ヤゴ・テオドロ・シウヴァ (Iago Teodoro Silva)

投稿者: | 2025年10月7日
新規投稿 : 2025/10/07
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ヤゴ・テオドロ・シウヴァ 若手 逸材 U-20W杯 ブラジル サッカー センターバック フラメンゴ

ヤゴ・テオドロ・ダ・シウヴァ・ノゲイラ

Iago Teodoro da Silva Nogueira

ポジション:センターバック/ザゲイロ

利き足:右

2005年4月18日生まれ

<幼少期>

 ブラジル連邦共和国リオデジャネイロ州、州都リオデジャネイロから約130㎞西に位置するヴォウタ・ヘドンダ(Volta Redonda)市に生まれる。

<クラブ経歴>

≪育成時代

 地元ヴォウタ・ヘドンダの「SESI」(社会福祉団体)のスクールでフットサルを始める。
 フルミネンセ傘下のサッカースクールを経て、地元のヴォウタ・ヘドンダFCの下部組織に入団。
 2019年1月のフラメンゴ戦での活躍がフラメンゴスカウトから関心を呼び勧誘を受ける。しかし、ブラジルでは初等教育が終了する14歳までクラブでの寄宿生活は禁じられているため当時13歳だったヤゴは寄宿舎に入寮することができず、家族の経済的な負担も大きくなるため、この時の勧誘を断念する。
 ヤゴが14歳を迎え、コロナ禍が落ち着きを見せ始めた2021年にフラメンゴU-17チームに入団。
 2021年8月21日U-17州選手権にて初出場、本来のポジションとは異なる左CBとして初先発に抜擢され後半24分に同点ゴールをマーク。
 その後も州選手権で試合を重ねると、9月22日U-17コパ・ド・ブラジル準々決勝クルゼイロ戦1stレグでの途中交代出場を経て、同2ndレグ、準決勝パウメイラス戦H&A、決勝サンパウロ戦H&Aに先発出場。チームのU-17コパ・ド・ブラジル制覇に貢献した。
 2022年(年初16歳)はU-17チームで3試合に出場した後、4月29日にU-20州選手権に交代出場。
 4月にフラメンゴとプロ契約を締結すると、パウロ・ソウザ(Paulo Sousa)監督率いるトップチームに合流。5月1日コパ・ド・ブラジル三回戦1stレグではベンチ入りを果たした(出場機会なし)。
 その後は再びU-20チームでプレーするものの出場機会は3~4試合に1試合と限られ、9月29日に開幕するU-20コパ・ド・ブラジルには選手登録されずU-17チームに主戦場を移した。とはいえ、U-17チームでの安定感は高く、U-17州選手権決勝ラウンドの準々決勝以降のH&A6試合に出場。決勝ヴァスコ・ダ・ガマ戦では苦杯を舐めたもののチームのU-17州選手権準優勝に貢献した。
 2023年(年初17歳)U-20チームに昇格。
 1月開催のU-20全国大会カップ戦には初戦から先発メンバーとして出場するが、チームは4試合目となる決勝ラウンド一回戦で敗退。
 3月3日にU-20全国選手権、7日にU-20州選手権が開幕するが、ヤゴの出場機会は限られたものとなる。
 シーズン終盤の州カップ戦で再びスタメンでの出場機会が与えられたもののチームは準々決勝で敗退。
 U-20チーム初年度のこの年は大きな期待を浴びたものの、22試合(うち先発11試合)1得点の不本意な成績に終えた。
 2024年(年初18歳)は1月開催全国大会カップ戦に出場。開幕節はベンチスタートに甘んじたが、後半に先発選手の負傷により交代出場。以後は先発メンバーとしてチームが敗退する準々決勝までの6試合に出場。

フラメンゴ≫

– 2024 –

 2024年1月27日リオデジャネイロ州選手権第3節、後半28分にピッチに送り出されプロデビューを飾る。
 2月29日フラメンゴとの契約を2026年末まで延長。
 2024年3月4日に開幕節を迎えたU-20リベルタドーレス。フラメンゴU-20は前年のU-20全国選手権優勝チームとして出場し、ヤゴは開幕節からキャプテンとして先発に起用される。
 開幕節は1-0の零封で守備面で貢献したが、第2節は0-1からの同点ゴールでチームは2-1の逆転勝利。第3節にもPKによる1得点を記録しチームは4-1の勝利。決勝ラウンド準決勝ロサリオ・セントラル/ARG戦では0-1で迎えた後半11分にPKによる同点ゴール。そして後半26分には左CKからペナルティーマーク付近で巧みにマークを外しフリーの態勢で頭を合わせる逆転ゴール。決勝ボカ・ジュニオルス/ARG戦ではヤゴ自身のゴールは生まれなかったもののチームは2-1の勝利を収めフラメンゴU-20はU-20リベルタドーレスを制覇。
 ヤゴは守備面での活躍に止まらず、攻撃面でも大会得点王となる4得点を記録し、チームの大会制覇に貢献した。
 4月に入りU-20全国選手権が開幕すると不動のレギュラーとして活躍。
 6月に入ると、トップチームのトレーニングに参加し5試合にベンチ入り。しかし、層の厚いCB陣の中で出場機会は訪れないまま、7月には再びU-20チームに合流する。
 2024年8月24日第3回U-20インターコンチネンタル杯決勝オリンピアコス/GRE戦。キャプテンマークを左腕に巻きピッチに立ったヤゴは90分間のフル出場を果たしチームは2-1の逆転勝利。同年3月に監督としてのキャリアをスタートさせたフィリピ・ルイス(Filipe Luís)監督に育成カテゴリーではあるが国際タイトルをプレゼントした。
 U-20チームのシーズン終了後には、9月30日にトップチーム監督に就任したフィリピ・ルイス監督のもとトップチームに再招集を受けるが、トップチームのピッチに立つことはなく2024年シーズンを終えた。

– 2025 –

 2025年(年初19歳)は2025年南米ユース選手権に出場。チーム全11試合のすべて(うち先発10試合)に出場。セットプレーで2得点を奪うなど、攻守の活躍でU-20ブラジル代表の大会連覇に貢献。
 2025年南米ユース選手権から帰国後はトップチームに合流するも出場機会は訪れず、U-20チームにてU-20リベルタドーレスに出場。
 3月16日決勝パウメイラス戦は、90分を1-1で終えPK戦の末フラメンゴU-20が制し、ヤゴはキャプテンとして大会連覇を達成。
 8月23日U-20インターコンチネンタル杯バルセロナ/ESP戦は、1‐2のビハインドで迎えた後半45+7分、前線に上がりハーフライン右からのロングパスにPA内左で相手DFの頭越しにヘディングシュート、ボールはGKの指先を越えてゴールネットを揺らす同点ゴール。そして、PK戦では2番手のキッカーを務めチップキックのゴールを成功。チームはPK戦で6-5の勝利を収めU-20リベルタドーレスに続き同大会も2連覇を達成した。
 9月28日に初戦を迎えた2025年U-20W杯はキャプテンとして開幕節メキシコ戦(△2-2)、第2節モロッコ戦(X1-2)、第3節スペイン戦(X0-1)に出場。U-20ブラジル代表は史上初のグループラウンド敗退、しかも1勝も挙げることができずに大会を去った。
 2025年10月7日現在、U-20カテゴリーでは、クラブ、代表でキャプテンとして目覚ましい活躍を遂げているが、トップチームでは、センターバックとしての序列は6番手に甘んじており、試合出場はなく、ベンチ入りでさえ3試合にすぎない状況にある。

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2024年(19歳)フラメンゴ州選手権11700
 合計11700
2025年(20歳)フラメンゴ出場履歴なし
イタリック斜体は、2025年10月7日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表(世代別含む)経歴>

– 2024 –

 2024年5月17日に発表された6月3日~11日に開催されるU-20ブラジル代表合宿に世代別代表として初招集。合宿期間中に行われたボタフォゴU-20との練習試合ではCBヴィトル・ヘイス(Vitor Reis, 2006)とコンビを組みチームは7-0の完勝。セットプレーから1ゴールを記録。
 8月17日発表、9月5日、8日開催のU-20メキシコ代表との親善試合に向けたU-20ブラジル代表に選出。しかし、2試合を通じて出場機会は訪れなかった。
 10月24日に発表された11月11日~19日開催U-20ブラジル代表合宿に選出。

– 2025 –

[2025U-20南米ユース選手権

 2024年12月20日に発表された2025年南米ユース選手権代表に選出。
★予選ラウンド
 1月24日第1節アルゼンチン戦(✕0‐6) : 後半15分交代出場
 1月26日第2節ボリビア戦(〇2‐1) : フル出場
 1月28日第3節試合なし
 1月30日第4節エクアドル戦(〇3‐2) : フル出場、1得点
 2月1日第5節コロンビア戦(✕0‐1) : フル出場
★決勝ラウンド
 2月4日第1節ウルグアイ戦(〇1‐0) : フル出場
 2月7日第2節コロンビア戦(〇1‐0) : フル出場、1得点
 2月10日第3節パラグアイ戦(〇3‐1) : フル出場
 2月13日第4節アルゼンチン戦(△1‐1) : フル出場
 2月16日第5節チリ戦(〇3‐0) : フル出場
 ブラジルU-20代表は開幕節アルゼンチン戦で屈辱的な0-6の敗戦。その試合でベンチスタートだったヤゴは後半15分に左CBに入り、左CBを務めていたアルトゥール・ジアス(Arthur dias, 2007)が左SBにポジションを変更。その形を継続した予選ラウンドは不安定な試合が続いたが、辛うじて決勝ラウンド進出を決める。
 決勝ラウンドに入ると、右CBジャイール(Jair, 2005)や左SBアルトゥール・ジアス(Arthur Dias, 2007)、ボランチ陣との連係が高まり、自陣での守備を安定させることに成功。第2節コロンビア戦では前半6分にFWペドロ(Pedro, 2006)の巻き込む右CKをスタンディングながら打点の高いヘディングシュートでこの試合唯一のゴールをマーク。
 厳しい大会だったがブラジルU-20代表は大会連覇を達成。ヤゴは最終ラインを統率し、守備の立て直しに貢献した。

 5月16日CBF発表、6月5日アイスランドU-21(△0-0)、7日サウジアラビアU-20(△1-1)、10日韓国U-20(〇4-0)との国際親善試合に向けたU-20ブラジル代表に招集。
 7月21日CBF発表、8月8日、11日開催の国際親善試合パラグアイ戦に向けたU-20ブラジル代表に招集。いずれの試合にも出場なし。
 8月26日CBF発表、9月1日~9日開催予定のU-20ブラジル代表に招集。

[2025U-20W杯

 2025年9月18日、チリにて9月27日に開幕するU-20W杯ブラジル代表が発表され、ヤゴは代表21選手の一人として招集を受ける。
 ★グループラウンド
 開幕節9月28日メキシコ戦(△2‐2) : フル出場
 第2節10月1日モロッコ戦(X1‐2) : フル出場、1得点
 第3節10月4日スペイン戦(X0‐1) : フル出場
 3試合すべてにキャプテンとして90分間のフル出場。
 第2節モロッコ戦では後半アディショナルタイムにPKを成功。
 第3節スペイン戦では、相手カウンターで1対3となった局面で、パスコースを消しながらボール保持者と並走し、最後は見事なシュートブロックで追加点を防いだものの、チームは得点を奪えず0-1の敗戦。
 チームは3試合で5失点を喫しグループラウンドで敗退した。
   関連記事 : <U-20W杯2025> U-20ブラジル代表選手一覧 (2025.09.18発表)

<プレースタイル、エピソード、雑感 etc.>

 利き足は右足。
 身長188cm、体重不明。(サッカーサイト「oGol」2025年10月7日参照)
 主なポジションは右センターバック。
 類まれなリーダーシップは、フラメンゴU-17入団後にチームキャプテンを務め、U-17コパ・ド・ブラジルを制覇。U-20チームでは昇格後2年目からキャプテンマークを腕に巻き、チームを2024年、2025年のU-20リベルタドーレス、U-20インターコンチネンタル杯の連覇に導いた。
 強靭な肉体を生かしたデュエルや空中戦といった対人プレーに強みを持つ。判断のいい飛び出しや執拗なマークで相手フォワードの自由を奪い、先を読んだプレーでインターセプトやパスカットを繰り返す。
 マイボールのセットプレーでは相手のマークを巧みに外し、打点の高いヘディングでゴールを量産。
 ビルドアップを担い、ドリブルで自らボールを持ち上がり強烈なシュートで終える場面も見られる。
 一方で、課題としては成功率にムラのあるロングパスが挙げられる。

 ヤゴがフットサルを始めたSESIで出会った1歳年上のアルトゥール・ヴィニシウス(Arthur Vinícius, 2004)は、毎日のようにボールを蹴りあう兄のような存在。二人はフルミネンセ傘下のサッカースクールに通うようになり、その後、ヤゴが地元のヴォウタ・ヘドンダFCの下部組織に入団すると、後を追うようにアルトゥールが入団。二人は切磋琢磨しながらプロサッカー選手になる夢を共に歩み続けていた。
 アルトゥールは2018年に14歳の誕生日を迎えるとフラメンゴU-15チームに加入。フラメンゴの寄宿舎に居を移しサッカー中心の生活を過ごすようになる。
 一方のヤゴは、ヴォウタ・ヘドンダFCでプレーを継続。2019年1月のフラメンゴ戦での活躍がスカウトの関心を呼び勧誘を受けるが、当時はまだ13歳だったため寄宿舎に入寮することができず、この時の勧誘を断念した。
 アルトゥールは、フラメンゴU-15でボランチからセンターバックに転向。本人はこの転向を快く思っていなかったが、転向から5か月後にはU-15ブラジル代表に選出。一躍将来を嘱望される選手の一人となった。
 ところが、2019年2月8日未明、フラメンゴの寄宿舎で出火し複数の不運も重なり延焼。寄宿舎に住む14歳から17歳の10選手が亡くなる大惨事となり、翌9日に15歳の誕生日を控えていたアルトゥールはこの火災の犠牲者の一人となった。
 ヤゴはコロナ禍が落ち着いた2021年にフラメンゴU-17チームに加入。
 8月。公式戦前日に左CBのレギュラーがコロナに罹患したことから、ヤゴは急遽左CB、アルトゥールが生前に着ていた背番号「4」をつけてフラメンゴでの初試合を迎えた。その試合でヤゴはヘディングによるゴールをマーク。空に両手を大きく掲げアルトゥールと喜びを分かち合った。

 2025年10月7日現在、最終年となるU-20カテゴリーでは、国際大会を含めクラブ、代表でキャプテンとして多くの試合に出場し、複数のタイトルを獲得するなど活躍は目覚ましいが、フィリピ・ルイス監督率いるトップチームでは、センターバックとしての序列は6番手に甘んじており、試合出場はおろかベンチ入りさえ3試合しか記録されていない。
 2025年6月にはスポルティング(Bチーム)/PORへの買取オプション付きの期限付き移籍が模索されていたようだが実現しなかった。
 8月にはバイーアが200万ユーロ相当の移籍金でのオファーを提示したがフラメンゴが拒否。
 2025年U-20W杯開幕前には、エヴァートン/ENG、ブレントフォード/ENG、クルブ・ブルッヘ/BELが興味を持ち、モニタリングを開始しているとの報道があった。
 フィリピ・ルイス監督の志向するサッカーには適性がないのかもしれない。だが、大きな舞台でも活躍できる潜在力は、フラメンゴU-20でのリベルタドーレス、インターコンチネンタル杯の連覇や、U-20ブラジル代表での2025年南米ユース選手権制覇で証明されている。
 今は亡きアルトゥール・ヴィニシウスとの歩みをここで終えるわけにはいかない。

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