アンドレ・トリンダーデ (André Trindade)

投稿者: | 2022年12月8日
最新更新日 : 2023/12/27
更新履歴 : 2023/08/22, 08/04, 03/10

(2023.08.04)
 2023年8月1日の「ESPN」の報道によると、リヴァプール/ENGがアンドレの獲得に動いているとのこと。移籍金として2500万~3000万ユーロ相当(インセンティブ含む)を提示。
 フルミネンセの2023年8月4日現在のチーム成績は、すでにコパ・ド・ブラジルに敗退。全国選手権は第17節終了時点で首位まで勝点差15の5位に順位し優勝は厳しい状況にある。優勝の芽を残すコパ・リベルタドーレスは、決勝ラウンド一回戦1stレグをアウェイを1-1の引き分けで終えている。
 このような状況で、フルミネンセは8月8日のリベルタドーレス2ndレグ終了後にリヴァプールへ回答を予定。リベルタドーレスを敗退した場合は、現在の移籍ウィンドウでの移籍も含め現在の提示条件で前向きに検討。リベルタドーレスに勝ち残った場合は、現在の移籍ウィンドウでの移籍は拒否することになるものと予想されている。
(2023.08.22)
 リヴァプールは3000万ユーロで今夏の移籍をフルミネンセに打診。
 しかし、フルミネンセはリベルタドーレスで準々決勝進出を決め、リヴァプールとの交渉を拒否。アンドレの移籍は早くともブラジルの2023年シーズン終了後、欧州冬季移籍ウィンドウになると見られる。
 アンドレは、W杯南米予選第1節ボリビア戦(9月8日)、第2節ペルー戦(9月12日)に向けた代表に招集。6月の親善試合セネガル戦で途中交代ながら代表デビュー、20分ほどの短い時間で持ち味を発揮するプレーを見せており、ボリビア戦、ペルー戦で起用される可能性は高い。そのプレー次第で、欧州クラブによる獲得競争は激化する可能性も。
アンドレ トリンダーデ 逸材 若手 ブラジルサッカー フルミネンセ
2001年生まれ

アンドレ・トリンダーデ・ダ・コスタ・ネット

André Trindade da Costa Neto

ポジション:ボランチ

利き足:両足

2001年7月16日生まれ

<クラブ経歴>

≪幼少期・育成時代≫

 ブラジル北東部バイーア州アウゴドンに生まれる。
 2010年、9歳の時にバイーア州のフルミネンセ運営のサッカースクールでサッカーを始める。この頃のポジションはセンターフォワード(CF)/セントロアヴァンチ(CA)。
 2013年、12歳の時にフルミネンセの下部組織に入団。
 2015年、2016年頃に中盤、ボランチにコンバート。
 2017年にはチームキャプテンを担うようになる。
 2020年に、トップチームに昇格。

≪フルミネンセ≫

– 2020年 –

 2020年9月16日コパ・ド・ブラジル4回戦アトレチコ・ゴイアニエンセ戦、後半42分、ドッジ(Dodi, 2021-22年柏レイソル所属)との交代で初出場を果たす。
 4日後の9月20日、全国選手権第11節エスポルチ戦にてプロ入り初のスターティングイレブンに名を連ねる(前半で交代。後半はフェリペ・カルドーゾ(Felippe Cardoso, ベガルタ仙台2021-2022)が出場)。しかし、その後は試合後半の途中交代要員として9試合の出場にとどまり、プロデビューを果たした2020年の全国選手権は10試合275分の出場にとどまった。

– 2021年 –

 2021年最初の大会となるリオデジャネイロ州選手権。開幕節から3試合連続でスタメン出場を果たすが、第4節は後半34分からの出場。以降はベンチ入りさえままならない状況に陥る。
 やがて、ボタフォゴへの移籍が両クラブ間で検討される。一時は合意に近づいたが、VOLレギュラーのウッジソン(Hudson)が膝に大ケガを負い(ウッジソンはこのケガから復帰が叶わず翌2022年に引退)、移籍の話は流れ、ボランチのポジションをヤゴ・フェリペ(Yago Felipe, 1995年生まれ)、マルチネリ(Martinelli, 2001年生まれ)と競うことになる。
 6月20日、全国選手権第5節フォルタレーザ戦で約3カ月ぶりの試合にスタメンで出場するが、その後再び出場機会は減り、ポジション争いの序列は3番目に甘んじる。
 8月19日、リベルタドーレス準々決勝での敗退が決まると、監督のホージェル・マシャード(Roger Machado, 元ヴィッセル神戸2004-2005)氏が解任。
 マルカォン(Marcão)氏が後任の監督に就任すると、8月23日、就任後初戦の全国選手権第17節にてアンドレをボランチとしてスタメンに起用。以降もアンドレをスタメンで起用すると、アンドレは成功率の高い長短のパスで試合のリズムを作り、巧みなボール奪取でピンチを未然に防ぐなど十分にタスクを果たす。チームもまた2引分を挟み4連勝を達成し、降格圏寸前の16位からリベルタドーレス出場圏手前の8位まで一気に順位を上げる。
 その後チームは浮き沈みがあったものの、最終的には7位でシーズンを終え、翌年のリベルタドーレスの予備予選からの出場権を獲得。
 アンドレは、2021年全国選手権の最優秀新人賞を受賞する。

– 2022年 –

 2022年初から指揮を執る新監督のアベウ・ブラーガ(Abel Braga)氏のもとでもボランチとしてレギュラーを務め、チームの10年ぶりのリオデジャネイロ州選手権制覇に貢献。
 しかし、チームはリベルタドーレス予備予選で敗退、コパ・スウアメリカーナでも苦戦を強いられると、その責任を取る形でアベウ・ブラーガ監督が退任。
 後任にフェルナンド・ジニース(Fernando Diniz)氏が就任。フェルナンド・ジニース監督は、常にボール保持を念頭に置きコンパクトに陣形を保ち、選手が細かくポジションを変え相手ゴールに迫り、ボールを奪われると直ぐに奪い返しにいくサッカーを志す。アンドレのプレースタイルは監督が目指すサッカーにおいてその重要性をさらに高め、アンドレはジニースサッカーの欠かせないピースとなる。
 全国選手権に限定した記録だが、以下のものがある。(データ元:「oGol」「GE」)
  ・試合出場:34(うち30試合でフル出場)
  ・出場時間:3017分 全体12位(フィールドプレーヤーのみで4位、チーム内3位)
  ・デュエル勝利数:182 全体11位(チーム内2位)
  ・ボール奪取:75 全体9位
  ・ファール数:36 全体51位タイ
 また、シーズン半ば過ぎのネット記事によると、ドリブル成功率、長短のパス成功率でもリーグ上位を争っている。
 これらの数値から、ファールやケガをもらうような強引なプレーを犯さずに、ボール奪取、イーブンボールを獲得していることが読み取れるが、それを可能にしているのは、彼のプレーの先を予見する能力の高さや試合を俯瞰して見る能力の高さだと言えるだろう。
 アンドレは、2022年全国選手権ベストイレブンを受賞する。

– 2023年 –

 年間を通してフル稼働。
 州選手権はチーム全15試合のうち12試合(うち先発11試合、フル出場10試合)に出場し、チームの州選手権優勝に貢献。
 リベルタドーレスは、チーム全13試合のすべてに出場。決勝戦ボカ・ジュニオルス/ARG戦の延長戦を含め12試合にフル出場。クラブ史上初のリベルタドーレス制覇に貢献。
 8月24日準々決勝オリンピア戦1stレグの前半42分に、ゴール正面約20mの先制ゴールをマーク。
 全国選手権は、チーム全38試合のうち31試合(うち29試合先発、フル出場28試合)に出場。
 シーズンの後半、フェルナンド・ジニース監督は、リードを許す試合でセンターバックをベンチに退けアンドレをその位置に配置し、攻撃的な選手を投入する采配を多用。相手のカウンターにスピードで裏を取られるケースやポジションミスからピンチを招く場面が少しは見られたが、相手のクリアボールの回収や、積極的に前に出てボール保持者を潰しに行くディフェンスで攻撃を遅らせるなど、及第点以上の働きをする。
 2023年も高い成功率を誇るパスやドリブル、ボール奪取やインターセプトを試合で披露し、絶対的なレギュラーとして2つのタイトルを獲得して一年を戦い終えた。

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2020年(19歳)フルミネンセ全国選手権1027500
コパ・ド・ブラジル1300
 合計1127800
2021年(20歳)フルミネンセリベルタドーレス419500
全国選手権26191011
コパ・ド・ブラジル29600
州選手権422600
 合計36242711
2022年(21歳)フルミネンセリベルタドーレス436001
コパ・スウアメリカーナ536800
全国選手権34301711
コパ・ド・ブラジル763000
州選手権1081110
 合計60518622
2023年(22歳)フルミネンセクラブW杯218000
リベルタドーレス13113810
全国選手権31264900
コパ・ド・ブラジル436000
州選手権1299100
 合計62531810
2024年(23歳)xxx
 合計
イタリック斜体は、2023年12月27日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表経歴>

 2019年12月1日(ペルー戦、2-1で勝利)および4日(コロンビア戦、1-0で勝利)に行われたU-20国際親善試合の両試合にボランチとしてスターティングイレブンで出場。
 コロンビア戦ではハーフライン付近からのロングフィードを供給しこの試合初めての得点チャンスをつくると、アンドレの縦パスからの流れでこの試合唯一の得点が生まれる。
 この親善試合は、翌年に開催が予定されていたU-20南米ユース選手権およびFIFA U-20W杯に向けた強化試合だったが、U-20南米ユース選手権、FIFA U-20W杯共にコロナ感染症の拡大により開催が中止された。
 2022年11月に開幕されたFIFA2022W杯カタール大会では、公表はされていないものの、55人の事前登録メンバーに選出されたと多くのメディアで報道されている。

 2023年3月25日開催の親善試合モロッコ戦に向けたハモン・メネゼス監督代行率いるフル代表に招集。
 2023年6月開催の親善試合に向けたフル代表に前回に続き招集。6月20日セネガル戦後半29分に交代出場し代表デビューを果たす。
 2026W杯南米予選は2023年9月、10月、11月と3度招集され、10月12日第3節ベネズエラ戦の後半34分に交代出場。11月16日第4節コロンビア戦、11月21日第6節アルゼンチン戦では先発フル出場を果たした。

<エピソード、雑感 etc.>

 ブラジル代表チチ(Tite)監督は、2022W杯代表メンバー発表前にラジオ番組の中で「偉大な選手というのは、あらゆるレベルにおいて自信に溢れている。そして、日々成長していて、日々それを表現しているものだ。アンドレはその典型的な例だ。」と話した。
 2022年W杯代表メンバーには、アンドレと同じポジションの第一ボランチとして、チチ監督のサッカーでは替えのきかないカゼミロ(Casemiro)とファビーニョ(Fabinho)の二人が選ばれた。南米予選、コパ・アメリカでは、ボランチとしてブルーノ・ギマランイス(Bruno Guimarães)やジェルソン(Gerson)が招集されいくつかの試合に出場したが、この二人はタイプとしては第二ボランチで、カゼミロやファビーニョとはタイプが異なる。
 チチ監督はW杯後の退任を表明しており次の代表監督が誰になるかわからない。しかい、恐らくカゼミロやファビーニョと共にアンドレが招集され、トレーニングや試合の中で二人のプレーを身近に学び、二人が試合で託される役割を伝授されるに違いない。

(2023.08.04追記)
 2023年8月1日の「ESPN」の報道によると、リヴァプール/ENGがアンドレの獲得に動いているとのこと。移籍金として2500万~3000万ユーロ相当(インセンティブ含む)を提示。
 フルミネンセの2023年8月4日現在のチーム成績は、すでにコパ・ド・ブラジルに敗退。全国選手権は第17節終了時点で首位まで勝点差15の5位に順位し優勝は厳しい状況にある。優勝の芽を残すコパ・リベルタドーレスは、決勝ラウンド一回戦1stレグをアウェイを1-1の引き分けで終えている。
 このような状況で、フルミネンセは8月8日のリベルタドーレス2ndレグ終了後にリヴァプールへ回答を予定。リベルタドーレスを敗退した場合は、現在の移籍ウィンドウでの移籍も含め現在の提示条件で前向きに検討。リベルタドーレスに勝ち残った場合は、現在の移籍ウィンドウでの移籍は拒否することになるものと予想されている。

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