ルーカス・ベラウド (Lucas Beraldo)

投稿者: | 2022年12月29日
最終更新日 : 2024/01/03
更新履歴 : 2023/08/23, 03/16

ルーカス・ロペス・ベラウド 若手 ブラジルサッカー サンパウロ Lucas Lopes Beraldo

ルーカス・ロペス・ベラウド

Lucas Lopes Beraldo

ポジション:センターバック/ザゲイロ

利き足:左

2003年11月24日生まれ


<クラブ経歴>

≪育成時代≫

 ブラジルサンパウロ州内陸部のピラシカーバに生まれる。
 サッカー選手としてのキャリアはウニオン・バルバレンセで始まる。
 2016年に背番号4のユニフォームを着てU-13サンパウロ州選手権にウニオン・バルバレンセから出場。
 2018年から2019年にかけて所属したキンゼ・デ・ピラシカーバではボランチでプレーし、ビルドアップを任される。そして、2019年のU-17サンパウロ州選手権でその活躍が注目される。
 2020年にサンパウロFCの下部組織に移籍すると、早くも3月のU-17州選手権の開幕節をボランチとしてスタメン出場。コロナ感染症拡大による自粛期間明けもボランチのレギュラーを務め、U-17カテゴリーのコパ・ド・ブラジルとスーペルコパを制覇。U-17コパ・ド・ブラジル決勝戦ではCBで起用され、最終ラインからのビルドアップを担いチームの攻撃に幅をもたらす。
 2021年、トップチーム率いるエルナン・クレスポ(Hernán Crespo)監督のもと、州選手権、リベルタドーレス、コパ・ド・ブラジルでベンチ入りする(試合出場なし)。U-20チームのシーズンが始まると昇格1年目にも関わらず、CBのレギュラーの座を掴み、U-20全国選手権で準優勝に貢献する。

≪サンパウロ≫

– 2022 –

 2022年、年明けのU-20全国大会カップ戦を終えるとトップチームに招集。
 1月27日に開幕する州選手権でベンチ入り。しばらくはベンチ入りするも出場機会に恵まれない時期が続くが、5月25日のコパ・スウアメリカーナ アジャクーチョ/PER戦にスターティングイレブンで起用される。
 この試合は3バックの右サイドでプレー、積極的にビルドアップに参加、守備面でも試合を通してほぼミスもなく、90分を零封する。
 しかし、以降は全国選手権の3試合に出場するにとどまり、トップチーム昇格1年目は4試合220分の出場にとどまった。

– 2023 –

 2023年、サンパウロFCは、前年に主力を務めたミランダ(Miranda, 1984, 2018W杯ブラジル代表レギュラー)の引退、レオ(Léo, 1996)の移籍、アルボレーダ(Arboleda, 1991, 2022W杯エクアドル代表)のケガの再発。さらにはマンチェスターシティからレンタルによる新加入のフェラレシ(Ferraresi, 1998, 2021コパアメリカベネズエラ代表)が前十字靭帯断裂の大怪我を負い戦列を離脱し、手薄な状況になる。その中、レギュラーとして州選手権に出場。チームの予選ラウンドグループ1位通過に貢献する。
 サンパウロFCは、州選手権決勝ラウンド1回戦での敗退、コパ・ド・ブラジル3回戦1stレグでのスコアレスドロー、全国選手権開幕節の敗戦を受け、2023年4月15日コパ・スウアメリカーナの試合後にホジェリオ・セニ監督を解任。ドリヴァウ・ジュニオール(Dorival Júnior)が監督に就任する。
 ドリヴァウ・ジュニオール監督は守備ラインの軸にルーカス・ベラウドを据える。すると、ベラウドは19歳とは感じさせぬ落ち着きで、攻めてはビルドアップを担い、守っては一対一、空中戦で強さを発揮、カバーリングにも優れ、チームは11試合無敗の戦績を残し上位争いに加わる。
 2023年5月20日全国選手権第7節ヴァスコ・ダ・ガマ戦では2-2の同点で迎えた後半44分、右CKを頭に合わせプロ初ゴール。チームの勝利に貢献。
 7月下旬になると、チームはコパ・ド・ブラジルで準決勝に進出、コパ・スウアメリカーナは決勝ラウンド進出を決め、優勝の可能性が極めて低くなった全国選手権を捨て、カップ戦2大会に重点を置く。
 すると、当然の如くベラウドはカップ戦を軸にして試合に起用されることになる。コパ・スウアメリカーナは準々決勝1stレグで足を負傷し前半終了前に交代。一週間後の2ndレグはケガも回復し安定したプレーで90分間のフル出場。準決勝進出をかけたPK戦では4人目のキッカーとしてPKを成功するが、チームはここで敗退する。
 一方のコパ・ド・ブラジルは、7月25日準決勝コリンチャンス戦1stレグをケガ明けの万全と言えない状態でピッチに立つが、前半にはゴールエリア内での決死のシュートブロック、試合を通じてビルドアップを担い持ち味を発揮。8月16日2ndレグは相方アルボレーダのフィジカルなプレーとは対照的な先を読んだパスカットやシュートブロックで互いの持ち味を最大限に発揮し完封勝利。
 9月17日決勝フラメンゴ戦アウェイでの1stレグ。超満員のマラカナンスタジアムでの試合だったが、いつも通りの落ち着いたプレー。ビルドアップでは短いパスを中心に試合を落ち着かせ、時には縦の楔のパスを織り交ぜ攻撃の起点となり、守っては相手CFペドロをほぼ完ぺきに抑えきり、試合は1-0の先勝。
 9月24日ホームの2ndレグは、珍しくビルドアップでのパスをインターセプトされピンチを招く、いつもにない試合の入りとなると、前半43分にはドリブルでボールを持ちあがる選手へ僅かに重心を移したことでマークすべき選手へのパスを通されシュート(ゴール)に持ち込まれるミス。しかし、チームが同点に追い付いた後は、いつものプレーに立ち返り、細かなミスもほとんどなく試合を締め、クラブ史上初のコパ・ド・ブラジル戴冠。
 その後は全国選手権を最終節までのほぼ全試合にフルタイム出場を果たし、一気に飛躍した2023年シーズンを終える。
 2023年12月23日、パリSG/FRAとサンパウロFCがルーカス・ベラウドの移籍に関してクラブ合意。ベラウドは12月27日に渡仏し、30日にメディカルチェック。その後、契約の手続きを終え、1月1日にパリSGはルーカス・ベラウドの加入を発表。
  関連記事 : 「パリSG、CBベラウド(サンパウロ)選手獲得へクラブ間合意 [2023.12.23]
 2024年1月3日トロフェ・デ・シャンピオンにベンチ入り。後半24分にピッチに送られる。ブラジル代表CBマルキーニョス(Marquinhos, 1994)とのコンビで試合を締めくくり、パリSGでの初タイトルを獲得。
 2022年トップチーム昇格1年目は元ブラジル代表CBミランダとのコンビで多くのことを学び、2023年はエクアドル代表アルボレーダとのコンビでお互いの持ち味を引き合いだし、そして、2024年。ポジション争いを勝ち抜き、ブラジル代表CBマルキーニョスとのコンビでどのようなサッカーを見せてくれるのか、今から楽しみは尽きない。

今後は、パリSGでの活躍が期待がされ、多くのメディアやSNSなどで情報を収集しやすくなると思います。ということで当ブログの役目は終了。2024年1月3日の更新をもってルーカス・ベラウド選手に関する記事は最終更新といたします。
Lucas! 
Boa sorte! Vai com Deus!!!

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2022年(19歳)サンパウロコパ・スウアメリカーナ19000
全国選手権313000
 合計422000
2023年(20歳)サンパウロコパ・スウアメリカーナ761500
全国選手権24216010
コパ・ド・ブラジル872600
州選手権972700
 合計48422810
2023/24年(21歳)パリSG/FRAトロフェ・デ・シャンピオン11900
 合計11900
イタリック斜体は、2024年1月3日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表経歴>

 2022年6月に開催されたパラグアイ、エクアドル、ウルグアイとのU-20国際親善大会で世代別代表に招集を受けると、チーム2試合目となる6月10日エクアドル戦に4バックの左CB/ZAEとして途中交代出場。
 続く2022年9月のアルゼンチン、ウルグアイ、ウズベキスタンとのU-20国際親善大会に招集。
 初戦のアルゼンチン戦に左CB/ZAEとしてスタメン出場する。0-1で迎えた前半29分には、FKから相手ライン裏に抜け出しフリーの状態でヘディングシュートを決め、代表初ゴールを記録。
 2戦目のウルグアイ戦、3戦目のウズベキスタン戦では、共にキャプテンとしてスタメン出場。2試合ともに零封を達成。
 2022年11月20日の2023U-20南米ユース選手権の向けた最後の親善試合となるチリ代表との試合に出場。
 2022年12月8日に発表された2023年1月19日開幕のU-20南米ユース選手権代表22名のメンバーに選出される。
 しかし、本大会はチーム事情により辞退。
 2023年4月15日~27日に予定されたスペインU-20代表合宿に招集。 しかし、これもチーム事情により辞退。

<エピソード、プレースタイル etc.>

 育成時代にボランチを務めた経験からビルドアップを得意とする。左足が利き足ながら右足でも遜色なくプレー。左右両足から繰り出される縦の楔のパスやスルーパスで攻撃の起点となる。
 2022年のトップチーム1年目は、CBにフィジカルの強さを求めるホジェリオ・セニ(Rogério Ceni)監督のもとあまり出場機会を得ることはなかった。しかし、一方でチームとしてボールを支配し相手守備陣をいかに崩すかが問われるU-20代表には6月、9月、11月の国際親善試合に招集され、2023年U-20南米ユース選手権代表に選出された。
 2022年シーズン終了後にミランダ(Miranda, 2018W杯ブラジル代表レギュラー)の退団、ルイザォン(Luizão)のウェストハム/イングランドへの売却があり、サンパウロFCは2023年に向けCB/ZAGに不安を残す。
 ベラウドがミランダに替わってビルドアップを担うと思われる。ホジェリオ・セニ監督からの信任を得るためにも、まずはU-20南米ユース選手権で結果を残し、帰国後はクラブで起用される試合に監督から課せられる役割を果たすことが必要になる。2023年はチームを底から支える中核選手としての成長が期待される1年になる。

<国外移籍>

 2022年12月のブラジルでの報道によると、イングランド、イタリア、ポルトガルの複数のクラブがベラウドの調査を開始しているという。中でもフィオレンティーナ/イタリアが最も関心を示しており、2023年の冬季移籍ウィンドウでのオファーの可能性もあるとのことだが、フィオレンティーナ側のEU圏外選手枠の関係もあり、実現の可能性は低いと思われる。

<2023年 U-20南米ユース選手権辞退、U-20W杯招集見送り>

 2022年12月8日、U-20南米ユース選手権代表が発表され、22名のメンバーに名前を連ねたが、州選手権と開催が重なることから代表招集を辞退。さらには、2023年4月のU-20W杯を念頭に置いたU-20代表合宿もまた全国選手権と日程が重なりチーム事情による辞退となり、U-20W杯本大会は招集見送りとなった。
 ビルドアップや守備のスタイルは異なるが、両大会でビルドアップを担い2023年3月、6月のフル代表にも選出されたホベルチ・ヘナン(Robert Renan, 2003)には、攻守ともに全く引けを取っておらず、両大会に出場していたら世界的に注目を浴びていただろうと思わせるプレーをサンパウロFCで見せている。
 CBというポジションは、経験もさることながら、チーム戦術や監督の重視する特性により、出場機会が大きく左右されるポジション。ルーカス・ベラウドはスピードの面で他を圧倒するものはないが、空中戦や相手FWとの駆け引き、ビルドアップでは標準を大きく上回るプレーを見せ、試合中は年齢を感じさせない落ち着きを見せている。
 2023年は残念ながらチーム事情で代表のユニフォームを着る機会はなかったが、2024年パリ五輪代表やその後のフル代表への選出に向け、クラブで経験を積み重ね、今のプレーにさらに磨きをかけてもらいたい。

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