ガブリエウ・カルヴァーリョ (Gabriel Carvalho)

投稿者: | 2024年8月18日
新規投稿 : 2024/08/18
最新更新日 : 2025/06/22

ガブリエウ・カルヴァーリョ・テイシェイラ ブラジル サッカー 逸材 ガブリエル カルバーリョ インテルナシオナル

ガブリエウ・カルヴァーリョ・テイシェイラ

Gabriel Carvalho Teixeira

ポジション:フォワード/アタカンチ、MF/メイオ・カンピスタ

利き足:両足

2007年8月17日生まれ

<幼少期>

 ブラジル連邦共和国リオグランデドスル州の州都ポルトアレグレ(Porto Alegre)市、ボン・ジェズス(Bom Jesus)地区に生まれる。
 家族の影響で幼い頃からアマチュアサッカークラブでサッカーボールに慣れ親しみ、2015年、9歳の時にインテルナシオナウ下部組織に入団。

<クラブ経歴>

≪育成時代

 トップ下やセカンドトップといった攻撃的なポジションで、高度な戦術眼と、多様な役割を担うことができるプレースタイルが育成カテゴリーで高く評価され、次第に将来を嘱望されるようになる。
 2023年1月にU-17チームに昇格すると、飛び級で1月開催のU-20全国大会カップ戦の登録メンバーに選出、すべて途中交代出場ながら4試合101分プレーする。
 4月に開幕したU-17州選手権では、開幕から中盤のゴールに近いポジションでレギュラーとしてチームを牽引。チームは準優勝に終えるが、個人としては12試合6得点を記録する。
 7月に開幕したU-17全国選手権では、10チーム一回戦総当たりのグループラウンドの全9試合に出場し4得点。チームはグループAの4位に食い込み決勝ラウンドに進出。準々決勝では、グループB首位のサンパウロU-17を相手に2試合合計2-5で敗退したが、ガブリエウは両試合にフル出場。最終的にチームの全11試合に先発出場、うち10試合にフル出場を果たした。
 U-17全国選手権開催中に16歳の誕生日を迎えると、その一週間後の2023年8月25日に、インテルナシオナウと初のプロ契約を締結。契約期間はFIFAの規定上最長となる3年間、6000万ユーロの契約解除金が設定された。
 2024年1月1日、通常より一年早くU-20チーム昇格。
 前年同様1月開催のU-20全国大会カップ戦に出場すると、前年とは異なりスタメンとして一回戦のグループラウンド3試合と決勝ラウンド一回戦のチーム全4試合に出場、1得点を記録。
 2024年3月にU-17全国選手権が開幕すると5試合3得点の成績を残し、4月にU-20全国選手権が開幕するとU-20チームにて2試合に出場する。

インテルナシオナウ≫

– 2024 –

 2024年4月13日全国選手権開幕節を目前に、エドゥアルド・クーデ(Eduardo Coudet)監督率いるトップチームに招集を受け、開幕節バイーア戦にてベンチ入り。
 2024年6月16日全国選手権第9節アウェイでのヴィトーリア戦、後半26分にチリ代表MFチャルレス・アランギス(Charles Aránguiz, 1989)に代わり、セグンドボランチとしてピッチに送り出され、16歳9か月30日でのプロデビュー。
 これはFWアレシャンドレ・パト(Alexandre Pato, 1989)の記録を上回る、2001年以降のクラブ最年少デビュー。このデビュー戦では、後半37分に自陣でのパスカットからそのままドリブルで相手陣へボールを運び、FWウェズレイ(Wesley, 1999)へスルーパス、同点ゴールのアシストを記録した。
 プロデビュー翌日の2024年6月17日には16歳にして公式にトップチームに昇格。
 プロデビュー後は、しばらく出場機会は訪れず、7月13日のコパ・ド・ブラジルにて31分間出場するにとどまっていたが、ホージェル・マシャード(Roger Machado)監督が就任すると、初采配となる7月23日コパ・スウアメリカーナにて9分間の出場機会を得る。
 7月27日全国選手権第20節アウェイでのバイーア戦にて、攻撃の司令塔MFアラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)のケガによる離脱を受け、プロ初スタメンに抜擢。前半は守備に回る時間帯が多かったものの、後半はPA内でペダラーダ(またぎフェイント)を駆使してDFをかわしシュートに持ち込むなど、得意の攻撃的なプレーを披露する。
 8月4日全国選手権第21節ホームでのパウメイラス戦にて、2試合連続でスタメンに起用されると、攻守に輝きを放ち、決定的なシーンを演出するなど、後半27分の交代時にはホームサポーターから大きな拍手を浴びベンチに下がる。
 8月12日全国選手権第22節ホームでのアトレチコ・パラナエンセ戦では、前半12分、後方から縦に入るボールをライン間で受けると、前を向くや否や、自身のマークに上がるCBが空けたスペースに駆け上がるFWウェズレイ(Wesley, 1999)へ、DFの伸ばす足の上を通すパスを送り、チームの先制ゴールをアシスト。
 9月11日のMFアラン・パトリッキのスタメン復帰後も、右OSH、右WGとしてスタメンに起用され、7月27日バイーア戦から、1試合の出場停止を除き、15試合連続でスタメン出場を果たす。その後は、8月移籍加入のFWブルーノ・タバタ(Bruno Tabata, 1997)にスタメンの座を譲るものの、ほぼすべての試合で途中出場を果たした。インテルナシオナウは、MFガブリエウ・カルヴァーリョが出場した試合で16試合連続不敗(12勝4分)記録を収めるなど、最終的に全国選手権5位の成績を収め、翌年のリベルタドーレス出場権を獲得した。
 シーズン終了後の12月20日、2025U-20南米ユース選手権代表23選手の一人として選出がCBFより発表された。

– 2025 –

 2025年1月2日、インテルナシオナウよりMFガブリエウ・カルヴァーリョのアル・カーディシーヤ(Al Qadsiah)/KSA移籍が公式に発表された。
 アル・カーディシーヤとの契約期間は、ガブリエウが18歳の誕生日を迎える2025年8月17日から4シーズン。
 移籍金は固定1600万USドル(約25億2000万円)+ボーナス600万USドル(約9億5000万円)の総額2200万USドル(約34億7000万円)というものだった。
 U-20南米ユース選手権代表選出、アル・カーディシーヤ移籍と大きなニュースが相次いだものの、2025年1月13日、U-20代表のトレーニング中に足を負傷(左足第4中足骨骨折)。ケガは手術を要することとなり、その時点で復帰まで3か月の診断を受ける。
 手術、リハビリは順調に進み、2025年4月16日全国選手権第4節パウメイラス戦(H)にて後半15分にピッチに送り出され、2025年の初出場を果たす。
 4月22日リベルタドーレスグループラウンド第3節ナシオナル/VEN戦ではスタメン出場(後半3分に交代)を果たす。
 2025年6月21日の報道によると、今後はインテルナシオナウでプレーすることはなく、サウジアラビアへ旅立つとのこと。
 5月11日全国選手権第8節ボタフォゴ戦(A)での10分間の出場がインテルナシオナウでの最後の試合となる見込みだ。

アル・カーディシーヤ/KSA≫

– 2025/26 –

つづく。

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2024年(17歳)インテルナシオナウコパ・スウアメリカーナ1900
全国選手権24130213
コパ・ド・ブラジル13100
 合計26134213
2025年(18歳)インテルナシオナウリベルタドーレス14800
全国選手権36900
 合計411700
2025/26年(19歳)アル・カーディシーヤ/KSAサウジアラビアリーグ
 合計
イタリック斜体は、2025年6月22日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表(世代別含む)経歴>

– 2024 –

 2024年8月17日ブラジルサッカー連盟により発表されたU-20代表合宿への招集23選手の一人として、自身初の世代別代表に招集。
 この合宿は、2025年1月にペルーにて開幕が予定されている2025U-20南米ユース選手権に向けた2度目の合宿。期間は2024年9月2日~10日。合宿期間中にはメキシコU-20代表との2試合の国際親善試合が予定されている。
   関連記事 : [2024.08.17発表]<ブラジルU-20代表招集>

– 2025 –

 2024年12月20日に発表された2025U-20南米ユース選手権代表23選手の一人として選出。
 しかし、2025年1月13日、U-20代表のトレーニング中に足に手術を要する負傷(左足第4中足骨骨折)。残念ながら、2025U-20南米ユース選手権を舞台とした代表チームからの離脱を余儀なくされた。

<プレースタイル、エピソード、雑感 etc.>

 利き足は両足。
 身長168㎝、体重67kg。(サッカーサイト「oGol)」2024年8月17日参照)
 主なポジションは、トップ下、セカンドトップといった中盤のゴールに近い中央寄りのポジション。右サイドのウィングやサイドハーフ、セグンドボランチでの起用機会もある。

 当記事を投稿する時点で、トップチームでの出場試合数は7試合に過ぎないが、ボールタッチ数は多くあり、その印象ではボールタッチは柔らかい。また、特にスピードに優れたわけではないがサイドライン際で3人のDFに囲まれながらも縦に抜け出すプレーや、ディフェンダーと対峙した際にペダラーダ(またぎフェイント)で相手のバランスを崩しシュートやクロスに持ち込むプレーなど、非凡な才能を見せた。
 また、高い位置でサイドへ流れ数的有利を生み出し、PA角でボールを受けた際には、ゴールライン際へのパスや積極的なシュートなど状況に応じた選択肢を選択。カウンター時にはDFの死角を駆け上がりフリーの状態でゴール前にポジションを取るなど、オン/オフ・ザ・ボールに関わらず常にゴールを意識したプレーを見せている。
 守備面でも、ボール保持者へのパスコースを切る寄せ、執拗なマーク、ボールの受け手の前に出るパスカット、一対一でのボール奪取など、先を読んだプレーでたびたび攻撃の芽を摘んでいる。
 プロデビュー戦では、自陣でのパスブロックからそのままボールを相手陣に持ち上がり、DFを切り返しでかわした直後に相手最終ライン裏へ抜け出しを図るFWウェズレイ(Wesley, 1999)へスルーパスを通しアシストを記録。
 2度目のアシストは、後方から縦に入るボールをライン間で受け、前を向くや、自身のマークに上がるCBが空けたスペースに駆け上がるFWウェズレイへ、DFの伸ばす足の上を通すパスを通した。
 いずれのアシストもFWウェズレイへのもので、FWウェズレイのプレースタイルを熟知しての瞬間的な判断でゴールをお膳立てした。

 16歳9か月30日でのプロデビューは、2001年以降のクラブ最年少デビュー。そのデビュー戦では、いきなりプロ初アシストをマークし、与えられた短い時間でしっかりと結果を残した。
 監督交代後には、主力選手の離脱でスタメン起用のチャンスを掴むと、16歳とは思えぬ落ち着きと洞察力のあるベテラン顔負けのプレーで、攻守に渡ってボールに多く絡み、たちまちサポーターの心を鷲掴み。
 この試合を機に連戦でスタメンに抜擢されると、試合を経るごとに監督・コーチ陣や周囲の選手からの信頼が厚みを帯びていく。

 自身7試合目の試合では、チームが獲得したPKのキッカーを直訴するような気持ちの強さも兼ね備えている。
 インテルナシオナウは、エクアドル代表FWエネル・バレンシア(Enner Valencia, 1989)やコロンビア代表FWボレー(Borré, 1995)を擁しながらも、国際カップ戦と国内カップ戦は早期に敗退、全国選手権も下位に低迷しているが、ガブリエウ・カルヴァーリョが先発を務めた(2024年8月17日現在)直近の4試合は1勝3分の成績を収め、チームの調子は上向きにある。
 今後は強力なフォワード陣との連係も深まり、互いのプレースタイルを熟知することで、これまで以上にゴールに関与するプレーが増えるに違いない。また、その後には、ケガから復帰するMFアラン・パトリッキとのポジション争いや、共存がどのように行われるのか、今から楽しみは大きい。

(2024/08/18時点)
 真偽のほどは定かでないが、ブラジル国内では、ベンフィカ/POR、アーセナル/ENG、マンチェスターシティ/ENGが関心を示している、との報道を見かける。
 FIFAの規定により、国境をまたぐ移籍は18歳の誕生日を迎えるまでは禁じられている。ガブリエウ・カルヴァーリョの18歳の誕生日はちょうど一年後の2025年8月17日。欧州ビッグクラブへの移籍が実現することを祈りながら、この一年間はインテルナシオナウでのプレーをしっかりと目に焼き付けようと思う。

(2025/06/22時点)
 2025年1月に移籍先が決まった。サウジアラビアのアル・カーディシーヤ(Al Qadsiah)だ。
 アル・カーディシーヤ(Al Qadsiah)の2024/25シーズンは、1部再昇格後のリーグ戦で4位、国王杯は準優勝。アル・ナスルやアル・ヒラルのような国外有名選手の爆買いはなく、国外選手も若手を中心とした先を見据えた堅実な補強を実施している。
 中東移籍はキャリアアップにとってマイナスな印象があった。しかし、2024年10月、コリチバからアル・アハリ・ドバイへ渡り2024年7月にボタフォゴに移籍入団を果たしたFWイゴル・ジェズス(Igor Jesus, 2001)が2026W杯南米予選に代表初招集。4試合に先発出場を果たし1得点1アシストの活躍。また、2025年6月に開催されているクラブW杯ではパリSG/FRAを撃破する決勝ゴールをマーク。同大会終了後にはノッティンガム・フォレスト/ENGへの移籍(移籍金2000万ユーロ・約33億円)が内定しており、中東移籍のネガティブな印象がかなり払拭されている。
 ガブリエウ・カルヴァーリョの移籍先が欧州ビッグクラブでないことは少し残念なようにも感じるが、欧州移籍は出場機会に恵まれず重要な成長期を棒に振る可能性も高い諸刃の剣。先述のFWイゴル・ジェズスのように中東でのプレーをステップアップとしてブラジルクラブへの逆輸入、もしくはそこから欧州移籍を果たし、ブラジル代表への道を目指してもらいたい。





											

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