中に左膝を負傷。MRI検査により半月板損傷を伴う膝前十字靭帯断裂が診断された。復帰までには少なくとも9か月が要するとみられ今季は絶望となった。

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2025年(17歳)サンパウロ全国選手権1100
 合計1100
2025年(17歳)サンパウロリベルタドーレス12900
全国選手権820120
コパ・ド・ブラジル23200
州選手権49910
 合計1536130
イタリック斜体は、2025年7月15日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表(世代別含む)経歴>

– 2023 –

 2023年8月9日、8月22日~9月4日に予定されているU-17W杯を照準としたU-17代表合宿招集23選手の一人として招集が発表される。これが初めての世代別代表への招集となる。
 9月15日、9月末から10月初頭にかけて行われるカナダU-17、アメリカU-17との各2試合、計4試合の親善試合に向けたU-17代表メンバーが発表される。当初は選出外だったが、離脱者が発生し、9月27日に追加招集。10月1日のカナダU-17との2戦目にFWカウワン・エリアスと交代で出場。世代別代表デビューを果たす。しかし、アメリカU-17との対戦では出場機会は得られず、本番のU-17W杯は選外となった。

<プレースタイル、雑感 etc.>

 利き足は左。
 身長、体重は不明。映像を見る限り、身長は160㎝代後半のように思われる。
 プレーの特長については、まずは、元Jリーガー那須大亮氏のYouTube動画(2:04~)内で、SKAブラジルでヒアン・フランシスコを指導したカイオ・ルフィーノ(Cayo Rufino)氏のコメントを視聴ください。
(※)YouTube動画URL:
 https://www.youtube.com/watch?v=yokqgUl7CTI

 2023年にマークしたゴールは、左足はもちろん、右足やヘディングによるゴール。
 ペナルティエリア手前からのゴールもあれば、ゴールエリア近辺でクロスボールをダイレクトに合わせたゴールや、こぼれ球に反応したゴール。
 ディフェンダーとの駆け引きから最終ラインの裏に抜け出すゴールやワンツーで抜け出すゴール。
 大きなモーションからコースを狙った軽いタッチのシュートや、ドリブルからのつま先のシュート。
 コーナーキックからは直接ゴールを決めたこともあれば、自陣で味方のクリアボールを拾い、ディフェンダー2選手をドリブルでかわし、前にポジションを取るGKの頭上を越す40m超のロングシュート。
 シュートのバラエティは豊富で枚挙にいとまがない。
 上記のYouTube動画でルフィーノ氏が言う、頭の良さや一個先を読む予測力、そして、それをプレーに体現する身体の柔らかさとボールを扱う技術。U-17チームでは点取り屋、センターフォワードとして背番号「9」をつけるが、ウィングや中盤でのプレーも標準を上回る水準のプレーをみせる。

 ヒアン・フランシスコがパウメイラス退団後に入団したSKA・ブラジルは、ルフィーノ氏曰く「不真面目な選手は退団させ、常に新しい選手の入団審査を行っている」と育成に妥協は許さない。プレー以外に、礼儀や教養などの教育面にも注力し、グラウンドに来たら必ずコーチにあいさつする、練習中は他人のプレーに腹が立っても悪口を言わないなど独自のクラブルールを定めるている。
 サッカー選手になる夢が絶たれたかと思われた時期に、サッカーをする機会を与えてくれたSKA・ブラジルに対するヒアン・フランシスコの感謝の念は厚い。SKA・ブラジルでの約2年間があったからこそ、サンパウロFCへの移籍を経て、2023年6月24日にサンパウロFCとプロ契約を締結しプロサッカー選手になる夢を実現。さらには世代別代表にまで至った。
 2024年は、U-20でコンスタントに試合に出場し、そこで1つでも多くのゴールを奪うことが第一の目標になるだろうが、1月から3月にかけてはトップチームへ合流し州選手権でのプロデビューの可能性もあるという。2023年はこれまでの多くの夢が一気に実現したが、これに満足することなく、この先は欧州移籍や代表を目指して一日一日成長を続けていくことを期待したい。

(2025年7月15日追記)
 2025年1月に公式にトップチームに昇格したものの、センターフォワードとしての序列は3番手、もしくは4番手であり、175cmの身長を鑑み
また、フィジカルよりもポジショニングや足元の技術に優位性を持つことから、2025年5月中旬からはシャドーストライカーとしても試合で試されている。
 そして、新たな役割を担って3試合目となる6月12日全国選手権第12節ヴァスコ・ダ・ガマ戦(H)では、9分間のプレーながらFWフアン・ディネノ(Juan Dinenno, 1994)を標的に送られたボールがこぼれたところを左足を一閃しゴール。
 天性の巧みなポジショニングとシュート精度は新しい役割の中でも十分に機能している。
 2024年のU-20チームでの活躍を受け、同年8月にはパリSG/FRAやアヤックス/HOLなどの関心を集めた。そして、とある欧州クラブから1200万ユーロの移籍金でのオファーが非公式にあったそうだが、サンパウロFCはこれを拒否している。
 2025年6月の報道では、パリSGが依然としてヒアン・フランシスコに高い関心を持ち、継続的にモニタリングを実施しているとのこと。ヒアン・フランシスコ自身はサンパウロでさらに成長することを望んでいると話しているようだが、今後のサンパウロでのプレー次第では、早ければ2026年欧州冬期移籍ウィンドウでの欧州移籍が実現する可能性もある。
(2025年7月16日追記)
 2025年7月15日のトレーニング中に左膝を負傷。MRI検査により半月板損傷を伴う膝前十字靭帯断裂が診断された。復帰までには少なくとも9か月が要するとみられ今季は絶望となった。
 シャドーストライカーや1.5列目でのプレーなど新たな役割を与えられ試合出場機会を増やしてきていただけに残念なニュースが飛び込んできた。

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