新規投稿 : 2025/09/05
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ウィリアン・ゴメス・カルヴァーリョ・サントス
William Gomes Carvalho Santos
ポジション:ウィング/ポンタ
利き足:左
2006年3月15日生まれ
<幼少期>
ブラジル連邦共和国の東北部に位置するセルジペ州の州都アラカジュ(Aracaju)に生まれる。
7歳の時、地元アラカジュのバーデン・パウエウ・クルービでフットサルを始める。
U-13ペルナンブカーノ州杯での活躍がフラメンゴやアトレチコ・パラナエンセなど多くの名門クラブのスカウトの注目を集めた。
しかし、既にサンパウロFCが11歳の頃からモニタリングを始めており、4か月に一度の間隔で地元から約2000㎞離れたサンパウロに赴きサンパウロFCの育成カテゴリーでトレーニングを行っていた。
<クラブ経歴>
≪育成時代≫
2020年7月、サンパウロFCと育成契約を締結しサンパウロU-15チームに入団。日常生活での内向的な性格と打って変わりピッチ内では試合を決定づけるプレーを次々と見せ、U-15チームの中盤の主力選手の一人として活躍。
2021年7月15日には南米U-15選手権に向けたU-15ブラジル代表合宿に追加招集を受ける(同大会はコロナ感染症拡大のため中止)。
9月6日には2度目のU-15ブラジル代表合宿に招集を受ける。
2022年(年初15歳)にサンパウロU-17チームに昇格。
4月に開催されたモンテギュー国際大会の2試合に出場(同大会でU-17ブラジル代表は優勝)。
帰国後はサンパウロU-17チームの主力として中盤を中心に、全国選手権のチーム全9試合のすべて(うち先発7試合)に出場し6得点、州選手権ではチーム24試合のうち22試合(うち先発14試合)8得点の活躍。
2023年(年初16歳)3月にサンパウロとプロ契約を締結。
3月6日に開幕したU-20全国選手権では5試合(うち先発3試合)に出場し2アシスト、4月に入りU-17州選手権が開幕すると活躍の場がU-17に移り、ポジションもFW(ウイング)としてのプレーが増えていく。
2023年10月にはU-17州選手権、U-17全国選手権がともに準優勝で閉幕。
11月に入るとU-20チームに合流し、U-20州選手権の準決勝フェホヴィアリア戦(H&A)、決勝パウメイラス戦(H&A)に出場。さらにはドリヴァウ・ジュニオール(Dorival Junior)監督率いるトップチームに招集を受ける。
≪サンパウロ≫
– 2023 –
2023年11月22日全国選手権第32節フルミネンセ戦(A)の後半15分、ピッチに送り出されプロデビューを飾る。
12月2日第37節アトレチコ・ミネイロ戦(A)、12月6日最終節フラメンゴ戦(H)にも後半途中交代出場を果たす。
2023年の各カテゴリーでの成績は以下の通り。
U-17 : 33試合11得点
U-20 : 9試合2得点2アシスト
トップ : 3試合
– 2024 –
2024年(年初17歳)1月1日、U-17カテゴリーからU-20カテゴリーを経ずにトップチームに昇格。
1月に開催されるU-20全国大会カップ戦の2試合に出場した後、2月7日州選手権第6節の後半41分にピッチに立つ。しかし、その後はチアゴ・カルピーニ(Thiago Carpini)監督、その後任となるアルゼンチン国籍スーベルディア(Zubeldía)監督のもと、出場機会はほとんど訪れない。トップチームではベンチ入りはするものの数試合の途中交代出場に止まり、試合間隔が空きすぎるとU-20チームの試合に出場する我慢の日々が続いた。
ところが、8月25日全国選手権第24節ヴィトーリア戦(H)にて転機が訪れる。この試合はリベルタドーレスベスト16の2ndレグとコパ・ド・ブラジル準々決勝1stレグに挟まれた試合。一部の主力選手を温存するため左ウイングにスタメンとして起用されると、前半6分、相手陣で相手サイドチェンジのボールをカット、ドリブルで縦に上がり、PA左約5m手前の位置から左足を一閃。鋭い弾道のボールがゴールニアサイドに突き刺さりプロ初ゴールをマークする。
続く第25節、第26節と連続してスタメン出場を勝ち取る。第26節クルゼイロ戦(A)では後半14分に自陣からのロングカウンター。右サイドを上がるFWエリキ(Erick, 1997)からのボールをPA左手前で受けると、DFとGKの位置を冷静に確認し、ゴール左上隅にこの試合両チーム唯一のゴールを突き刺す。
その後はケガの影響もあり試合から遠ざかる時期もあったが、全国選手権の最終4試合に連続出場を果たし、最終節ボタフォゴ戦では相手ビルドアップ時にプレスを仕掛け、ボールを奪い取りそのままゴールに叩き込んだ。
トップチーム昇格一年目は出場機会に恵まれない時期もあったが、初スタメンのチャンスを逃さずゴールという結果で出場機会を勝ち取り、16試合(うち先発6試合)3得点1アシストの成績を残した。
– 2025 –
2025年(年初18歳)はスーベルディア監督の要請によりトップチームのアメリカ遠征に参加。これに伴い1月に開幕するU-20南米ユース選手権への代表招集が見送られた。
1月20日州選手権第2節にてスタメンフル出場でシーズンがスタートを切る。
そして、その一週間後にポルト/PORからオファーが届いた。
≪ポルト/POR≫
– 2024/25 –
2025年1月31日ポルトがFWウィリアン・ゴメスの獲得を発表。契約期限は2029年6月30日、移籍金は固定900万ユーロ+ボーナス100万ユーロの総額1000万ユーロ、サンパウロが保有権の20%を継続保持するという内容。
なお、この取引にはサンパウロ所属でポルトガル世代別代表歴を有する右SBジョアン・モレイラ(João Moreira, 2004)のポルトへの期限付き移籍(契約満了時に200万ユーロでの買取オプション付き)と、ポルト所属でコパ・アメリカ2024などブラジル代表6試合の経歴を持つ左SBウェンデウ(Wendell, 1993)の移籍金ゼロによるサンパウロへの即時移籍が伴った。
2025年2月7日プリメイラリーガ第21節スポルティング/PORとのクラシコにて後半33分にクラブデビュー。その後はプリメイラリーガでの8試合とヨーロッパリーグ1試合に途中交代出場。
ポルトガル国内のシーズンが終えた6月にはクラブW杯に出場。第2戦インテル・マイアミ戦で16分間ピッチに立つと、第3戦アル・アハリ/EGY戦では左ウイングとしてポルトで初のスタメン出場。すると後半5分、右サイドからのボールをPA左手前で受け、そのまま中央へ切れ込み、マークが甘くなったところで右足を一閃。ファーサイドのゴールネットに突き刺さるゴラッソでクラブ初ゴールをマークした。
ポルト移籍後初年度は5か月間で11試合238分1得点の成績を残した。
– 2025/26 –
2024/25年をプリメイラリーガ3位に終えクラブW杯はグループラウンドで敗退したポルトは、2025/26年に向けた監督に、前年度オランダでアヤックスをリーグ2位に導いた新鋭フランチェスコ・ファリオリ(Francesco Farioli)氏を監督に招聘。
2025年8月11日プリメイラリーガ開幕節、18日第2節をフランチェスコ・ファリオリ新監督のもと、ウィリアン・ゴメスは左ウイングとして途中交代出場でピッチに送り出されるが、24日第3節では右ウイングとしてスタメンに抜擢される。すると前半26分、アタッキングサード入口右サイドライン際からPAに向かい斜めにドリブルを開始。ペナルティーアークに入った位置から左足を振り抜くとボールはファーサイドのポストに当たりゴールネットに吸い込まれるゴラッソ。
翌8月30日第4節クラシコとなるスポルティング戦(A)もまた右ウイングとして先発を任されると、後半19分、右サイドライン際からPA入口へドリブルで真横に切れ込みマークを外し左足を一閃。緩やかなカーブを描いたボールがファーサイドのゴールネットを揺らす2試合連続のゴラッソ。
ポルトは9月の代表ウィークによる中断期間を前に4戦4勝11得点1失点(この失点はオウンゴール)でプリメイラリーガ単独首位。
ボールポゼッションを重視しつつ、相手のカウンターを警戒するアグレッシブなディフェンスを組み合わせ、高い位置からのプレスと献身的な守備、そしてボールを奪ってからの攻撃への素早い切り替えを特徴とするフランチェスコ・ファリオリ監督のサッカーにウィリアン・ゴメスはフィット。サンパウロ時代からの献身的な守備に加え、従来と異なる右サイドでのプレーで利き足の左足による得点力も開花。好調のチームを支える原動力の一つとなっている。
今後はウィリアン・ゴメスのプレーでなく、フランチェスコ・ファリオリ監督率いるポルトの戦いぶりにも注目が集まる。
≪シーズン別クラブ出場記録≫
シーズン | 所属 | 大会 | 試合 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2023年(17歳) | サンパウロ | 全国選手権 | 3 | 73 | 0 | 0 |
合計 | 3 | 73 | 0 | |||
2024年(18歳) | サンパウロ | リベルタドーレス | 3 | 106 | 0 | 0 |
全国選手権 | 11 | 489 | 3 | 1 | ||
コパ・ド・ブラジル | 1 | 13 | 0 | 0 | ||
州選手権 | 1 | 4 | 0 | 0 | ||
合計 | 16 | 612 | 3 | 1 | ||
2025年(19歳) | サンパウロ | 州選手権 | 1 | 90 | 0 | 0 |
合計 | 1 | 90 | 0 | 0 | ||
2024/25年(19歳) | ポルト/POR | FIFA クラブW杯 | 2 | 85 | 1 | 0 |
UEFA ヨーロッパリーグ | 1 | 8 | 0 | 0 | ||
プリメイラリーガ | 8 | 145 | 0 | 0 | ||
合計 | 11 | 238 | 1 | 0 | ||
2025/26年(20歳) | ポルト/POR | プリメイラリーガ | 4 | 187 | 2 | 0 |
合計 | 4 | 187 | 2 | 0 |
イタリック斜体は、2025年9月4日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。
<代表(世代別含む)経歴>
– 2021 –
2021年7月15日には南米U-15選手権に向けたU-15ブラジル代表合宿にコロナ感染症に罹った選手の離脱に代わり追加招集を受ける(同大会はコロナ感染症拡大のため中止)。
9月6日には自身2度目のU-15ブラジル代表合宿に招集。
– 2023 –
2023年9月15日にU-17W杯をターゲットにした3回目の代表合宿への招集が発表。合宿期間中の10月6日に行われたアメリカ合衆国U-17代表との国際親善試合の後半に途中交代出場。しかし、U-17W杯代表への選出は見送られた。
– 2024 –
2024年10月25日、2025U-20南米ユース選手権に向けたU-20代表合宿招集23選手の一人として選出。
しかし、2025南米ユース選手権は代表の有力候補となっていたが、チーム事情により同大会への招集は見送られた。
<プレースタイル、雑感 etc.>
利き足は右。
身長171㎝、体重66kg。(サッカーサイト「oGol」2025年9月4日参照)
主なポジションは左右のウイング。
プレーの特長はスピード。
ドリブル時には一瞬の爆発的なスピードでマークにつく選手を置き去りにし、持続的なスピードは自陣からのロングカウンターを主導することも少なくない。
守備への貢献度は高く、前線でのコース切りやボールを奪いに行くプレッシングに精力的に走り、自陣深くまで戻る守備も厭わない。
シュートレンジが広く、ペナルティエリア手前から放たれるシュートは力強く、精度も高い。 実際にプロ初ゴールは、相手陣でのパスカットからの流れでペナルティエリア手前からGKのニアサイドを強烈に抜く左足のシュート。 ポルトでの初ゴールはペナルティエリア手前を左サイドから中央へ切れ込みファーサイドのゴールネットに沈む柔らかな弧を描く右足のシュートでゴールを陥れた。
2025/26年のポルトは、ボールポゼッションを重視しつつ、相手のカウンターを警戒するアグレッシブなディフェンスを組み合わせ、高い位置からのプレスと献身的な守備、そしてボールを奪ってからの攻撃への素早い切り替えを特徴とするフランチェスコ・ファリオリ監督が指揮を執り、そのサッカーにウィリアン・ゴメスの上記のプレースタイルがフィット。
開幕節、第2節は左ウイングとして途中交代出場に終えたが、第3節からはケガで欠場のFWペペー(Pepê, 1997)に代わり右ウイングとして2試合連続のスタメン出場。そして、その期待に応えるかのように2試合連続のゴラッソをペナルティエリア手前から叩き込んだ。
また、同シーズンは、右SBペドロ・リマ(Pedro Lima, 2006)がウルヴァーハンプトン/ENGから期限付き移籍。在籍5年目で2028年6月まで契約を延長したばかりのコパ・アメリカ2024ブラジル代表FWペペー(Pepê, 1997)とウィリアン・ゴメスの3人のブラジル国籍選手が在籍。フランチェスコ・ファリオリ監督の戦術は見どころも多く注目したいクラブだ。
そして、ウィリアン・ゴメスには、このシーズンを足場として近い将来にはイングランドやスペインなど欧州トップクラスのリーグへ移籍を果たし、さらにはフル代表でアマレリーニャを着て豪快なミドルシュートを次々と決めるような活躍を期待したい。