ブレーノ・ビドン (Breno Bidon)

投稿者: | 2024年5月17日
更新履歴 : 2024/05/17, 08/22
最新更新日 : 2025/06/24

ブレーノ・デ・ソウザ・ビドン 若手 次世代 ブラジル サッカー コリンチャンス ボランチ 逸材

ブレーノ・デ・ソウザ・ビドン

Breno de Souza Bidon

ポジション:ボランチ

利き足:左

2005年2月20日生まれ

<幼少期>

 ブラジル連邦共和国サンパウロ州サンパウロ市の北部フレゲジア・ド・オー地区に生まれる。幼い頃から市内北部に本拠を置く多くのクラブでプレー。パウメイラスと提携するサッカースクールにも何度か入団するが、ことごとく昇格することができずチームを去ることを余儀なくされる。

<クラブ経歴>

≪育成時代

 ポルトゲーザやオザスコ・アウダックスの下部組織を経て、2019年14歳の時にコリンチャンスU-15チームに加入。
 2021年(年初15歳)、昇格一年目のU-17チームにてセグンドボランチとして早い時期にレギュラーの座を獲得。5月~7月に開催されたU-17全国選手権のチーム全9試合中6試合(すべて先発)に出場。8月にはU-20州選手権の2試合に出場。8月~12月に開催されたU-17州選手権では、チーム全22試合中21試合(うち先発20試合)に出場。決勝戦では宿敵パウメイラスを相手に1stレグ:1-3、2ndレグ:2-0、PK戦(4-3)の末、コリンチャンスU-17は優勝を飾った。
 2022年2月17日、17歳の誕生日を目前にコリンチャンスとプロ契約を締結。期限は2025年2月末。
 4月開幕のU-17全国選手権にレギュラーとして出場すると、6月に開幕したU-20全国選手権、U-20州選手権にあわせ主戦場をU-20チームに移し多くの試合に出場。U-20全国選手権は、予選グループラウンドを中心に9試合に出場。U-20州選手権では、決勝サントス戦1stレグでの17分間出場など17試合に出場した。(チームは両大会いずれも準優勝)
 7月2日にはトップチームに帯同し、全国選手権第15節フルミネンセ戦にベンチ入りを果たす。
 2023年は1月開催のU-20全国大会カップ戦、3月開幕U-20全国選手権、4月開幕U-20州選手権、8月開幕U-20コパ・ド・ブラジルに中盤の攻撃的なポジションでプレー。年間計41試合に出場した。
 2024年(年初17歳)は1月開催のU-20全国大会カップ戦に出場。この大会では公式戦で初めて右ウィングとしてプレー。全9試合に出場し1得点2アシストを記録。大会最優秀選手に選出される。

コリンチャンス≫

– 2024 –

 U-20全国大会カップ戦閉幕後にはトップチームに昇格。
 カップ戦決勝2日後の1月27日にはトップチームの州選手権にベンチ入り。
 2024年3月10日州選手権第12節アグア・サンタ戦にて後半開始時にピッチに送り出され19歳のプロデビュー。
 4日後の3月14日コパ・ド・ブラジル二回戦サンベルナルド戦にてプロ初スタメンに抜擢。
 3月18日にはコリンチャンスとの契約が更改され、契約期間は2028年末まで延長、1億ユーロの契約解除金が設定された。
 4月17日の試合でセカンドボランチのレギュラーVOLマイコン(Maycon, 1997)が今季が絶望となる膝前十字靭帯断裂のケガ。すると、チームは3連敗を喫しアントニオ・オリヴェイラ(António Oliveira)監督の解任が取り沙汰されるようになる。
 4月28日全国選手権第4節フルミネンセ戦にて先発に抜擢されると、豊富な運動量で中盤のスペースを埋め、守備面ではフルミネンセの攻撃の芽を摘み、攻撃面では前後のつなぎ役やスペースへの飛び出しなどの活躍、チームは3-0の完勝を収めた。この試合でアントニオ・オリヴェイラ監督の信頼を得ると、レギュラーの座を獲得し、連戦にスタメン出場を果たす。
 5月1日コパ・ド・ブラジル三回戦1stレグでは、前半30分、FWウェズレイ(Wesley, 2005)がペナルティエリア内左でドリブルで一対一の駆け引きをする間に、ブレーノ・ビドンはペナルティエリア中央からニアサイドにポジションを移す。そして、FWウェズレイがゴールライン際から送ったマイナスのボールをダイレクトに足に合わせプロ初ゴールを決めた。
 ところが、7月1日の試合を最後にアントニオ・オリヴェイラ監督は解任。7月16日の試合からラモン・ディアス(Ramón Díaz)新監督が指揮を執るが出場機会は大きく減っていく。しかし、後半途中からの出場でも自らの特長を出したプレーでアピールを続ける。
 9月17日コパ・スウアメリカーナ準々決勝フォルタレーザ戦(A)にて監督交代後の2試合目のスタメンにセグンドボランチとして抜擢されると、自身の持ち味を十二分に発揮。セカンドボールの回収、相手の攻撃の芽をことごとく摘み取り、惜しいミドルシュートを放つなど、出色の活躍を見せ監督の信頼を獲得。この試合を機にレギュラーの座に返り咲くと、全国選手権最終盤のコリンチャンスの9連勝、リベルタドーレス予備予選出場権獲得の7位浮上に大きく貢献した。

– 2025 –

 2025年シーズンは2025U-20南米ユース選手権代表として始動。
 南米ユース選手権優勝を手土産にチームに凱旋すると、2月19日リベルタドーレス予備予選2回戦2ndレグにて後半26分にピッチに送り出され、クラブでの2025年初試合を迎える。その後は途中出場、先発出場とプレー時間が伸ばされ、コンディションを上げていく。
 ところが、3月12日リベルタドーレス予備予選3回戦1stレグ、ブレーノ・ビドンは相手選手への寄せが後手に回る場面が多く、前半終了間際に自陣PA内で相手選手を倒しPKを献上。これが先制ゴールとなり、チームは0‐3の敗戦に終えた。
 これを機にスタメンの座を奪われ、チームが優勝に終えたサンパウロ州選手権決勝戦パウメイラス戦では1stレグでの1分間の出場に止まり、2ndレグはベンチを温める憂き目にあう。
 しかし、3月30日全国選手権開幕節バイーア戦(A)で再びスタメンに抜擢されると、本来の実力を発揮。後半45分にはFWエクトル・エルナンデス(Héctor Hernández, 1995)の同点ゴールを呼び込むアシストを記録。ラモン・ディアス監督の信頼を取り戻し、4月のドリヴァウ・ジュニオール(Dorival Júnior)氏への監督交代後もレギュラーの座を守り続けている。
 

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2024年(19歳)コリンチャンスコパ・スウアメリカーナ955401
全国選手権29179100
コパ・ド・ブラジル529811
州選手権14500
 合計44268812
2025年(20歳)コリンチャンスリベルタドーレス422600
コパ・スウアメリカーナ525800
全国選手権1182411
コパ・ド・ブラジル214400
州選手権414000
 合計26159211
イタリック斜体は、2025年6月24日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表(世代別含む)経歴>

– 2024 –

 2024年5月17日、世代別代表合宿への代表23選手の一人として招集を受ける。
 ブレーノ・ビドンにとって初の世代別代表への招集。
 なお、この代表合宿は、2025年1月に開幕されるU-20南米ユース選手権に向けた第1回目の代表合宿として位置づけられている。
   関連記事 : [2024.05.17発表]<ブラジルU-20代表招集>
 2024年8月17日、CBFよりU-20代表合宿招集メンバーが発表され、代表23選手の一人として招集を受けた。この代表合宿はU-20南米ユース選手権を照準とした2度目の合宿。合宿期間は9月2日~10日、5日と8日にメキシコU-20代表との国際親善試合が開催された。
 9月5日メキシコ戦第1戦にて先発フル出場。守備面ではサイドのカバーリングや最終ライン前でのフィルター役となり、攻撃面では最終ラインと攻撃の起点FWペドリーニョ(Pedrinho, 2006)の繋ぎ役として活躍。
 9月8日メキシコ戦第2戦もまた先発フル出場。1戦目に続きプリメイロボランチとしてプレー。周りとの連係も改善され1戦目同様、守備面では自らの役割を果たした。攻撃面でも高い位置で攻撃の起点となるプレーも見られ、攻撃に厚みをつけた。
   関連記事 : [2024.08.17発表]<ブラジルU-20代表招集
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– 2025 –

 2024年12月20日に発表された2025U-20南米ユース選手権代表23選手の一人として選出。
関連記事 : [2025年U-20南米ユース選手権] U-20ブラジル代表選手一覧

2025U-20南米ユース選手権

 1次リーグ全4試合344分出場、1得点。
 2025年1月24日1次リーグ開幕節アルゼンチン戦にセグンドボランチとしてスタメン出場。しかし、ブレーノ・ビドンの攻撃陣に近い位置でのプレーがチームのバランスを欠く要因の一つとなり、ビルドアップ時のミスや高い位置でのボールロストなどから相次いでゴールを奪われ、チームは0‐6の屈辱的な大敗を喫する。
 1月26日第2節ボリビア戦以降もセグンドボランチとして起用され、コリンチャンスU-20時代の同期VOLガブリエウ・モスカルド(Gabriel Moscardo, 2005)とダブルボランチを構成。そのボリビア戦では、前半28分、ゴール正面25m弱の位置から左足を振り抜きゴールネットを揺らし、チームの2‐1の勝利に貢献。
 1月30日第3節エクアドル戦(〇3‐2)、2月1日第4節コロンビア戦(X0‐1)もVOLガブリエウ・モスカルドとコンビを組むが、中盤での攻守のバランスを保つことに苦労する。
 決勝ラウンド全5試合450分出場。
 かろうじて滑り込んだ決勝ラウンドでは、ブレーノ・ビドンは守備的なプレーを優先し、サイドバックやセンターバックとの連係を高めていく。
 その結果、1次リーグでの守備での不安定さは大きく改善され、チームは以下の成績を残す。
 2月4日第1戦ウルグアイ戦(〇1‐0)、2月7日第2戦コロンビア戦(〇1‐0)、2月10日第3戦パラグアイ戦(〇3‐1)、2月13日第4戦アルゼンチン戦(△1‐1)、2月16日第5戦チリ戦(〇3‐0)
 決勝ラウンドの総失点は6チーム中最少の2失点(次点はコロンビアの4失点)とし、ブラジル代表は2大会連続の優勝を収め、ブレーノ・ビドンはその主力の一人と大きく貢献した。

 2025年6月5日、国際親善試合アイスランドU-21にスタメン出場(試合は0‐0の引き分け)。
 この試合は、9月27日にチリで開幕するU-20W杯2025に向けた、アイスランド、サウジアラビア、韓国との国際親善大会の初戦。なお、第2戦サウジアラビア戦(△1‐1)、第3戦韓国戦(〇4‐0)については、メンバー非公表のため、試合出場の確認は出来ていない。

<プレースタイル、エピソード、雑感 etc.>

 利き足は左。
 身長および体重は不明。
 ボックストゥボックスでプレーするセグンドボランチを中心に、より前線に近いインサイドハーフや、やや後方で守備に重点を置くプリメイロボランチとしてもプレー。トップチームでは右ウィングでの起用もあったが、セグンドボランチに定着している。
 プロデビュー戦と次戦の2試合では、合わせて55本のパスの内47本を成功(成功率85%)、ロングパスに関しては5本中5本(成功率100%)。守備面では7回のボール奪取。攻撃面では1本のシュートに繋がるパスを通し、自らもシュートを1本披露した。
 デビュー戦の試合後には、ツーボランチの相方を務めたVOLハニエリ(Raniele, 1996)が、デビュー戦にも関わらずベテランのような落ち着きを払ったプレーで、レギュラーVOLマイコンにも比肩するような貢献をしたと大絶賛した。

 コリンチャンスの2005年生まれ選手はトップチームでブレークする選手が続いている。

 ちょうど一年前に守備の再構築に重点を置いたルシェンブルゴ(Luxemburgo)監督のもと、プリメイロボランチとしてトップチームに抜擢され、そのままポジションに定着、早い時期からパリサンジェルマン/FRAと交渉が進められ、2024年1月に同クラブへ2000万ユーロ(約32億円)で移籍したVOLガブリエウ・モスカルド(Gabriel Moscardo, 2005)。※2024年5月現在。ガブリエウ・モスカルドは、2023年末に受けた足首の手術の療養のため、コリンチャンスに期限付き移籍の形で所属。2024年6月末の期限付き移籍契約満了に合わせ渡仏予定。
 2022年6月の全国選手権でプロデビューを果たし、2023年にルシェンブルゴ(Luxemburgo)監督に抜擢され、年間34試合2得点1アシスト、2024年も5月15日現在でチーム全26試合のうち25試合(うち19試合)に出場し5得点2アシストを記録中のFWウェズレイ・ガソヴァ・テイシェイラ(Wesley Gassova Teixeira, 2005)。※2023年のトップチームデビュー後、数々の欧州クラブによる獲得交渉の噂が取りざたされているが、5月10日、コリンチャンス会長がすでに欧州4クラブとの交渉に断りを入れたと公表している。
 ブレーノ・ビドンは、守備の構築に定評のあるルシェンブルゴ監督のもとでは、トップチームに抜擢される機会はなかったが、2024年、中盤の運動量をベースとした攻撃的なスタイルを志向するアントニオ・オリヴェイラ監督によってトップチームに抜擢。僅かな期間で監督の信頼を得てレギュラーの座を獲得。2024年3月にはバイエルン・ミュンヘン/GERが獲得に乗り出すと報道されるなど、すでに欧州からの視線が集まっている。

 同じ中盤、ボランチとして、プリメイロボランチのガブリエウ・モスカルドとセグンドボランチのブレーノ・ビドン。監督の戦術への適性により、守備的な資質が高いガブリエウ・モスカルドが一足早く2023年にトップチームに抜擢され、そして、欧州クラブへの移籍を実現した。しかし、コリンチャンスU-17チームでは、ブレーノ・ビドンのほうが試合に起用され始めた時期は早く、試合出場数や重要な試合での起用数はガブリエウ・モスカルドを上回っていた。
 コリンチャンスでは育成時代から将来を嘱望され、2024年U-20全国大会カップ戦、2024年コリンチャンスでの活躍によって欧州クラブからの注目も集めつつあるブレーノ・ビドン。育成カテゴリーで共に中盤を構成したVOLガブリエウ・モスカルドは一足早く欧州行きの切符を掴んだが、遅かれ早かれ、ブレーノ・ビドンも欧州に旅立つことになるだろう。両者が欧州サッカー界でライバルとして対決、代表としてアマレリーニャ(Amarelinha, ブラジル代表の黄色いユニフォームの呼称)を着て世界を舞台にピッチ上で共演する日は訪れるだろうか。

(2025年6月24日 追記)
 VOLブレーノ・ビドンについて、バイエルン・ミュンヘン/GERが獲得に向け最も強い興味を示しているという。また、ミラン/ITAやプレミアリーグの複数クラブも調査に乗り出しているという。
 2025年6月24日のブラジル紙「Terra」によると、コリンチャンスはブレーノ・ビドンの移籍を容認し、移籍金の最低額を1500万ユーロ(約25億円)に設定したという。
 この情報が正しければ、欧州2025/26シーズン前の移籍ウィンドウでの移籍の可能性が大きく膨らんだことになる。
 欧州移籍はコリンチャンス育成時代の同僚VOLガブリエウ・モスカルドに一年半遅れることになるが、その期間でブレーノ・ビドンは大きく成長した。欧州最大の舞台UEFAチャンピオンズリーグで両者がしのぎを削る日は遠くない将来に実現するに違いない。

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