パブロ・マイア (Pablo Maia)

投稿者: | 2023年9月25日
2023/09/25 新規投稿

パブロ・マイア 若手 ブラジルサッカー サンパウロ ボランチ

パブロ・ゴンサウヴェス・マイア・フォルトゥナット

Pablo Gonçalves Maia Fortunato

ポジション: ボランチ

利き足:右

2002年1月10日生まれ

<幼少期>

 ブラジル連邦共和国ミナスジェライス州ブラゾポリスに生まれる。ブラゾポリスは州都ベロオリゾンテから約450㎞、サンパウロ市から約200㎞に位置する人口約1万5千人の小さな町。

<クラブ>

≪育成時代

 2013年11歳の時、サンパウロ州内陸部に位置するリメイラ市に本拠を置く、トップチームは当時の州選手権下位リーグに所属するインデペンデンチ・デ・リメイラの下部組織に入団する。
 2016年14歳の時に、サンパウロ州沿岸部サントス市に本拠を置くポルトゲーザ・サンチスタに移籍。ポルトゲーザ・サンチスタもまたトップチームは当時の州選手権下位リーグに所属する小規模なクラブ。しかし、このクラブでの活躍がサンパウロFCの目にとまる。
 2017年、名門サンパウロFCに入団。U-15チームでプレー。
 2018年、U-17チームに昇格するが、ほとんど公式戦に出場する機会は訪れない。
 2019年、U-17チームでレギュラーの座を獲得し、U-17カテゴリーの3つの主要大会に出場。チームは、全国選手権準決勝敗退、コパ・ド・ブラジル準優勝、州選手権で優勝を飾る。
 州選手権決勝戦の対戦相手パウメイラスはコパ・ド・ブラジル決勝戦で苦杯をなめた相手。パブロ・マイアは2ndレグで2試合合計2-3のリードを許す局面で同点ゴールをマーク。その後両チーム1点ずつ加え、2試合合計で4-4の引き分けに終えた試合は、PK戦の末、サンパウロFCが栄冠を勝ち取った。
 18歳で迎えた2020年はU-20チームに昇格。コロナ感染症拡大による影響で全体練習の制限や大会日程が大幅に変更される中、約半数の試合で出場機会を得る。しかし、最終ラインの手前で守備のフィルター役となるプリメイロボランチというポジションの性質上、得点を多くとるわけでもなく、技術的に卓越したものは特になかったパブロ・マイアは地味な存在だった。
 2021年、サンパウロFCU-20チームにアレックス(Alex, 現役時は3度のコパ・アメリカなど代表で48試合12得点。パウメイラス、クルゼイロ、フェネルバフチェ/TURで数多くのタイトルを獲得)監督が就任すると、アレックス監督は選手たちに2つのアンケートを実施。
 一つは、自分ならスターティングイレブン(背番号1~11)に誰を選ぶか。もう一つは、キャプテン候補を3名上げる、というものだった。
 アンケートの結果、パブロ・マイアはイレブンにはあまり多く選ばれることはなかったが、キャプテン候補には38選手中35選手から支持を集めた。
 事前に退団候補のリストをクラブから渡されていたアレックス監督は、その候補の一番初めにパブロ・マイアの名前が記載されていたことと、自分が実施したアンケート結果を念頭に日々のトレーニングを課していく。
 2021年、チームはU-20カテゴリーの全国選手権と州選手権の2大会に参加する中、アレックス監督はパブロ・マイアを全国選手権を中心に起用。決勝ラウンドは決勝までの全6試合で先発に起用、チームは決勝戦のホーム&アウェイを0-2、1-1の敗戦。この唯一の得点はパブロ・マイアによるもの。一矢を報いるゴールをマークした。
 2021年11月には、U-20全国選手権のさなかに、ホジェリオ・セニ(Rogério Ceni)監督率いるトップチームに招集されトレーニングに参加。11月14日の全国選手権にベンチ入りを果たした(出場機会なし)。
 2022年は1月に開催されるU-20全国大会カップ戦にレギュラーとして出場。準決勝での敗退後にトップチームに昇格。

サンパウロ≫

– 2022 –

 2022年1月31日サンパウロ州選手権第2節イトゥアーノ戦で後半34分に交代出場を果たし、19歳でのプロデビューを果たす。
 2月17日、自身3試合目となる州選手権第7節インテル・デ・リメイラ戦で初スタメン出場。
 以降は、プリメイロボランチとしてスタメンに定着。
 3月22日、州選手権準々決勝サンベルナルド戦では、後半37分にプロ初ゴール、後半45+2分にプロ初アシストを記録。
 3月30日、州選手権決勝パウメイラス戦1stレグ、後半19分にゴールをマークしチームの勝利に貢献。チームは2ndレグで試合をひっくり返され準優勝に終えたものの、パブロ・マイアは個人賞として州選手権新人賞を受賞した。
 19歳で迎えた2022年は、トップチームデビューを果たすとともに、準優勝に終えたコパ・スウアメリカーナでは決勝戦を含め8試合(うち5試合に先発)を始め、準決勝に進出したコパ・ド・ブラジル、全国選手権の32試合(うち22試合に先発)など、61試合4000分強に出場する大車輪の活躍で終えた。

– 2023 –

 2023年も前年に引き続きプリメイロボランチのレギュラーとしてシーズンが始まるが、チーム成績が振るわない中、次第にベンチスタートやベンチで過ごす試合も増えてくる。
 成績不振を理由に4月半ばにホジェリオ・セニ監督が解任、ドリヴァウ・ジュニオール(Dorival Júnior)氏が後任の監督に就任する。
 ドリヴァウ監督は高い位置での速い寄せやボールホルダーを取り囲む守備、守備から攻撃への速い移行をベースとした戦術でチームの立て直しを図る。パブロ・マイアは、ドリヴァウ監督の初采配試合で先発に抜擢されると、プリメイロボランチとして、中盤の選手が相手ボール保持者を囲んだ際のこぼれ球の回収や、パスコースを消すポジショニング、最終ライン手前でのフィルター役を担い活躍。この試合で監督の信頼を得ると再びスタメンに定着する。
 ドリヴァウ監督は、次第にパブロ・マイアに新たなタスクを課していく。それは、これまで以上に攻撃に参加し、攻撃陣のサポートや、前線に顔を出す動き、ミドルシュートやゴールに繋がるパスを送ること。
 すると、パブロ・マイアもそのタスクに応えるかのように、5月7日全国選手権第4節インテルナシオナウ戦では、前線で攻撃が手詰まった際に後方から駆け上がり、ボールを受けるとペナルティエリア外やや左の位置から、GKが必死に伸ばす指先の上を頂点に、そこから沈む柔らかいシュートでゴールをマーク。
 その後も多くはないものの、得点やアシストを記録。新たに課されたタスクをこなし、プレースタイルに広がりが生まれていく。
 2023年9月17日、コパ・ド・ブラジル決勝フラメンゴ戦1stレグ。アウェイでの試合は攻撃参加を控え守備に専念。1-0のリードで迎えた後半9分、クロスボールからのフラメンゴFWペドロのヘディングシュートをゴールライン際でクリアするなど、チームの1-0の勝利に貢献。
 9月24日2ndレグ、1stレグに続き季節外れの猛暑の中行われたこの試合も守備に専念。立ち上がりこそ、自身と最終ラインの間を狙うフラメンゴMFデ・アラスカエッタのポジショニングや、前後にポジションを替えるFWペドロの動きに翻弄されるものの、時間の経過とともに修正。粘り強い守備を90分間継続し、クラブ史上初のコパ・ド・ブラジル制覇に貢献。

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2022年(20歳)サンパウロコパ・スウアメリカーナ850300
全国選手権32204800
コパ・ド・ブラジル960200
州選手権1288621
 合計16403921
2023年(21歳)サンパウロコパ・スウアメリカーナ851701
全国選手権18142020
コパ・ド・ブラジル875001
州選手権1059210
 合計44327932
イタリック斜体は、2023年9月24日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<プレースタイル、雑感 etc.>

 利き足は右。
 身長178㎝、体重72㎏ (サッカーサイト「oGol」2023年9月24日参照)
 先述の通り、U-20チーム時代には多くの選手から推されるキャプテンシーを持つ。そのスタイルは、試合中は冷静沈着なプレーでチームに安心感をもたらし、トレーニングでは常に落ち着き払った姿勢で話し合いながらチームをまとめ上げていく。
 一方で、プリメイロボランチというゴールから遠いポジションを務めながらも、U-17サンパウロ州選手権決勝や、トップチームデビュー間もないサンパウロ州選手権決勝といった重要な試合ではゴールをマークするなど、内心に熱いものを持ってチームを引っ張る。
 見た目には、上に紹介した身長、体重ほどの線の太さはないが、体幹の強さを感じさせる接触プレーをみせる。的確なポジショニングやカバーリングは、俯瞰的に試合を分析する能力と、危機管理能力の高さをうかがわせる。
 自陣でボールを持った際には、相手の高い位置でのプレスに慌てることもなく、巧みにかわし、味方にボールを送るなど、足元の細かな技術も高い。
 ロングパスの頻度はあまり多くはないが、サイドを変えるパスの精度は高い。
 2023年9月24日現在マークしている3得点はいずれもミドルシュート。うち2得点は、前線で行き詰まり下げられたボールを受け、ディフェンダーの寄せが遅れたところをコースを狙って決めている。

 2022年末に、サンパウロFCはフラム/ENGからパブロ・マイア獲得の正式オファーを受けるが、交渉は成立せず。
 2023/24シーズン前の欧州移籍ウィンドウでは、ウェストハム/ENGがパブロ・マイア獲得に向け正式にオファーを提示。しかし、サンパウロFCは、この時点ではコパ・ド・ブラジルとコパ・スウアメリカーナのカップ戦2大会に勝ち残っており、パブロ・マイアは替えの効かない選手として想定を上回る条件のオファーが届いても移籍は容認しがたいと表明しており、この交渉も成立せずに移籍期間を終えた。
 2023年7月以降のプレースタイルの広がり、コパ・ド・ブラジル制覇を経て、今後はイングランドをはじめとした欧州各国クラブの視線はより熱さを帯びてくるだろう。

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