イゴル・セホッチ (Igor Serrote)

投稿者: | 2025年9月20日
新規投稿 : 2025/09/20
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若手 逸材 ブラジル サッカー グレミオ 左サイドバック イゴル・セホッチ

イゴル・エドゥアルド・シュレンペル

Igor Eduardo Schlemper

ポジション:右サイドバック/ラテラウ・ジレイト

利き足:右足

2005年3月1日生まれ

<幼少期>

 イゴル・セホッチ(Igor Serrote)ことイゴル・エドゥアルド・シュレンペル(Igor Eduardo Schlemper)は、ブラジル連邦共和国サンタカタリーナ州バルネアリオ・カンボリウー(Balneário Camboriú)に生まれる。

<クラブ経歴>

≪育成時代

 グレミオの熱狂的なサポーターである父の影響で自身も熱烈なグレミスタだったセホッチは、2015年10歳の時に入団テストを経てグレミオ傘下のサッカースクールに入団。
 両サイドを刈上げ中央の髪をツンツンと尖らせたパンクロッカーのようなモヒカンの髪型をしていたため、コーチ陣や同年代の仲間から「セホッチ(ノコギリの意)」と呼ばれるようになった。
 2021年3月潜在能力が評価され16歳でグレミオとプロ契約を締結を結ぶ。
 ところが、それまではウィンガーとしてプレーしていたものの、U-17チームではウィングとしての出場機会を失っていく。そして、U-17チーム2年目の2022年、監督やコーチ陣に空中戦の強さや身体能力の高さと言った強みを評価されサイドバックへと転向する。
 2023年(年初17歳)はU-20チームに昇格するが、1月に開催されるU-20全国大会カップ戦には登録外。
 しかし、4月29日U-20リオグランデドスル州選手権開幕節ではベンチ入りを果たし、後半33分に交代出場。右SBとして初の公式戦を迎える。
 その後はU-23チームの試合にも出場するなど、公式戦で右SBとしての経験を積み重ねる。
 8月5日開幕のU-20コパ・ド・ブラジルでは、初戦のインテルナシオナウとのクラシコなど全試合に右SBとして先発出場を果たす。10月15日決勝クルゼイロ戦でチームは敗れたものの、セホッチはチームの準優勝に貢献。
 U-20コパ・ド・ブラジル閉幕後にはヘナト・ポルタルーピ(Renato Portaluppi)監督率いるトップチームに合流しトレーニングに参加。監督からはシュート力や精度が高く多様なクロスなど攻撃面で高い評価を得て、繰り返しトップチームのトレーニングに参加するようになる。
 2024年(年初18歳)は、1月開催のU-20全国大会カップ戦に登録。チームが敗退するベスト16までの6試合に出場し1得点。
 大会終了後はU-23チームに合流。
 4月2日にはトップチームに招集され、リベルタドーレス開幕節、海抜3598mの高地で開催されたザ・ストロンゲスト戦(A)にてトップチームで初のベンチ入りを果たす(出場機会なし)。

グレミオ≫

– 2024 –

 2024年7月に入るとU-20全国選手権に出場しながらもトップチームでベンチ入りする試合が増えていく。
 そして、2024年9月28日全国選手権第28節ボタフォゴ戦(A)、0‐0で迎えた後半36分に右WGとしてピッチに送り出され、念願のプロデビューを果たす。
 10月4日第29節フォルタレーザ戦(H)もまた右WGとして後半21分にピッチに送り出されると、後半45+1分、自陣からのカウンターから左WGソテウド(Soteldo, 1997)がシュート。ポストに弾かれたボールを右サイドPA外でセホッチが拾い逆サイドへ柔らかなクロス。これを左WGソテウドがダイレクトに決め、セホッチはプロ2戦目にして初アシストを記録した。
 10月9日全国選手権順延第6節アトレチコ・ミネイロ戦(A)ではプロ初スタメンを右SBとして飾った。
 その後はU-20チームに戻り、U-20州選手権準決勝H&A2試合、一発勝負の決勝戦に出場し、チームの州選手権制覇に貢献。
 そして、トップチームに再合流し、右SBとして2試合に途中試合出場。
 シーズン終了後の12月14日には契約を更改。
 プロデビューを飾った2024年は、トップチームで5試合1アシスト、U-20チームで25試合2得点1アシストの成績を収めた。

– 2025 –

 2025年(年初19歳)は、1月開催のU-20全国大会カップ戦からスタート。1月5日のグループラウンド開幕節に右SBとして先発に起用され2アシストを記録すると、1月7日に嬉しい知らせが舞い込んだ。U-20南米ユース選手権への追加招集。
 1月23日~2月16日に開催されたU-20南米ユース選手権は、出場停止の1試合を除く8試合、716分の出場記録と1アシストの成績を残し、ブラジル代表の大会連覇に貢献。
 U-20南米ユース選手権終了後はトップチームに合流するが出場機会はなかなか訪れない。
 しかし、3月16日1stレグの0‐2の敗戦を受けて挑む州選手権決勝インテルナシオナウ戦2ndレグ(H)にて右SBとしてスタメンに抜擢。闘志をむき出しにしたプレーで前半に警告受けハーフタイムでの交代となったが、グスタボ・キンテロス(Gustavo Quinteros)監督の信頼を勝ち取った。
 2025年3月29日全国選手権開幕節にて先発に起用されると、4月5日第2節にも先発出場。
 その後しばらく出場機会を失うが、4月24日コパ・スウアメリカーナ第3節から5月13日同第4節までの7試合に連続出場(うち4試合に先発)。しかし、5月13日の試合で左手の甲を骨折し戦列離脱を余儀なくされる。
 クラブW杯による中断期間もあり2か月ぶりに7月13日全国選手権第13節に復帰を果たすと、7月16日、アリアンサ・リマ(Alianza Lima)/PERとのコパ・スウアメリカーナプレーオフではフル出場。
 そして、7月26日全国選手権第17節パウメイラス戦(A)でグレミオでの最後の試合を迎える。

アル・ジャジーラ/UAE≫

– 2025/26 –

 2025年7月28日グレミオはイゴル・セホッチのアル・ジャジーラ(Al Jazira)/UAEへの移籍を発表。移籍金は550万USドル。グレミオは選手保有権の20%を継続保有。アル・ジャジーラとの契約期間は2025年8月9日~2027年12月31日。
 8月17日UAEプロリーグ開幕節に先発出場を果たしクラブデビュー。
 しかしその後は、2025年9月20日現在で第4節まで消化されているが、全試合にベンチ入りを果たしているものの出場機会は訪れていない。

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2024年(19歳)グレミオ全国選手権512001
 合計512001
2025年(20歳)グレミオコパ・スウアメリカーナ419500
全国選手権751300
コパ・ド・ブラジル13200
ヘコパ・ガウーシャ13000
州選手権14500
 合計1481500
2025/2026年(21歳)アル・ジャジーラ/UAEUAEプロリーグ17900
 合計17900
イタリック斜体は、2025年9月20日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表(世代別含む)経歴>

– 2024 –

 2024年9月20日CBF発表の10月7日~15日開催U-20代表合宿への代表23選手の一人として招集。これはセホッチによっての初めての世代別代表招集。
   関連記事 : [2024.09.20発表]<ブラジルU-20代表招集>
 2024年10月25日にCBFにより発表された、11月11日~19日に開催されるU-20代表合宿への代表23選手の一人として招集。しかし、クラブ事情により辞退。

– 2025 –

[2025U-20南米ユース選手権

 2025年1月7日U-20南米ユース選手権に追加招集。
★予選ラウンド
 1月24日第1節アルゼンチン戦(✕0‐6) : フル出場
 1月26日第2節ボリビア戦(〇2‐1) : フル出場
 1月28日第3節試合なし
 1月30日第4節エクアドル戦(〇3‐2) : フル出場
 2月1日第5節コロンビア戦(✕0‐1) : 89分間出場
★決勝ラウンド
 2月4日第1節ウルグアイ戦(〇1‐0) : フル出場
 2月7日第2節コロンビア戦(〇1‐0) : 先発87分出場、43分&87分警告→退場
 2月10日第3節パラグアイ戦(〇3‐1) : 出場停止
 2月13日第4節アルゼンチン戦(△1‐1) : フル出場、1アシスト
 2月16日第5節チリ戦(〇3‐0) : フル出場
 2月13日決勝ラウンド第4節アルゼンチン戦(△1‐1)では、0‐1で迎えた後半33分、CBジャイール・クーニャ(Jair Cunha, 2005)がハーフラインから前線に送ったボールのクリアボールを相手陣アタッキングサード入口右で拾い、中央へ流れながら前を向き最終ライン裏を狙うFWハイアン(Rayan, 2006)へ軽く浮かしたパス。上手く抜け出したFWハイアンがゴールエリア右の角度のない位置からシュート。GKの脇を抜けたグラウンダーのボールがファーサイドのゴールネットを揺らす貴重な同点ゴール。イゴル・セホッチは優勝に向け負けられない大事な試合でアシストを記録した。

[2025U-20W杯

 2025年9月18日CBFがチリにて9月27日に開幕するU-20W杯ブラジル代表を発表。セホッチは代表21選手の一人として招集を受けた。
 ブラジル代表は、開幕節9月28日20:00~メキシコ戦、第2節10月1日20:00~モロッコ戦、第3節17:00~スペイン戦(日時はブラジル標準時間)が予定されている。
   関連記事 : <U-20W杯2025> U-20ブラジル代表選手一覧 (2025.09.18発表)

<プレースタイル、エピソード、雑感 etc.>

 利き足は右足。
 身長180cm、体重73kg。(サッカーサイト「oGol」2025年9月20日参照)
 ポジションは右サイドバック。まれに右ウィング。
 屈強な身体を生かしたデュエルや空中戦を得意とし、無尽蔵のスタミナが特長。
 特筆するような瞬発的なスピードはないが、大きいストライドの加速的なスピードは、果敢なオーバーラップや背後へのロングボールの対応に生かされる。
 ゴール前の状況をしっかりと捉え、ライナー性、グラウンダー、ロビングなど蹴り分ける多彩で精度の高いクロス、力強く抑えの効いたミドルシュートも印象的。
 そして何よりも溢れ出る闘争心が魅力。魂の籠ったプレーや体全体を使ったアクションで自身やチームメートを鼓舞する。
 しかし一方で、この闘争心が相手選手への敬意を欠く態度や、危険なタックルへと繋がることもあり、最大の欠点とも言える。特に2025年U-20南米ユース選手権決勝ラウンドのアルゼンチン戦では、相手選手が担架で運び出されるようなタックルを見舞い、試合後には相手チームを挑発。この態度にはブラジル国内でも多くの批判を浴びた。

 2025年U-20南米ユース選手権で個人的に印象に残った選手の一人。
 攻撃的なSBとして高い位置を保ち積極的に攻撃に参加しながらも、高い危機察知能力で相手のカウンターを何度も事前に防いだ。試合中は闘争心を前面に押し出しながらも、決勝ラウンド第4節アルゼンチン戦での同点ゴールのアシストは、サイドから中央に絞り込みながら、前線で抜け出しを図るFWハイアンへ柔らかい浮き球のスルーパス。視野の広さや冷静で的確な判断力を感じさせた。
 グレミオでU-20昇格に前後してFWからSBへ転向し加速的な成長力でトップチームに昇格。デビューからシーズンオフを挟んで約10か月、僅か19試合に出場しただけでクラブを後にした。しかし、テレビで観戦した南米ユース選手権やプロ初アシストを記録した試合、プレーは印象に残っており、2025年9月28日に初戦を迎えるU-20W杯でプレーを見られることが楽しみで仕方がない。
 今後は大きな舞台でプレーするためにも、闘争心を失うことなく、精神的な成長を遂げてもらいたいと願うばかりだ。

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